神道葬式・仏式との違い・神葬祭の流れ・香典・服装マナー

神道のお葬式に参列する機会があるのなら、やはり心得ておきたいのが仏教との違い。仏式の焼香にあたる玉串奉奠や拝礼の作法と共に大切なのが、故人やご遺族の信仰心に配慮した振る舞いです。

神道葬式・仏式との違い・神葬祭の流れ・香典・服装マナー

仏式と大きな違いがある”神道葬式”

神道は日本古来の宗教です。聖徳太子が大陸から仏教を取り入れるまでは、日本民族は、すべて日本古来の神を信仰して来ました。

現在の日本では仏教徒が圧倒的に多いので、神道の葬儀には馴染みのないように感じられますが、日本人の人生や日常のさまざまに神道が関わっています。

誕生して一ヵ月経った頃には、お宮参りをして健康と長寿を願い、七五三には成長したお祝いをします。お正月には初詣で神社へ行きますし、結婚式には神道の儀式に則って三々九度の杯をかわしますよね。


しかし、神道の葬儀そのものを経験することは、あまりないのではないかと思います。神道の葬儀は、仏教の葬儀とは意味も儀式も異なります。

1.神道の種類

2.仏教と神道/葬式の意味の違い

3.神葬祭/進行(流れ)

4.神道ならではの儀式

5.神道お葬式/服装

6.神道/香典の表書き


では、上記の順番で”神道葬儀の参列者マナー”を説明いたします。

神道の種類

神社

「八百万(やおよろず)の神々」と言われるほど、日本にはたくさんの神が存在します。山や川などのすべての自然に神が宿っているという信仰です。

多くの神が存在するのですから、神道にも様々な種類があります。

皇室神道

皇居の中の宮中三殿を中心とする皇室独自の神道です。

神社神道

神社を中心とする信仰です。

民族神道

民間で実施されていて、民間神道とも言われています。

教派神道

教祖、開祖の宗教体験をベースにした宗教です。

古神道

江戸時代の国学により儒教、仏教の影響を受ける以前の神道です。

国家神道

国家が支援して行われた神道です。

その他にも分類されている宗派があるのですが、現在の「神道」と言えば、ほとんどが神社神道のことです。

仏教と神道/葬式の意味の違い

香炉

仏教の葬儀では、故人を極楽浄土に送り出すために行われます。故人は極楽浄土へ行き、仏様のもとで安らかに暮らすのであると言われています。

一方、神道での葬儀「神葬祭」は、故人を極楽浄土へは送らずに、家の守護神にするための儀式とされているのです。墓石に「○○家先祖代々之墓」と刻まれているのを見たことがあると思いますが、もともと先祖崇拝は神道の考えに由来するものなのです。


最近では、葬儀社の式場で、お葬式が行われることが多いですが、昔は仏式の葬儀は、ほとんど、先祖の位牌を納めてある菩提寺(ぼだいじ)で行われていました。

しかし、神葬祭は、神道では「死は穢(けが)れ」とされているので、昔も今も神社で執り行われることはまずありません。神社は神の聖域であり、死や穢れを持ちこむことを良しとされませんでした。

神葬祭/進行(流れ)

祭壇

神葬祭といっても、宗派により作法や進行の流れは異なりますが、ごく一般的な葬儀の流れをご紹介します。

臨終から納棺まで

1.帰幽奉告(きゆうほうこく)

訃報を受けたら神棚や仏教での仏壇にあたる祖霊舎(それいしゃ)に、故人が亡くなったことを奉告し、神棚や祖霊舎の扉を閉じて白い紙を貼ります。

2.枕直しの儀

遺体に白い小袖を着せて北枕に寝かせ、祭壇を設けて、米、水、酒などを供えます。(仏教でいう枕飾りに似ています。)

3.納棺の儀

遺体を棺に納めて白い布で覆い、拝礼をします。

神葬祭・第一日目【通夜・遷霊祭(せんれいさい)】

通夜祭・遷霊祭(せんれいさい)

仏教の通夜と同じ意味合いです。神職が祭詞(祝詞)を奏上します。参列者は玉串を奉って拝礼をします。通夜祭の後に続いて儀式です。部屋を暗くして、神職が仏教でいう「位牌」にあたる霊璽(れいじ)に故人の御魂を移します。

神葬祭・第二日目【葬場祭から帰家祭まで】

葬儀

1.葬場祭

通夜祭の翌日に行う儀式です。仏式の葬儀・告別式にあたり、遺された人たちが、直接、故人にお別れを告げる最後の機会です。

弔辞の奉呈

弔電の奉読

祭詞奏上

玉串奉奠

上記の儀式が行われます。

2.火葬祭

火葬場で行なわれる儀式で、故人を火葬する前に執り行われます。神職は祭詞を奏上して、遺族は玉串を奉り拝礼をします。

3.埋葬祭

火葬場で収骨した遺骨を埋葬する儀式が行われます。墓に納骨し、銘旗や花を供えます。銘旗とは、故人の氏名や職名などを記した旗です。

仏式では、火葬したら遺骨を持ち帰り、初七日の法要の後にお浄めの食事をして、納骨は四十九日忌など後日に行われますが、神道は火葬したらすぐに納骨をするのが習わしです。しかし、時代の流れによって埋葬祭の当日ではなく、五十日祭で納骨を行なうことが増えてきました。

4.帰家祭

自宅へ戻り、塩や手水で清め、神葬祭が無事終了したことを霊前に奉告した後、神職やお世話になった人を招き、労いや感謝の意を表すために直会(なおらい)という宴を催します。

その後の儀式

線香と供花

仏教では、葬儀の後に初七日の法要、四十九日忌の法要などがありますが、神道では霊前祭を10日ごとに行います。

翌日祭/葬儀の翌日

十日祭/亡くなった日・帰幽から10日目

五十日祭/50日目(翌日に清祓いを行って霊璽を祖霊舎に移す)

百日祭/100日目

一年祭/亡くなってから一年後

神道ならではの儀式

神棚封じ

「死は穢(けが)れである」ということから、穢れが神棚や祖霊舎に移らないように、扉を閉じて白い紙を貼ることが「神封じ」です。

普段は毎朝、神棚にお祀りなどをしていても、神棚封じの間は、故人へのお祀りを優先し、忌明けとされる五十日祭までは神棚は閉じたままにしておきます。

玉串奉奠(たまぐしほうてん)

玉串奉奠(たまぐしほうてん)

神道特有の儀式です。仏教の焼香、キリスト教の献花と同じような意味合いを持ちます。玉串とは、榊(さかき)の枝に、クワ科の植物コウゾの皮から作った糸の木綿(ゆう)、または紙をつけたものを言います。

1.神職に一礼して玉串を受け取る。右手は上から枝をつまむように持ち、葉は左手の平の上に添えます。葉を持つ左手側を高くして持つのがポイント

2.玉串を捧げる机の前に行き、一礼する

3.胸の高さの位置で、葉先が祭壇に向くように右手を引いて回転させる

4.右手と左手の位置を持ち替えて、枝の根元が祭壇に向くように右回りに回転させる

5.両手で玉串を机に置いて、二回拝礼をし、音を立てずに二回拍手をし、さらに一礼する

6.神職と遺族にお辞儀をして席に戻り着席する

霊璽(れいじ)について

霊璽

「霊璽」は、仏教でいう「位牌」であると上記で述べましたが、神道では「諡名(おくりな)」「諡号(しごう)」がつけられます。

戒名と同じように現世の氏名とは異なる名前がつけられることもありますが、多くは今までの氏名の下に「○○之霊」「○○命(みこと)」「命霊(みことのれい)とつけられます。

男性は「大人命(うしのみこと)」、女性は「刀自命(とじのみこと)」などとつけられることもあります。

古事記の登場人物のように「みこと」という名をつけられると、神になった実感がありますね。

お供物

神道では、葬儀の際に生の鯛や生卵を祭壇にお供えすることがあります。海の産物と山の産物を自然の神様に感謝して捧げる慣わしです。

その他、神道のお供物としては、洗ったお米、乾物、お神酒、野菜、果物などを木製の台、三方(さんぽう)に載せて祭壇に飾ります。故人の好きだった食べ物をお供えすることもあります。

数珠

仏教の僧侶が読経するときに数を数えるために使用していた(している)数珠(じゅず)は、仏式の葬儀では用いますが、神道の葬儀では不要です。

神道お葬式/服装

神道の葬儀も、一般的な仏式のお葬式に着用する喪服で構いません。男性も女性もブラックフォーマルにバッグや靴などの小物類も黒で統一して、真珠以外の葬儀にふさわしくないアクセサリー類はつけないようにするのが一般的なマナー。

葬儀用の喪服と小物を一式揃えておけば、仏式、キリスト教、神道の葬儀に対応できるので、万が一に備えて準備しておくと良いですね。

神道/香典の表書き

葬儀の際の仏式での香典の表書きは「御霊前」ですが、神道でも同様でかまいません。しかし、蓮の花の絵が描かれた「御霊前」の不祝儀袋(香典袋)は、仏式で用いるものなので使わないように注意して下さい。

また、神道では他に「御玉串料」「御榊料」という表書きもあります。これは祭壇に榊を飾り、玉串を供えることから来ています。

祝儀袋


これまで神道と仏式の葬儀とは異なる点を述べて来ましたが、仏教も神道も共通していることがあります。それは亡くなった方に感謝と尊敬をこめて、心から手を合わせることです。宗教、宗派が違っても故人への想いは、すべての人の心につながるのです。

ただし、仏式葬儀にしか参列したことがない方は、『ご供養させて下さい』『冥福を祈ります』『成仏しますように…』と、仏教用語の使用にはご注意くださいね。

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