
あなどれない日傘の効果と正しい使い方
浴びるだけでシミやそばかすの原因になる紫外線への対策に、日傘を活用している人が増えていますが、紫外線が肌に悪いことは知っていても、どこがどう悪いのかまで知らない人が多いのではないでしょうか。
日傘で正しいUV対策をするためには、日差しから私たちの肌へと降り注ぎシミや日焼けの原因となる紫外線のことを知っておく必要がありますよね。
そこで「紫外線が身体に及ぼす影響」と「日傘の正しい使い方」を紹介します。
目次
紫外線が身体に及ぼす影響
地上に降り注ぐ太陽光は、エネルギーとして私たち人間の生活に役立てられている一方で、太陽光が人体に悪影響をおよぼすこともあるのです。
紫外線が気になり始める季節になると、日焼け予防にUV対策をする人が増えますが、実は、紫外線が及ぼす影響は日焼けによるシミやソバカスだけではないんです。
日差しがさんさんと降り注ぐ夏だけではなく、冬の時期にも正しいUV対策をするために紫外線が身体に及ぼす影響を知っておきましょう。
1.地上に降り注ぐ紫外線は2種類ある
太陽からはさまざまな光が発せられていますが、その多くはオゾン層に吸収されるので、地上に降り注いでいるのは「赤外線」「可視光線」「紫外線」の3種類です。(注1)
赤外線は温かさを感じる光で、可視光線は目に見える光のこと、太陽光に含まれる2つの光は、基本的に人体に大きな影響をおよぼすことはないといわれています。
紫外線は地上に降り注ぐ光の中で、もっとも波長が短い光で、さらにその波長の長さにより、波長が長いものから順にUVA、UVB、UVCの3つに分かれます。紫外線は、波長が短いほど人体に大きな悪影響をおよぼすため、UVCがもっとも危険な紫外線です。
でも、UVCはオゾン層に吸収されるので、実際に地上に降り注いでいる紫外線は、UVAとUVBの2種類になります。ただし、環境汚染によりオゾン層の破壊が進んでいるため、将来的にUVCが地上に降り注ぐ可能性は否定できません。
私たちの肌や将来大人になる子どもたちのためにも、1人1人が環境破壊をしない行為をすることが大切ですよ。
2.肌表面の細胞の遺伝子を壊すUVB
UVBは、かつてオゾン層で吸収されていましたが、地球温暖化や環境汚染などによって、オゾン層が破壊され続けることで、近年は地上に届くようになっているそうです。
紫外線は波長が短いものほど有害性が強いので、もっとも注意したいのが「UVB」で、日焼けすると、肌が赤くなったり、水ぶくれができたりしますよね。これはUVBの影響によるものです。
実はUVBは、地上に降り注いでいる紫外線の10%にも満たないほど少量ですが、UVAの600~1000倍ともいわれるほど悪影響がありますが、波長が短い分、気候や天候の影響を受けやすいのが特徴ですので、もっとも注意したい時期は夏場の晴天時です。
UVBは肌の表面にまでしか到達しませんが、表皮の細胞の遺伝子を破壊して、シミやシワ、乾燥など、肌の美容面に大きな影響をおよぼします。
さらに、免疫力の低下や白内障、皮膚ガンなどを引き起こすこともあるほど影響がある紫外線なのです、少量しか届いていなくても十分なUV対策が必要ですよ。
3.肌の奥深くまで届くUVA
私たちが浴びている紫外線の90%以上がUVAで、UVBほどの悪影響はありませんが、UVBよりも肌を老化させる活性酸素を体内に発生させます。
また、UVBよりも波長が長いので、じわじわと肌の奥深くにまで浸透して、コラーゲンやヒアルロン酸、エラスチンなどを生成する繊維芽細胞を傷つけ、肌の弾力が失われ、シミやシワ、たるみを引き起こします。
UVAは波長が長いので、天候や気候の影響を受けにくく1年をとおして地上に降り注いでいます。
皮膚が赤くなったり、炎症が起こったりしにくいため、肌がダメージを受けていることに気づきにくいのですが、UVAはガラスも通り抜けてしまうので、室内にいるときでも正しいUV対策が必要です。
4.反射光の対策も忘れずに
紫外線のUV対策というと、太陽から降り注ぐ光にばかり気をとられがちですが、実はこれでは不十分で、紫外線は地面にぶつかると反射して足元から私たちの肌へと向かうのです。
反射される割合は、地表面の状態によって大きく異なり、土や草地の場合には10%以下ですが、水面では10~20%、アスファルトでは10%、砂浜では10~25%、新雪では80%にも達します。(注2)
私たちは、この反射光に含まれる紫外線も浴びているので、頭上から降り注ぐ光だけではなく反射光対策も考える必要があります。
新雪 | 80% |
砂浜 | 10~25% |
アスファルト | 10% |
水面 | 10~20% |
土・草地 | 10%以下 |
日傘の効果を十分に得られる傘の選び方
太陽から降り注ぐ紫外線を防ぐためには、やはり日傘が有効です、最近ではオシャレなものから実用性の高いものまで、さまざまな種類の日傘が販売されていますが、UV対策をしっかりとするためには、どんな日傘でも良いわけではないんです。
日傘によっては逆効果になることもあるので、しっかりとしたUV対策をするためにも、正しい日傘の選び方を覚えておきましょう。
1.UVカット率をチェック
販売されている日傘には「遮光率」とか「UVカット率」と書かれたタグがついている製品がありますよね。実はどちらも同じ意味ではないのです。
遮光率とUVカット率の違い
・遮光率:可視光線をカットする割合
・UVカット率:紫外線をカットする割合
パラソルなどの日除けとしては、遮光率が高い日傘で十分ですが、紫外線対策を考える場合には、UVカット率が高いものを選びましょう。
2.日傘の内側は黒系を選ぶ
紫外線は地面からの反射光にも含まれています。この照り返しの紫外線をできるだけ防ぐためには、生地の内側にも注目しましょう。
日傘の中には内側がシルバーコーティングされているものがありますが、これでは照り返し対策どころか、照り返しの反射光が日傘の内側で乱反射するので、紫外線を顔に集めているようなもの。
これではどれだけ日傘のUVカット率が高くても意味がないですよね、日傘の内側で反射光が分散しないように、生地の内側は、黒系のものを選びましょう。二重張りの日傘も増えているので、購入する前に傘の内側の色を確認すると安心ですね。
ただし、日傘では反射光の紫外線を100%カットできません、日傘だけに頼り過ぎず、合わせて日焼け止めクリームを塗ることをお忘れなく。
3.生地の表面は白系を選ぶ
かつては白い日傘が主流だった時代もありましたが、今では黒い日傘が主流になっていますよね。もちろん、UVカット率が高い日傘を選べば、生地の色に関係なく紫外線をカットしてくれるので、基本的にはどんな色や柄の日傘でもOKです。
でも、黒は光を吸収する色で、日傘の生地そのものが熱を帯びるため、かえって暑さを感じます。できるだけ暑さを感じたくないという人は、生地表面が白やシルバーコーティングされた日傘がオススメです。
日傘の正しい使い方
どんなにUV対策効果がある日傘でも正しく使えなければ十分な効果を得られません、UV対策しているつもりが「まったく対策になっていなかった」ことにもなりかねないので、正しい日傘の使い方を覚えておきましょう。
1.日傘の寿命に注意する
購入した日傘は見た目壊れていないと、いつまでも使えるような気がしますが、実は日傘にも寿命があります。
UVカットが施されていてもいなくても、日傘の生地は陽射しを浴びることで経年劣化していきますし、傷や摩擦などにより、UVカット効果がどんどん低下していくんです。
もちろん、陽射しを遮るという点では日傘としての機能を果たしますが、残念ながら寿命を超えた日傘ではUV対策になりません。使う頻度にもよりますが日傘の寿命は1~3年ほどですので、定期的に新しくすると良いでしょう。
また、陽射しを浴びたときほどではありませんが、蛍光灯の光を浴びてもUVカット効果は低下しますので、日傘を保管するときにはできるだけ蛍光灯の光が当たらない暗い場所を選ぶと安心ですね。
2.長持ちさせたいならUVカットスプレーを使う
日傘には寿命があると言っても、お気に入りの日傘はできるだけ長く使いたいですよね、そこで登場するのがUVカットスプレーです。
これは、衣類をとおして肌に到達する紫外線の対策として使われるものですが、日傘の表面に施されているUVカットと同じようなものなので、日傘の表面にまんべんなくスプレーするだけで、日傘を長持ちさせることができますし、日傘の色あせを防ぐ効果もあるので、おすすめですよ。
ただし、UVカットスプレーは、繊維の1本1本に対する紫外線をカットするためのものなので、繊維の隙間から紫外線が入り込んでしまいます。買った当時の状態に戻すことはできないので、過信は禁物です。
日傘の効果を長持ちさせたいなら取り扱いにも注意する
最近ではオシャレな日傘が増えていますよね。オシャレや暑さ対策としてだけに日傘を使う場合には、寿命に関係なく見た目が悪くなるまで使えますが、できるだけ日傘のUVカット効果を長持ちさせたい場合には、取り扱いにも注意が必要です。
UVカット加工されている日傘は布製なので汚れやすい特徴があり、汚れが目立ってくると、汚れをこすったり、水洗いしたりしたくなりますが、UVカット加工は「こすれや水に弱い」ので、次の点に注意しましょう。
- 水洗いしない
- 強くこすらない
- 洗剤を使わない
- 雨傘として使用しない
急な雨のときにも使いたいという場合には、晴雨兼用の日傘を選ぶと不安もありませんね、日傘の効果や性質をバッチリ理解し、上手に紫外線対策をしましょう。
参考文献
- 注1:気象庁「紫外線とは」
- 注2:気象庁「地表面の反射と紫外線」