フランスの食事マナー!スープは奥から手前から?どっちが正解?

日本への外国人旅行者が増えたり、海外へも格安チケットで気軽に行けるようになったのは嬉しいですが、国によって違う文化や食事マナーに戸惑うこともあります。今回は現地で知ったフランス式の食事マナーを紹介。

フランスの食事マナー!スープは奥から手前から?どっちが正解?

知っておくと役立つフランス式の食事マナー

フランスでは数人で食事をとる機会も多く、気の合った友人同士なら気を遣いませんが、顧客をレストランに招待したり、上司の家に招かれたりした場合は失礼が無いよう、ある程度、基本的なフランス式の食事マナーを心得ておく必要があります。

日本人は礼儀正しいことで知られていますが、最低限度のフランス式の食事マナーを知っていれば、より一層、評価アップが見込めます。

フランスのレストランのテーブルセッティング

「洋食のマナー 」といえば、多くの人はフレンチ料理を食べる際のナイフとフォークの使い方などを思い浮かべると思います。

しかし、イギリスとフランスのテーブルマナーには共通点もありますが、実は違いもあるのです。また、その他、日本では「洋食」のカテゴリに入る欧米諸国の食事マナーも同様です。

今回は、フランス式食事マナーの基本を紹介します。

実際にフランス現地のレストランにご協力を頂いて撮影をしてきましたが、日本国内のフレンチレストランでフルコース料理を食べるときやフランス文化を重視する友人等に食事に招かれたり、招待したりするときに役立ちます。

レストランやホストの家に入るときのマナー

フランスのレストランの入り口

ポピュラーなビストロやカフェやレストランでは、店内へ先に入るのは男性ですが、家に招待されたり、星付きの高級レストランでは、男性がドアを開けて女性を中へ入れてあげるのがマナーです。

レストランのメートル・ドテルに案内された場合も、先に店内へ入るのは女性です。

階段がある場合は、万が一、女性が足を滑らせたときでも支えられるように、上るときは女性が先、降りるときは男性が先になるのが基本マナーです。

テーブルの上には何も置かない

レストランに限らず、一般家庭へ食事に招かれた際も、食卓テーブルの上には物を置かないのが基本的なマナーです。

「バッグは当然だろうけど、メガネや電話も駄目なの?」と思うでしょうが、すべてバッグの中にしまえる物ばかりです。

テーブルに置いてはいけない物

・携帯電話
・メガネ
・時計
・手帳
・薬
・バッグ

 食事中は携帯の電源はオフにするかマナーモードにしておくのが礼儀。

 レストランでは、バッグを背もたれに掛けるとギャルソンの動きを邪魔するのでNG。小ぶりのタイプなら椅子の背もたれと自分の間に置き、それ以外は左側の足元に置きます。

テーブルに肘をつかない

フランスに限らず、日本でも西洋文化でも共通するクラシックなNG食事マナーのひとつがテーブルに肘をつくことです。

日本では、次の料理が運ばれてくるまで行儀よく両手を膝の上に置きますが、フランスでは手がテーブルの下に隠れているというのは、周りの人の目には不自然に映り不審に思われる仕草なのです。

テーブルの縁で軽く手首の辺りを支えながら、見えるところに手をそっと置くのがマナー。

ナプキンの使い方

皿に美しく飾られたナプキン

ナプキンは、フランスの食卓に必ずあるものです。何でもない些細な物のようですが、これがどうして、なかなか厄介!テーブルマナーを知らない人を悩ませる道具でもあるのです。

まず、ナプキンは原則的には皿の左側に置かれていますが、お皿の上にデコレーションとして美しく飾られている場合もあります。

フレンチの席について注意したいのは、いかにも「腹ペコだから早く食べさせろ」と訴えているように見えるので、最初の料理が運ばれてくるまではナプキンを拡げないこと。

ナプキンの使い方

・音をたてずに静かに広げる
・完全に拡げた状態で膝の上に置かない
・襟元にぶら下げない
・食事した後、折り畳まない

口についたソースや脂分などは、片手ではなく、両手でそっと押えるように拭きます。

 どうしても途中で席を立たなければならない場合は、ナプキンで口を軽く拭いてから細かな説明はしないで、おもむろに「失礼(Pardonパルドン)」と言って席を立っても構いません。

 「まずかった」というサインになるので、食事した後にナプキンを綺麗に折り畳むのは厳禁。自然な形のまま。皿の左側にそっと置いて席を立つのがマナーです。

お皿から一番遠い外側の食器から使う

フランス料理では、最初は「オードブル ( Hors-d’œuvre)」または「アントレ (Entrée)」が出てきます。目前のテーブルには複数のフォークとナイフとスプーンなど、料理内容に必要なカトラリーが並べられています。

料理ごとに適した形状のナイフ、フォーク、スプーンを使うのは、箸のみで数多くの料理を器用にいただく日本の食文化との大きな違いです。

皿とカトラリーを並べたテーブル

上の画像をご覧ください。さて、フランス式の食事マナーでは、一番先に使用する食器はどれでしょうか?

答えは、お皿の左右から一番離れている食器です。次の料理が運ばれてきたら、内側に向かって順番に使っていきます。

この画像では、お皿の左側にフォークが2本、右側にナイフが2本とスプーンが3本あるので、最初に使うのは一番離れている「右側のスプーン」です。

フランス式のスープの飲み方

イギリスとフランスのテーブルマナーでは、スープを掬う向きが違います。

フランス式は皿の奥から手前へ向けてスプーンを動かし、スープをすくいます。イギリス式は逆で手前から奥へスプーンを動かします。

 スープを口に入れるときは、口をスプーンに近づけるのではなく、スプーンを口の高さまで持ち上げて、スプーンの先を口に向けて音を立てずにいただきます。

食事中は頭の位置を常に同じところにおき、背筋をピンと張った良い姿勢を保つのが基本。

日本でも「当然のマナー」に分類されることですが、スープをすすったり、舌で音をたてながら味わったり、口の中に食べ物を入れたまま喋るのは厳禁!

また、お皿を傾けて最後の一口まで飲もうとするのも厳禁です。因みに、フランスでは「スープを飲む」とは言わず、「スープを食べる」と言います。

グラスの配置とワインを注ぐ量の目安と飲み方

現地のフレンチレストランでグラスに注がれる赤ワイン

フランスで食事中の飲み物の主流といえばワイン。レストランでは、ワイングラスが皿の右上に置かれ、一列に並んでいます。

まず、左側には、最も大きな 「ウォーターグラス」、真ん中は、中ぐらいの大きさの「赤ワイングラス」、最後は右側に、一番小さな「白ワイングラス」の順です。

 赤ワインならグラスの半分、白ワインなら4分の3が注ぐ量の目安。

 ワインを注がれるときはグラスを持ったり、手を添えるのはNG。テーブルに置いたままの状態で注いでもらい、ひと言、お礼を告げるのがマナーです。

 ワインは口に食べ物が入っているときに飲んではいけません。グラスの淵に油のあとがつかないように、食べ物を飲み込んだ後に口元をナプキンで軽く拭いてからワインを飲むのがマナーです。

カトラリーの並べ方と使い方

カトラリーの配置が確認できる真上からの画像

まずはカトラリー(フォーク、ナイフ、スプーンなど)の並べ方。

フォークはお皿の左側に背を上に向けて置きます。これは、元来、フォークやナイフは銀製のもので、その家の代々から引き継がれてきた財産でもあるわけです。

ですので、フォークの背に描かれている家紋をゲストに提示するためでもあります。スプーンも同じ理由から、丸みのある分部を上に向けて並べます。ナイフは常に刃の部分がお皿に向いた状態でセットされます。

 使い方は、フォークは左手、ナイフは右手で持つのが基本。しかし、ナイフを使わない場合は、フォークを右手に持ち替えて使うことができます。

肉や魚はフォークで刺してもいいですが、付け合わせの野菜は刺さずに、フォークとナイフでかき集めるようにして、フォークのくぼみに入れて食べます。

 食事中にフォークとナイフをテーブルやパンの上に置くのは厳禁。必ず、フォークの背部分が上、ナイフの刃が内側を向くように、皿を時計に見立て8時20分の位置に「ハの字」になるように置きます。

 カジュアルな席で使用することがある、皿の右側に「ナイフレスト」が用意されている場合は、フォークの背部分を下に、ナイフの刃は内側を向くように平行に並べて置きます。

パンの食べ方/スープに浸す・かじりつくのはNG

フレンチ料理で提供される小さなパン

フランスの友人宅で食事に招かれると、あらかじめ食べやすい大きさにカットされてパン用の皿、あるいは籠に入れた状態で出されます。高級レストランでは、個々に小さな丸いパンが小皿に載って出てきます。

 パンはナイフで切ったり、直接、口まで運んで齧(かじ)ったり、お皿に残ったソースを絡めたり、スープに浸して食べたりしないでください。

パンは手で一口大にちぎってから、その都度、バターを塗ったり、そのまま食べるのがマナーです。

パン屑は自分で片付けない

パン屑が落ちたテーブルが気になったときは、ギャルソンに合図をして綺麗にしてもらう「ダストパン」をお願いします。レストランでは自分の手でパン屑を寄せ集め、床にパラパラと払い落とすのはマナー違反。

プロの手で素早くテーブルを綺麗にしてもらうのがスマートです。こちらから依頼しなくても、タイミングを見計らってダストパンを行ってくれることも多いので、パン屑が落ちてしまったからといって焦る必要はありません。

チーズの食べ方/専用ナイフで切り分ける

フレンチ料理でデザート前に提供される数種のチーズ

フランス料理では、デザートの前にチーズを食べます。日本の感覚では「お腹もいっぱいになったから、次は〆のデザートかな?」というタイミングでチーズが出てくるのですが、それは食事が最終コーナーを回ったサイン。

チーズ盛合せ

フランスでは大皿に5~6種類ほどの異なる種類のチーズが丸ごと出てくるので、盛合せの中から好みのチーズを2~3種類選びます。

チーズ用のナイフで適当な大きさに切って、自分のお皿に載せた後、次のゲストへチーズがのった大皿を回します。

チーズ用ナイフ

チーズを切った後、先が二股に曲がった部分でチーズを刺して取ります。

専用ナイフでチーズを取る様子

 必ずナイフを用いて自分の皿の上のチーズを切り、小さく手でちぎったパンに載せて食べます。決してフォークを使わないこと。また、チーズは一度しか取り分けられません。

「チーズのおかわりはない」ということです。チーズが大好きな人にとっては残念ですが、正式なおもてなしの場では、チーズのサービスは一度っきりということを覚えておきましょう。

サラダの食べ方/ナイフで切るのはNG

チーズと一緒に出てくることもありますが、大抵はチーズの後に野菜サラダが出てきます。さて、簡単なようで野菜サラダの食べ方は箸文化の日本人には面倒というか難しいのです…。

 まず、ナイフでサラダを切るのは厳禁。あくまでも、フォークを使ってサラダが食べやすくなるよう補助するためにあるので、ナイフの「切る機能」は忘れてください。

サラダをナイフで上手く器用にたたみ込んで、決して刺さずに食べます。野菜サラダをナイフとフォークを使ってキレイに食べられるようになったら、なかなかの上級者。

デザートの食べ方はシンプルで簡単

フレンチレストランで食べた珈琲とデザート

フレンチ料理の最後に食べるデザート

やっと、デザートまで辿り着きました。フランス人にはデザート用の胃が別にあるんじゃないかと思われるほど、絶対に欠かせないとても大切なステップです。幸いにして、食べ方はそんなに難しくありません。

デザート用の小さめのフォークとナイフが用意されています。プリンに似たフラン(Flan)やチョコレートムース (Mousse chocolat)、アイスクリーム、シャーベットなどの柔らかなデザートなら、スプーンだけを使って食べます。ビスケット生地の洋菓子や生フルーツが出てきた場合は、フォークとナイフが大活躍します。

日本の基本マナーにフランス式をプラス

「肘をつかない」「音をたてない」など日本のテーブルマナーとの共通点も多いので、「スープを掬(すく)う方向」「チーズの取り分け方」などフランスの食卓ルールのポイントさえ押さえておけば、特別に緊張することもありませんよ。

撮影にご協力いただいたレストランRelais du Lion d’Or

今回、撮影にご協力いただいたレストランは「Relais du Lion d’Or」です。
レストラン周辺の観光スポットには、ノルマンディー海岸沿いの街「ディエップ(Dieppe)」、「3姉妹の都市」として以前、コラムで紹介した街「ル・トレポール(Le Tréport)」、「メルス・レ・バン(Mers les Bains)」、「ウ(Eu)」などがあります。近々、ディエップの街も紹介する予定ですのでお楽しみに!

「Relais du Lion d’Or」の料理の値段は13€~38€と幅広く選べるメニュー構成で、魚料理、肉料理どちらもオススメです。海岸に近いせいもあり、魚料理が新鮮でとても美味しいですよ。

また、ここはチーズの国ですので、ノルマンディー産のチーズを利用した料理が特徴で、「産地の農産物をフルに活用した独創的な料理」というシェフのモットーを感じられます。

ノルマンディー地方独特のコロンバージュ(木組み)家屋をそのまま生かした内装のレストランなので、パリとは一味違った雰囲気を味わえます。星はありませんが、星付きレストランの雰囲気を味わえる、私のお気に入りの一軒です。

Relais du Lion d’Or

・住所/Adresse:4, rue du Général de Gaulle 76660 Londinières
・最寄駅/ディエップ(Dieppe) 駅 (但し、ディエップから車で30分)
・お昼の定食メニュー 13€~14.80€
・夕食メニュー « Le Relais » 21.50€/ « Le Brayon » 29.00€/ « Le Lion d’Or » 38€(*アントレを1品しか選ばない場合は34€)
www.relaisduliondor.com