
睡眠の質を高める方法
睡眠に関する悩みは年齢・性別関係なく多くの人が抱えています。
- 朝の目覚めが悪い
- 長時間寝ても寝た気がしない
- たくさん寝ても疲れがとれない
上記のような眠りに関する悩みを抱えている人は、具体的な解決方法が分らずにいることも多いのですが、睡眠は毎日のことなので早めにグッスリ&スッキリしたいものです。
人の身体は睡眠の質を高めると成長ホルモンが多く分泌され、肌がキレイになり、朝の目覚めも改善されます。さらに身体の細胞が修復・回復され、免疫力・記憶力アップなど、睡眠の質を改善すれば、いろいろな悩みが解消されることも期待できます。
今回は「眠りの質を高める方法」を紹介します。
大切なのは「長さ」じゃない
「毎朝起きるのが辛い」「寝たのに疲れがとれない」と感じたとき、睡眠時間が足りないんだと考える方も多いと思いますが、身体にダルさを感じる原因は、睡眠の「長さ」ではなく、睡眠の「質に問題がある」可能性があります。
最適な睡眠時間には大きな個人差があるので、下記の2つが確保されていれば睡眠時間が短くても問題はありません。
- 日中眠気がない
- 活動能力が低下しない
実は、睡眠時間を長くしても睡眠の質が低ければ、満足感を得られません。睡眠の質には、レム睡眠とノンレム睡眠の2種類のメカニズムが深く関わっています。
- レム睡眠
体は深く眠っていても脳は起きている状態 - ノンレム睡眠
脳も深く眠った熟睡状態
入眠後、まずは深い睡眠に入り、段々と浅い睡眠へと移行していき再び深い眠りへと向かうサイクルを90分ごとに繰り返すのが睡眠のリズムですが、なんらかの理由によりリズムが狂うと、睡眠の質が低下します。
- 寝た気がしない
- 日中強い眠気を感じる
- 十分に寝たのに疲れが取れない
上記の症状となって表れるので、睡眠に大切なことは「時間」よりも「質」だということが分かります。
まずは理想の睡眠時間をチェック
ここでは、人によって違う「最適な睡眠時間を見つけるコツ」を紹介します。
「睡眠時間は8時間が理想的」といわれていましたが、実は医学的な根拠はなく、多くの人の統計から導き出された平均睡眠時間で、人によって8時間は眠り過ぎだと感じる人や眠る時間が足りないと感じる人もいます。
日本では6時間以上、8時間未満が成人の平均的な睡眠時間と考えられていますが、20代~70代など年代別で差が発生します。(注1)
また、「平均的な睡眠時間」が自分に合っているとは限りません。ショートスリーパーと呼ばれる3~4時間程度の睡眠でも疲労が回復する人もいれば、ロングスリーパーと呼ばれる脳の疲労回復に9時間以上の睡眠時間が必要な人もいるように、最適な睡眠時間には個人差があります。
自分に最適な睡眠時間を見つけるためには、起きたときや日中の様子を見ながら睡眠時間を少しずつ調整していく必要があるうえ、同じ人でも季節や体調などによっても変わるので、最適な睡眠は「○時間です」と断言できません。
最適な睡眠時間を見つけるチェック項目
異常に食欲がある
日中眠くなることがある
日中頭がスッキリしない
週末の睡眠時間は平日よりも長い
目覚めてから布団を出るまでが長い
同じ時間に起きるために目覚ましが必要
この中のどれかひとつでも当てはまる場合は、睡眠時間が不足している可能性があるので、いつもの睡眠時間を30分延ばし、様子を見ながら最適な睡眠時間を把握することが大切です。
次の国立睡眠財団から発表された年齢別の最適な睡眠時間も参考にしてください。
年齢別の最適な睡眠時間
• 6~13歳/9~11時間
• 14~17歳/8~10時間
• 18~64歳/7~9時間
• 65歳以上 /7~8時間
睡眠の質を高める方法
睡眠の質が下がると、集中力や判断力、コミュニケーション力が低下したり、ストレスが溜まりやすくなったりして、生活の質にも影響がでます。
さらに、成長ホルモンが十分に分泌されなくなり免疫力が低下するため、疲れが取れにくくなるなど健康が脅かされるので原因になるので、充実した毎日を送るためにも睡眠の質を高める方法を実践してグッスリ眠りましょう。
1.睡眠のリズムを作る
睡眠の質が悪い人の多くが、朝の目覚めも悪く「寝るのも起きるのも苦手」なパターンにハマっています。まずは眠るだけでなく、目覚めをよくするにはどうすればいいのか考えてみましょう。
朝スッキリと起きるリズムを作る方法
・2度寝をしない
・毎日決まった時間に起きる
・起きたらカーテンを開けて陽を浴びる
毎朝起きる時間がバラバラで、太陽の光も浴びずに暗い部屋で過ごせば身体に目覚めスイッチが入りません。身体が完全に起きなければ、目覚めるタイミングもズレるので夜の睡眠の妨げに繋がります。
まずは「自分が朝起きてから何時間後に眠たくなる」のか把握をしておくと、朝起きる時間・寝る時間を見極められ、睡眠のリズムが整ってきます。
2.寝る前に軽い運動をする
寝る前の2~3時間前に、軽く汗をかく程度の運動やヨガ・ストレッチをすると眠りにつくまでの時間がスムーズになり、質のいい睡眠をとれるようになります。
寝る前に軽い運動をするメリット
ほどよい疲労が副交感神経を優位にしてくれる
身体のリラックス状態を司る「副交感神経」を優位にすることで、神経も落ち着き深い眠りにつけるようになります。また、逆に激しい運動をすると交感神経が活発になり興奮状態に陥り眠れなくなるので注意が必要です。
3.夕食を早めの時間に済ませる
私たちが寝ている時は、胃の働きも穏やかになるので、寝る直前に食事をすると胃に未消化の食べ物が残ったまま眠ることになります。
消化中に眠るデメリット
・太りやすくなる
・胃もたれを起こす
・便秘になりやすい
特に食べてから2~3時間は食べ物を消化するのに胃が活発に動いているので、12時に眠る予定なら、9時~10時の間までに食事を終わらせる必要があります。
お腹が空いて眠れないときにオススメの食事
・うどん
・おかゆ
・ホットミルク
※胃に負担の少ない食べ物がおすすめ
空腹の状態では全く寝られないと思う人は消化しやすい食事を心がけるなど、食べる物を工夫してください。また、お腹一杯食べるのではなく、腹八分目にしておくと消化活動がスムーズになり、睡眠の質も上がります。
4.ゆっくりと湯船に浸かる
お風呂はリラックス効果を高めるので、質のいい睡眠を得るために重要な行動ですが、シャワーだけで済ませていると思うように効果を得られません。出来ることならゆっくりと湯船につかり、全身浴や半身浴で体を温めてください。
半身浴の方法
・38~40℃前後のお湯に腰までつかる
・30分ほど時間をかけて行う
※水分補給をしっかりすることを心がけてください
お湯の浮力で筋肉や関節がほぐれ、血行が良くなり代謝が上がるだけでなく、入浴して身体を温めておくと深部体温の下がり幅が大きくなり、良い眠りにつけるようになります。
眠気は深部体温が下がるときにやってくるので、入浴後は身体が冷えないうちに布団に入りましょう。
また、お風呂から上がった後にぐっすりと眠るには、身体をリラックスさせる「副交感神経」を優位に働かせる必要があります。
お風呂に入った直後は、交感神経が優位に働き興奮した状態になっているので、お風呂には寝る1時間前までには済ませましょう。徐々に体温が下がって興奮もおさまりリラックスした状態が優位になってくるので、コトンと眠りにつくことができます。
5.手と足を温める
手足の冷えは血の巡りを悪くし、体温調整が上手くできなくなって睡眠を浅くします。なので、寝る直前には手足を温める工夫をしましょう。
布団の中で手足を温める方法
・湯たんぽを使う
・手首、足首を回す
普段から適度な運動で血液の流れを良くし、熱を通した生姜や、カプサイシンを含む食材など末端まで身体を温めてくれる食事を心がけると、睡眠の質も上がっていきます。
6.身体が温まる飲み物を摂取する
眠りにつく状態を上手く作りだすのに有効だとされているのが「身体を温める飲み物」です。睡眠の質が上がるだけではなく、冷え性改善や疲労回復にも効果あります。
睡眠の質向上に効果的な飲み物
・白湯
・ハーブティー
水を温めて作る白湯は、カフェインなどの神経を興奮させて眠りを浅くする成分が含まれていないので、効率的に身体を温めてくれます。また、血流が良くなり末端まで温まりやすくなるので、質のいい睡眠がとれるようになります。
ハーブティーは香りでリラックス効果を誘うので、眠りの邪魔となる交感神経の高ぶりを抑え、自然と眠気を誘ってくれる効果があります。
また、睡眠の質を低下させる作用のあるカフェインには、神経の覚醒作用があり、眠気を覚ます効果が4~5時間ほど効き目が持続します。
カフェインを含む飲み物
・玉露
・煎茶
・紅茶
・コーラ
・コーヒー
・ウーロン茶

カフェインを含む飲み物といえば「コーヒー」のイメージがありますが、日本人にとって馴染み深い「緑茶」にも含まれています。カフェインの覚醒作用は4~5時間ほど持続するので夜にぐっすりと眠るためには、お昼以降カフェインを含む飲み物を摂取しないことが理想です。
ホットミルクは睡眠を促す効果が期待できるので不眠改善にもオススメですし、どうしてもコーヒーを飲みたい時は「デカフェ」と呼ばれるカフェインレスのコーヒーを飲みましょう。
7.就寝前は薄暗い部屋で過ごす
布団に入る30分~1時間くらい前から、蛍光灯の灯りを消して保安球(豆電球)や暖色系のやわらかい明かりに切り替えて過ごすことで、心身をリラックスさせましょう。
間接照明で過ごすメリット
睡眠作用のあるメラトニンが分泌される
部屋を暗くするとメラトニンというホルモンが身体から分泌されて、眠りにつきやすくなります。
逆に夜中でも強い光の中で生活をしていると、メラトニンの分泌が妨げられるので眠りにつきにくくなりますので注意が必要です。
また、質の良い睡眠をとるには「眠りのホルモン」と呼ばれるメラトニンの存在が必要不可欠です。このホルモンは、午後9時頃から徐々に分泌されて午後11時頃ピークに達します。分泌量が多い時間帯に眠りにつくと質の良い睡眠がとれるのですが、明るい環境で眠りにつくと分泌量は減り睡眠の質も下がります。
メラトニンの分泌量を増やす睡眠方法
・TVを消す
・アイマスクをする
・部屋の電気を全て消して寝る
理想は部屋を真っ暗にすることですが、アイマスクでも同じ効果を得られます。また、真っ暗だと落ち着かない場合は、1時間後に切れるなどのタイマーをセットするなど工夫しましょう。
8.ブルーライトを浴びない
ブルーライトの刺激を夜寝る直前に浴びると、睡眠に必要とされるホルモンの分泌を抑えてしまい寝つきが悪くなります(注2)。ブルーライトは極力浴びないようにしましょう。
就寝前のブルーライト対策
・スマホをナイトモードで利用する
・ブルーライトを軽減させる眼鏡をつける
・どうしてもスマホを触りたい時は明るい部屋で見る
特に寝る直前にスマホを触っている人はブルーライトの影響を受けやすくなり、メールや動画の情報を脳が処理するうちに目が覚める場合もあるので、寝る前はスマホの電源をオフにしておきましょう。
また、スマホの代わりに本を読む時がありますが、ハラハラドキドキするストーリーの内容では、脳が興奮状態になり寝つきも悪くなるので避けたほうが無難です。
寝つきを良くするためには、脳をリラックスさせる行動がベストです!気持ちが落ち着く音楽を聴いたり、アロマの香りで精神的にも落ち着かせることでスッと自然に眠ることが出来ますよ。
9.眠る前に嫌なことを考えない
1日の終わりに嫌なことを思い出し、眠れなくなる経験はありませんか?ネガティブ思考は脳に大きなストレスを与え、自律神経を乱して眠りを浅くします。なので、寝る前はなるべく「悪いこと」を考えないようにする必要があります。
寝る前にネガティブ思考にならないようにする方法
・数字を数える
・楽しいイメージを思い浮かべる
・深呼吸をして気持ちを落ち着かせる
どうしてもイヤなイメージが頭から離れなかったら、無理やり寝ようとするのを止めて外の空気を吸ったり、気分を変えるためにリラックスできる場所に移動して、明るい気持ちを取り戻しましょう。
10.眠りを誘う音を聴く
音には「眠りを誘うリズムや音」があり、ぼーっと聴いていると心地よくなって眠たくなってくる音があります。眠りを誘う音を聴いている時に、脳内ではリラックスしたときの脳波「アルファ波」が出ています。
つまり、なかなか眠れない時には、アルファ波が出る音を聞きながら就寝すると効率良く眠れるというわけです。
アルファ波が含まれる音
・雨の音
・川の音
・波の音
・森の音
※自然が出す音がオススメです
最近では自然の音をまとめたCDもありますので、リラックス効果も狙い自然の音をかけながら眠るのもおすすめです。
11.寝酒をしない
寝酒をすると酔いで眠りにつきやすくなりますが、身体は眠っていても脳が休まらない状態が続き、浅くて質の悪い眠りになります。
浅い睡眠のデメリット
・身体の疲れがとれない
・眠ったのに寝た気がしない
酔ったまま眠ると、身体の疲れもとれなく二日酔いになる可能性もあるので、頭痛がする最悪の目覚めとなり、寝酒が習慣化すると「お酒を飲まないと眠れない身体」になるリスクが高まります。
少なくとも眠りにつく3時間前までにはお酒を摂取することをやめて、身体中に回っているアルコールの濃度を下げましょう。
12.昼寝をして睡眠時間を補給する
日中どうしても眠くて仕方がない時は無理をせずに昼寝をして睡眠時間を補給してください。
昼寝をするタイミングと時間
昼休憩を利用して10~20分眠る
20分以上眠ると深い眠りに入り、起きてもダルさや疲れを感じる原因になりますので、浅い眠りで素早く覚醒状態へと移行できる10~20分がベストの昼寝をする時間です。
13.休日に寝だめをしない
休日はいつもより遅くまで寝て昼過ぎにゆっくりと起きたいと考えている人が多いと思いますが、寝だめをしても寝不足状態は解消されません。
寝だめのデメリット
・睡眠リズムが狂う
・いつも寝ている時間になっても寝られない
休みの前日に夜更かしをしてお昼過ぎまで眠るよりも、いつもより早い時間に眠り翌朝はいつもと同じ時間に起きたほうが、スッキリを実感できます。
どうしても寝坊をしたいときは、多く眠る時間を2時間以内におさめると生活リズムが狂いにくいので、いつも7時に起きている人は9時までには起きるようにしてくださいね。
14.起きたら朝陽を浴びる
脳を始めとする臓器や細胞には、1日に25時間の生体リズムを刻む体内時計が組み込まれていますが、実際は1日24時間なので、1時間のズレをリセットする必要があるのです。
朝陽を浴びると?
体内時計のズレが調整できる
起きたらすぐにカーテンを開けて朝陽を浴びると、体内中の細胞が起きたと判断しますし、朝食をしっかりと摂ることで、より強力に体内時計のズレをリセットすることが出来ます。
15.毎日同じ時間に起きる
体内リズムを整えるためには起きる時間を一定にすることも効果的ですので、前日どれだけ寝るのが遅くなっても、毎日同じ時間に起きるように心がけましょう。
日中眠くなったら?
5~10分程度の仮眠を取る
日中に1時間も2時間も昼寝をすると、夜に眠れなくなり睡眠時間に影響が出るので気をつけてください。休日はどうしてもゆっくり眠りたい人は、いつもの起床時間とのズレを2時間以内に収めると生活リズムが崩れにくくなります。
16.寝る前に脳と身体をリラックスさせる
睡眠の質を上げるためには寝る前の習慣を見直すことも大切で、眠る1時間前にテレビやスマートフォン、パソコンなどの画面を見ていたり、熱めのお風呂に入ったり、遅い時間に間食をするといった行動をとっていると、神経を興奮させる交感神経を刺激するため睡眠の質が下がります。
質のいい睡眠に大切なこと
副交感神経を優位に働かせる
身体をリラックスさせると副交感神経が優位に働きますので、自然と深い眠りを手に入れることが出来ます。
- 軽いストレッチをする
- アロマキャンドルを焚く
- カフェインの摂取を控える
- ぬるめのお湯に長く浸かる
- リラックス効果のある音楽を聴く
- テレビやパソコン、ゲーム、スマートフォンなどは控える
寝る1時間前までに身体を興奮させる交感神経の刺激を避けて、脳と体をリラックスさせて副交感神経を優位に働かせることが大事です。
また、身体に「そろそろ眠りますよ」というサインを送るためにも、部屋を少し暗くして、ベッド周りに本やスマートフォンなどを置かないようにしておくと、布団に入ってからスッと眠りにつくことが出来ます。
17.寝具を見直す
私たちは眠っている間、体の歪みを修復したり、疲れた筋肉を休息させたり、血液を循環させるために平均して20~30回の寝返りを打っているといわれています。
寝返りが打ちづらいと?
良質な睡眠が得られない
柔らか過ぎる寝具は、体が沈み込み過ぎて寝返りに負担を掛けるため、体が沈み込まない硬さの寝具を選んでくださいね。また、枕の高さも重要で、首の骨はまっすぐではなくS字カーブなので、高さが合っていないと自然な姿勢を保つことが出来ずに寝返りに支障を来たします。
枕に頭を乗せたときに後頭部が下がり、顎が上を向いた状態になるのが高さが合った枕です。低い場合にはタオルを使って高さを調整し、高すぎる場合にはバスタオルを丸めたものを首の下に当てて枕代わりに使うのもオススメです。
就寝前の行動が睡眠の質を左右する
睡眠不足になると身体や脳・健康面において、様々なマイナス症状が出てきます。睡眠の1番の目的は、脳など身体の疲労を回復させることです。睡眠は私たちにとって必要不可欠な行動です。
また、イライラして寝付けないなど、睡眠の質を悪くする最大の原因はストレスで、日頃からもやもやした気持ちを発散出来ていないと、生活習慣病などのリスクが高まることにも繋がり、生活の質の低下にも繋がるのです。
ストレスを発散させる方法
・適度な運動を心掛ける
・夢中になれる趣味を見つける
・ストレッチをして身体をほぐす
夜ご飯は早めに食べて、ゆっくりとお風呂に入り、部屋を暗くしてリラックスできる音を聞きながら眠るなど、今日から実践できることばかりですので、ぜひ試してみてくださいね。
参考文献