
大人なら知っておきたい手紙のマナー
最近はプライベートにおいて手紙を書く機会はめっきり減りましたが、目上の方やビジネスでの付き合いがある方へはお礼状や挨拶状など筆を執る状況は少なくありません。
取引先の相手や恋人の両親へ失礼のない書簡を送るのはもちろんのこと、友人へ改まった手紙を出すときにも役に立つ、手紙における基本的なマナーをご紹介します。
封書とハガキの使い分け
封書とハガキはどのように使い分けるかご存知ですか?
封書は正式な手紙、他人に見られたくない内容、目上の方に書く場合に使い、ハガキは身内や友人同士といった親しい間柄で、知られても構わない中身や簡単な要件をやり取りする場合に使います。
封書とハガキの使い分け
・封書
目上の人に送る、結婚・出産のお祝い、見舞状、お礼状、依頼状、詫び状、冠婚葬祭のお知らせ
・ハガキ
親しい間柄の人へ送る、お祝い・贈答・お中元・お歳暮のお礼状、新築・結婚記念日など一般的な祝い事、季節の挨拶状、近況報告、招待状・案内状、喪中欠礼
使い分けはあくまでも目安なので、送る相手や内容によって封書とハガキを使い分けましょう。
便箋の選び方と使い分け
キャラクターものから真っ白なものまで、様々な種類のレターセットが売られています。真っ白なレターセットにも無地や縦罫線といくつか種類あるため、どのタイプを使うべきか迷った方もいらっしゃるでしょう。
また、手紙を書くときに使うペンは黒です。鉛筆のような消える筆記具は使わず、ボールペンや筆ペンなどを使いますが、ご不幸に関する手紙の場合は薄墨の筆ペンを使って書きましょう。
便箋の使い分け
・すべての用途で使用可能
罫線なし、または縦罫線の入った白無地の便箋
・ビジネス文書でも使用可能
横罫線が入った白無地の便箋
・カジュアルのみ使用可能
色、模様の入った便箋
改まった手紙を書く場合は白無地の縦罫線か罫線なしの便箋を使いましょう。
使える便箋の枚数
あまり長くなっても読む方が大変になってしまいますので、便箋2枚以内に収まるように手紙を書きます。ただし、手紙の中には1枚以内で終わらなくてはいけない内容がありますので、その場合は用件を簡潔に伝えて便箋1枚に収まるようにします。
便箋1枚に収めるべき内容
弔事の手紙は、2枚以上の便箋から「不幸が重なる」と連想してしまう為、厳禁です。「不幸が重ならないように」という意味を込めて1枚に収めましょう。
手紙の基本的な書き方
挨拶状やお礼状、詫び状など、どんな場面の手紙でも使える基本的な形式を紹介します。手紙は以下の4つのブロックからできていることを意識しましょう。
1.前文
2.主文
3.末文
4.後付
▲手紙の基本構成(横書きの場合)
手紙の基本構成に沿って書けば相手に失礼がなく読みやすいうえ、不慣れな人も簡単に書けます。
▼頭語と時候の挨拶をする「前文」
手紙の前文は、初めの挨拶である「頭語」、季節や天候に合わせた心情・季節感を伝える「時候の挨拶」、「相手を気遣う言葉」から構成されています。
詫び状は、申し訳ないという気持ちを一刻も早く伝えるのが目的ですので、「前略 この度は~」と時候の挨拶を書かずに主文へ入りましょう。同様に、相手が怪我や病気をして入院した場合の見舞状も、体調を気遣うことが目的となりますので「冠省 突然の入院のお知らせ、大変驚きました」と頭語からそのまま続けましょう。
また、お礼状であれば感謝の言葉を時候の挨拶の後に入れたり、久しぶりの手紙であれば「御無沙汰しておりまして、失礼いたしました」とお詫びの言葉を入れたりと、その場面に合わせて付け加えましょう。
▼本題を書く「主文」
主文とは手紙を書いた目的を伝える部分で、前文と本文を繋ぐ「起語」とメインの内容となる「本題」から構成されています。
繋ぎの起語
用件がどこから始まっているかを読み手にわかりやすく読んでもらうための言葉を起語と言います。
よく使われる起語
さて、この度は、実は、ところで、先日は、早速ですが、突然ですが、誠に申し上げにくいのですが、など
手紙のメイン本題
改行位置や敬語、誤字、忌み言葉に気を付け、手紙を出した目的を明確かつ手短に書きましょう。改まった手紙や目上の人に書く場合は、読みやすいようにひとつの単語が行を跨がないように配慮しましょう。
また、相手を指す言葉(○○様、貴社など)は行の初めに来るように気を付け、逆に自分や身内を指す言葉(私、弊社など)は行の終わり辺りに書くようにするとベストです。
▼結びの挨拶と結語を書く「末文」
末文は「結びの挨拶」と、前文の頭語に対応する「結語」で構成されています。
結びの挨拶は、相手の健康や幸せ、活躍などを祈ったり、乱筆のお詫びをしたりといった内容を四季の気候と併せて簡単に書きます。結語は締めくくりとして結びの挨拶の書き終わりと同じ行に書きます。
▼最後は「後付」
後付は「手紙を書いた日付」、「差出人」、「宛名」の3つから構成されています。ただし横書きの場合は、縦書きのようにかしこまったものではないので、大抵は宛名を省略します。
縦書きの場合は漢数字、横書きの場合は算用数字を使って日付を書きます。年月日が正式ですが、送る相手や内容によっては月日だけでも構いません。また、便箋の2枚目に後付のみを書かないようにしましょう。
封筒の書き方
封筒に宛名を書く際、どう書くのが美しく見えるのか考えてしまいます。また、縦書きと横書きでは切手の貼る位置も違うのかなど、意外と知らない宛名の書き方を紹介します。
▼宛名を書く「表書き」
縦書きの場合
住所の書き始めは郵便番号の右端に揃え、上から一文字分下げて書きます。番地などの数字は漢数字で書くのが正式で、親しい友人相手では省略しがちなビルやマンションの名前も、目上の方宛てや改まった内容の手紙であれば略せず書きます。
名前は住所を書いた字よりも大きく、郵便番号の頭3桁と同じぐらいの幅で書きます。書き始めは郵便番号の下から一文字分下げます。
横書きの場合
住所の書き初めは、左端から二文字ほどスペースを空けてから書き始めます。番地などの数字は横書きの場合は算用数字で書きますが、改まった手紙であればマンション等の名前を省略しないのは縦書きの場合と変わりません。
名前は宛名面の中央に、住所を書いた字よりも多く書きます。もしも住所が長くなり2行目になるようでしたら、2行目の書き始めと名前の書き始めを揃えると美しく見えます。
切手を貼る位置
宛名の縦書き横書きにかかわらず、縦長にした時に切手が左上になるよう貼ります。
▼差出人を書く「裏書き」
縦書きの場合
封筒の中央にある繋ぎ目の右側に住所、左側に名前を書くのが正式と言われており、宛名と同じように、住所を書いた文字より少し大きめに名前を書きましょう。また、住所と名前の終わりを揃えると美しく見えます。
郵便番号は、住所の書き始めから一文字分空けた上に横書きで書きます。中央の継ぎ目から少し空けて郵便マーク「〒」から郵便番号を続けます。
横書きの場合
封じ口の下中央、または右寄りに住所を書きます。郵便番号は住所の書き始めと揃え、名前は住所の真ん中あたりから書き始め、書き終わりを揃えて書くと美しく見えます。
封に関するアレコレ
封をするときはセロハンテープやシールではなく、のりで留めるのが正式です。
封かん日(封をした日)を入れる場合は、縦書き横書きにかかわらず封筒の左上に書きます。
これで手紙のマナーの基本はOK!
今回は手紙の基本中の基本を紹介しました。ビジネスや冠婚葬祭といった内容になると他にも細かいマナーが出てきますが、今回の決まりに沿って書けば失礼になることはありません。
手軽なメールが主流の今だからこそ、自分の気持ちや相手への気遣いをアナログな手紙で届けてみませんか?