包丁の選び方・失敗しないベストな1本を見つけるポイント

包丁の選び方は、それぞれに適した使い方をセレクトすることです。牛刀、出刃包丁、ペティナイフ、包丁売り場に並ぶ包丁は、種類も材質もさまざまですので、1つずつ丁寧に解説していきます!

一般的な包丁の種類と適した使い方

一人暮らしを始めるときや、切れ味が悪くなったときなど、包丁を買う機会ってありますよね。でも、包丁はしっかりとメンテナンスすれば、長い期間使えるので、買い替える機会が少ないもの。

その上、さまざまな種類があるので、いざ選ぼうと思うと、どれを選べば良いのか分からない人も多いのではないでしょうか。そこで、いざ買う時に迷わないためにも一般的な包丁の種類と適した使い方を紹介します。

包丁の種類と適した使い方

料理をする上で必要になる包丁には、牛刀、出刃包丁、骨スキ包丁など、たくさんの種類がありますよね。名前を聞いたことはあっても、どんな包丁なのか、どんな違いがあるのか分からないなんて人が多いのではないでしょうか。

包丁は大きく分類すると、和包丁、洋包丁、特殊包丁の3つに分けることができます。

包丁の分類と主な特徴

【和包丁】
日本の食文化に適した包丁。片刃で引いて切るのが特徴。

【洋包丁】
肉中心の食文化に適した包丁。多くが両刃で押して切るのが特徴。

【特殊包丁】
特定の食材を扱うために作られた包丁で、それ以外の食材では扱いにくい。

これを見て分かるとおり、包丁にはそれぞれ適した使い方があるんです。一般的な包丁とその適した使い方を見ていきましょう。

1.三徳包丁

一般的な家庭にある「包丁」と呼ばれるものの多くが、この三徳包丁で、万能包丁とか文化包丁とも呼ばれる包丁です。

日本の食生活で使用される肉、魚、野菜といった食材をこの1本で扱えることから三徳包丁と名付けられました。

刃渡りが18cm前後と扱いやすく、特別な技術を必要としないため、誰が使っても使いやすい和包丁です。

2.牛刀

牛刀は日本に最初に入ってきた洋包丁で、海外ではシェフナイフと呼ばれ一般的に普及しています。

元は、塊の肉を小さく切り分けるために使われていたことから、日本では「牛刀」と呼ばれるようになりましたが、実際には使い勝手が良く、肉以外の調理にも使える言わば海外版の三徳包丁です。

見た目は、三徳包丁と似ていますが、刃渡りが家庭用で18~22cm、プロ用で20~30cmと、三徳包丁よりも長く、幅が狭いため肉の筋なども切りやすい特徴があります。

3.薄刃包丁

その名のとおり、刃が薄く幅が広い薄刃包丁は、主に野菜を切るために作られた日本の伝統的な包丁です。

切れ味が良く、かつら剥きや飾り切りなど、野菜を切るのに適していますが、刃が薄い分、落としたり、魚の骨を切ったりするだけでも簡単に刃がかけるほど脆いので、野菜以外の用途には適していません

薄刃包丁は「関東型」と呼ばれる刀身が四角い角型薄刃包丁と「関西型」と呼ばれる切っ先が丸みを帯び尖っている鎌型薄刃包丁に大別できます。切れ味に違いはありませんが、家庭用に購入する場合には、切っ先がある分、使い勝手が良い関西型の鎌型薄刃包丁がおすすめです。

4.出刃包丁

包丁の種類の中でもっとも有名なのが、この出刃包丁。実際に見たり、使ったりしたことはなくても、名前を耳にしたことがある人は多いですよね。

出刃包丁は、主に魚を捌くために作られた和包丁で、三徳包丁や牛刀と似ているようにも見えますが、刃が厚く重いのが大きな特徴です。魚を骨ごと切ったり、頭を切り落としたりできるほどの切れ味が特徴です。

5.ペティナイフ

日本でも使われることが多いペティナイフは、刃渡りが最大でも15cmほど、牛刀を小さくしたような洋包丁です。

コンパクトで小回りが利くため、果物の皮むきやカットに便利ですが、三徳包丁や牛刀と同じように、さまざまな用途に使えます。

包丁の材質

包丁を選ぶとき、もうひとつ悩みの種となるのが、その材質。包丁の多くは「鋼」「ステンレス」「セラミック」のいずれかで作られていますが、材質によって、使い勝手や手入れ方法が異なります。

1.鋼

とは、0.6%以上の炭素やマンガン、ケイ素などを含んだ鉄で、正確には炭素鋼と言います。

錆びやすいため、しっかりとしたお手入れが必要になりますが、切れ味が良く、研ぎ直ししやすいのが特徴です。

2.ステンレス

鉄に炭素やクロムなどを混ぜて作られるステンレスは、錆びに強く研ぎやすいのが大きな特徴です。かつては、耐久性が低く、脆いと言われていましたが、現在では改善されています。

ステンレス製の包丁は、種類が多く、安価なものほど切れ味が鈍い傾向があるので、注意が必要です。

3.セラミック

包丁に使われるセラミックは、模造ダイヤにも使われているジルコニア系のセラミックです。

他の素材の包丁と比べ、切れ味は鈍くなりますが、金属製の包丁よりも軽く、硬度が高いのが特徴です。また、酸に腐食されることもなく、錆びる心配も少ないので、日頃のお手入れは簡単です!

金属の味が食材に移らないのも嬉しいポイントですが、横からの力に弱く、研ぎ直しには専用のシャープナーが必要です。

一緒に買っておきたいメンテナンスグッズ

残念ながら、包丁の切れ味がいつまでも変わらず保たれることはありません。必ず研ぎ直しが必要になってくるので、包丁を買うときには、一緒にメンテナンスグッズを買っておくと安心です。

1.砥石

包丁を研ぎ直しする上でもっとも適しているのは、砥石です。砥石と聞くと、なんだか難しいように感じますよね。確かに、最初はかえって切れ味が悪くなることもありますが、コツを掴み、慣れれば簡単に刃をつけることができるようになります。

砥石を使って研ぐコツ

・砥石の全面を使って研ぐ
・できるだけ大きい砥石を使う
・反対側に生じる「返り」を必ず取る
・砥石の麺を常に平らな状態にしておく
・包丁の中心線と砥石の角度を一定に保つ

砥石には、さまざまな種類がありますが、一般的に鋼の包丁は硬めの砥石ステンレスの包丁は柔らかめの砥石が合っていると言われていますが、一般的な包丁の場合には、ホームセンターなどで販売されている家庭用の砥石で十分です。

ケース付きやいくつかの砥石を張り合わせたコンビタイプもおすすめですよ。

2.シャープナー

V字の溝に包丁の刃を差し込み、手前に数回引き抜くだけで刃先を再生させるシャープナーは「電動式」や「回転式」「水研ぎ式」などいくつかの種類があります。

いずれも手軽で簡単に切れ味を取り戻せますが、切れ味を持続させるのは難しく、使い続けていると、なかなか切れ味が回復しなかったり、回復してもすぐに切れなくなるため、補助的に使用するのがおすすめです。

3.研ぎ棒

研ぎ棒は、刃先の修正や刃についた脂を取り除くための道具で、セラミック素材のもの、表面にダイヤモンド加工が施されているものなどがあり、包丁だけでなくキッチンばさみなどにも使えます

研ぎ棒に対して20度の角度に包丁の刃元を当て、上から下ろすように刃先に向かって引くことで、簡単に切れ味を取り戻すことができます。

ただし、シャープナー同様、研ぎ棒も一時的に切れ味を回復させるための道具なので、定期的に砥石で研ぎ直すか、自分でできない場合には、研ぎ師にお願いすると良いでしょう。

ただし、セラミック包丁は硬度が高いので普通のメンテナンスグッズでは切れ味を取り戻せません。ダイヤモンド加工がされたものを選ぶといいでしょう。

毎日のメンテナンス方法

日頃のお手入れがしっかりとできていないと、どんなにうまく研いでも、どれだけ高い包丁を使っても包丁の寿命は短くなります。包丁を長持ちさせるためにも、毎日しっかりとお手入れしましょう。

毎日のお手入れのコツ

・食洗機で洗わない
・使ったらすぐに洗う
・水がついたまま放置しない
・収納前には水分をしっかり拭き取る
・鋼の包丁は食用油を薄く塗ってから収納する
※長期間使わない場合は、さらに新聞紙で包むと安心!

目的に合わせて選ぶことがポイント

包丁には、さまざまな種類がありますが、専用の包丁になればなるほど、使いこなすための技量が必要になります。料理のプロであれば話は別ですが、家庭で使う場合には、三徳包丁または牛刀にペティナイフがあれば十分です。1人暮らしで、日頃から料理をする機会が少ない人はペティナイフ1本でも大丈夫ですよ。

料理の腕前をアップさせたいときや、日頃から手の込んだ料理を作る人は、目的に合わせて包丁を選ぶと良いでしょう。