お葬式マナー・赤っ恥をかく前に参列者が知っておくべき事
お葬式マナーや作法を紹介。葬儀の受付や遺族に『この度はご愁傷様です』と、ハッキリ明瞭に言葉に出すのはマナー違反だと知っていますか?香典返しを受け取った際に『ありがとうございます』はNGなのです。
知っておくと困らない!お葬式マナー
葬儀というのは、大切な方とのお別れの儀式です。訃報を聞き、通夜や告別式の会場へと足を運ぶとき、まず頭をよぎるのは”お葬式のマナー”ではないでしょうか。
『故人の宗教は何だったか…。宗派は?』
『お焼香の仕方は?』
『お辞儀は、どのタイミングですれば良いのか?』
お葬式のマナーで不安を感じることって多いですね。それは、当然です。葬儀に幾度も参列した経験のある人でも、宗教・宗派が違えばルールがわからず自信が失くなってしまうものです。
でも、安心してください。葬儀にはセレモニーの案内係がいるので上手く誘導してくれますし、近くの人の行動を真似ても良いのです。
ただし、葬儀に参列するにあたり、最低限のお葬式マナーを知っていることで、より安心感をもって故人や遺族へ礼を尽くすこともできます。
では、葬儀参列のときに知っておくと良い以下、10項目の「お葬式マナー」を紹介します。
訃報を受けた後に弔問するタイミング
訃報を受けたとき、まず考えるのは”故人との生前の関わり”です。亡くなった方が、知人の親で会ったこともない場合と、子どもの頃からお世話になっていた親戚では、葬儀に対する気持ちも立場も違います。
弔問(ちょうもん)も通夜に行ったら良いのか、告別式に参列するべきなのか悩むところですね。一般的な目安をご紹介します。
親族など近しい関係の場合
できるだけ急いで遺族のもとへ行くか、電話を掛けましょう。そして、まず、お悔みを述べて、亡くなったときの状況などを詳しく聞きましょう。
当然、後日の通夜や告別式に行く旨を伝え、葬儀の準備をしましょう。仕事や学校がある場合は、職場などに連絡して葬儀に参列することを伝えて休暇を取ります。
この場合、故人と三等身以内の関係であれば忌引き扱いの休みになるので、必ず事前に連絡しましょう。
遺族のもとに駆けつける場合は、普段着や通勤着でかまいません。早々に喪服を着用して香典まで持参すると、『故人が亡くなるのを待っていたみたい』と、要らぬ誤解を与えかねないので気をつけて下さい。
職場や仕事関係の場合
社内、社外のお付き合いともに、まず、職場に連絡して会社の指示に従いましょう。通夜や告別式の日時や場所を確認して、間違いのないように関係者に伝えることが大切です。
会社によっては、お供えの花や弔電を送る手配も任されるかも知れませんが、経験者のアドバイスを聞いて不備のないように注意を払い、特に故人の姓名や役職などは間違いのないように確認しましょう。
仕事関係の方が亡くなった場合は、同僚と足並みを揃えることです。例え、善意からであってもスタンドプレーは、後々、ヒンシュクを買うことになるので行動には十分気をつけましょう。
友人・知人関係の場合
もっとも親しく付き合いのあった友人の場合は、心情的には親族が亡くなったときと同じですよね。家族ぐるみで付き合っていたのであれば、すぐに遺族に連絡して状況を聞いても構いません。
また、単なる知人程度のお付き合いであれば、通夜に参列するだけでも充分な場合もあるので、同じ立場の知人と相談して、通夜に行くか告別式にも参列するかを決めても良いでしょう。
ご近所関係の場合
ご近所で親しくされていた場合は、訃報を聞いたら、すぐに弔問してお悔みを述べて、葬儀の準備など手伝えることがあれば、手伝う旨を申し出ましょう。
「遠い親戚より近くの他人」という言葉があります。何年かに一度、会うかどうかの親戚よりも、毎日のように顔を合せて言葉を交わし、親しく付き合っているご近所の方々の存在は遺族にとっても心強いのです。
昔は自宅葬が多く、地方によっては隣近所が葬儀の準備や食事の用意も手伝っていましたが、最近では斎場などで葬儀を行う場合が多いので近所の手伝いも限られてきます。
ご近所同士で「手伝いをどうするか」「通夜や告別式に参列するかどうか」「香典をどれぐらい包むか」を、相談して決めると足並みも揃い失礼を避けることができます。
通夜と告別式どちらに参列するべきか?
近しい親族であれば、通夜も告別式にも参列するべきですが、高齢で体調が優れない場合などは、会葬に足を運ぶことで遺族に迷惑をかけることもあるので、通夜か告別式のどちらかに行くか、代理の人に行ってもらうようにしても良いでしょう。
また、知人関係であれば通夜だけに参列して告別式は遠慮しても失礼にはあたりません。最近では、仕事が終わってから通夜に駆けつける方も多くいるようです。
通夜と告別式では、圧倒的に通夜に参列する方が多く、「義理を果たす」程度のお付き合いであれば、通夜だけに参列することで充分とされているので、故人との関わりで決めて行きましょう。
葬儀の持ち物
通夜や告別式に参列するのに必要な持ち物は、実は多くはありません。「香典」だけでも充分なのでうすが、用意できれば更にベストなものをご紹介します。葬儀用の黒バッグに入れて持参して下さい。
香典
表書きも中袋も記入し、お金も包んでから持っていきます。時間が無かったからと、近くに遺族がいる斎場のロビー等で香典袋へ、お金を包むのは、お葬式に参列する際のマナーに反します。
袱紗(ふくさ)
受付で袱紗ごとバッグから取りだした後、その場で袱紗から香典袋をとり出して受付の方に渡してから、袱紗をバッグへしまいます。
数珠
仏教葬儀の場合は必要です。
ハンカチ・ティッシュ
親しい人とのお別れでは涙が出てしまうので絶対に必要です。
替えのストッキング
女性は用意しておくと安心です。焼香をするときに伝線して穴が空いた足元を見られるのはかなり恥ずかしいことであり、身だしなみを整えてお葬式に参列するのもマナーのひとつ。
カイロ
冬場の葬儀場は、かなり冷え込みます。携帯用のカイロをコートのポケットに入れておくことをお勧めします。爪先用のカイロも便利です。
葬儀で言ってはいけない忌み言葉
葬儀の場では、使ってはいけない「忌(い)み言葉」というものがあります。迷信深い日本人ならではの発想と言えますが、やはりNGとされる言葉は慎むのが礼儀ですね。
重ね言葉
不幸が重なるようなイメージのある重ね言葉は、使ってはいけないとされています。 大事な人を亡くされた方への思いやりから、つい、口に出してしまいやすいNGワードも含まれているので、「気持ちだから…」と御遺族も寛大に受け止めてくれるでしょうが、お葬式マナーのひとつとして忌み言葉は知っておくべきです。
重ね重ね
『重ね重ね、申し訳ありません』
返す返す
『こんなに早く亡くなるとは返す返す残念ですね』はNG
次々と・たびたび
『不幸が次々と(たびたび)重なり、大変ですね』
くれぐれも
『くれぐれもお体をお大事に…』
不幸・死を連想させる言葉
死亡・死去
『亡くなられた』『ご逝去』と言い換える
生存中
『ご生前』『お元気なとき』と言い換える
つらい・苦しい・迷う
故人が長い闘病生活を経て亡くなった場合、ご遺族に辛い記憶を思い出させてしまうので注意が必要です。
キリスト教の葬儀で使ってはいけない言葉
仏教の葬儀では、よく挨拶する際に「ご冥福をお祈りいたします」という言葉を使いますが、キリスト教では、「死」は決して悲しむべきことではなく、神に召される祝福されるべきものとされているので使わないように気をつけましょう。
同じような意味として「安らかな眠りをお祈りいたします」と言い換えましょう。
葬儀での立ち居振る舞い
何をどうしたら良いのか分からずに会場内でウロウロしたり、遺族の席に座ってしまうなど、その場にふさわしい立ち居振る舞いを心掛けて行くことも大事なお葬式マナーです。
会場に到着したら受付に向かう
宗教や宗派によって葬儀の進行は多少異なりますが、会場に着いたら、まず、”受付で芳名帳に記帳を済ませて香典を渡す”のが慣例です。
受付での大事なポイント
1.挨拶の言葉は、『この度はご愁傷様です』とハッキリ明瞭に伝えるのはNG。『この度は…』と、小さな声で言葉を濁して語尾を曖昧にします。無言で一礼するのがベストなお葬式マナーです。
2.香典は”表書きの名前を受付係りの人に向けて両手で渡します”。
3.香典返しを受け取った際に『ありがとうございます』と言ってはいけません。無言で一礼するだけにします。
お葬式開場で座る位置
会場に入ると、案内係りが座る場所に誘導してくれる場合がほとんどですが、案内がないこともあるので、以下のルールを覚えておきましょう。
「祭壇に向かって通路の右側が親族の席」
「左側が一般会葬者の席」
親族の場合は、喪主・遺族が一番前に座り、その後、血縁の深い方から祭壇の近くに座るのが通常です。
一般会葬者の席位置は特に決まっていませんが、それほど故人と親しい関係にない場合は、できるだけ後ろの席に座る方が無難です。
遺族と顔を合わせたときの対応
葬儀が始まる前に会場内で遺族とバッタリと出会ったとき、『このたびは、大変なことで…』『急なことで、驚きました』と、言葉数、少なめに語りかけましょう。
自ら故人の最期を語る”ようであれば静かに耳を傾け、こちらから『どうだったの?苦しまなかった?』などと、不躾な質問をするのは絶対にやめましょう。
また、他の参列者も話掛けてくるようであれば『では、後ほど…』と、その場を離れて下さい。
葬儀終了後、会場を後にするときに遺族と顔を合わせたときは、『どうかお疲れが出ませんように…』『お身体に気をつけて…』などと気遣う言葉をかけるか、無言で一礼をするにとどめておきましょう。
喪主や遺族は相当に疲れているので、できるだけ負担をかけない心遣いが必要です。
焼香の仕方
焼香のやり方は宗教、宗派によって多少、異なります。
また、椅子席の場合は立って焼香をするのが一般的ですが、寺院などで畳敷での葬儀の場合は、香炉を手渡しする”回し焼香”をすることもあります。
ごく一般的な焼香の仕方をご紹介します。
1.数珠は左手で持つ
2.焼香を待つ人の列に並ぶ(案内の誘導どおりに並べば良い)
3.順番が回って来たら、家族に向かってお辞儀をする
4.霊前(位牌・遺影)に一礼する
5.右手の「親指・中指・人差し指の3本の指先」で香をつまみ、香炉の墨の上に落とします。(宗派によって異なるが、解らない場合は1~3回)
6.香を落とした後、合掌して霊前に再び一礼します。(合掌するときは、数珠を両手に持ちます)
7.遺族にお辞儀をして退場します
迷って慌てると、動作がぎこちなくなり御霊前や遺族への一礼を忘れてしまうなど、大切な礼を欠いてしまうことに繋がるので、落ち着いて前の人の真似をして下さい。
葬儀にかかる時間と流れ
葬儀では、遺族・親族・関係者と一般の会葬者では、かなり所要時間が異なります。喪主を始め、葬儀を執り行う葬家は、葬儀開始の一時間前には会場に到着して早めに来られた会葬者に対応し、通夜・告別式開始の30分前には受付を開始するという流れになります。
では、主に一般会葬者の葬儀にかかる時間を把握して、遅れることや途中で退席することがないように配慮して下さいね。
通夜にかかる時間
通夜の開始時間は、東京では一般的に午後6時頃から始まりますが、葬儀社や遺族の都合で、一時間前後のズレがあるので、必ず事前に時間の確認することをお勧めします。
1.受付を済ませて開始時間までに席に着く
2.時間通りに僧侶が入場して読経が始まる
3.喪主・遺族・親族が焼香します
4.一般会葬者が焼香します
5.僧侶の説話・説教があります
6.”通夜振る舞い”の席に移動して「故人への供養に」と、食事や飲み物が出されます
7.喪主が、お礼を述べて、お開きになります
上記が通夜一連の流れですが、焼香を済ませた後、すぐに通夜振る舞いの席に誘導される場合もありますし、故人への供養のために一口だけ食べ物に箸をつけて退場したり、茶菓の代わりの品を渡すのみで席を設けないケースもあるので、所要時間の目安は1時間から2時間です。
告別式にかかる時間
開始時間は火葬場との関連もあるので、東京では一般的に午前10時から午後3時の間に行われることが多く、すべての式に参列するとなると半日以上はかかる行程になります。
告別式自体は1~2時間程ですが、その後、火葬場に行き、初七日の法要や”精進落とし”等も執り行う場合もあるため、通夜に比べると長い時間がかかります。
1.受付を済ませて開始時間までに席に着く
2.時間通りに僧侶が入場して読経が始まる
3.喪主・遺族・親族が焼香します
4.一般会葬者が焼香します
5.代表者が弔事を捧げ、弔電が読まれます
6.僧侶が退場します
7.お別れの儀式が始まります。祭壇にあった柩を移動させて蓋を開け、故人の思い出の品を入れたり、生花を入れて最後のお別れをします
8.霊柩車に乗り出棺します
一般会葬者は門送り(かどおくり⇒故人の乗った霊柩車を見送ること)を済ませて、ここで解散することが多い。
9.火葬場に移動して火葬を行います
(火葬時間は1~2時間)
10.遺骨を収骨し、式場に戻って初七日の法要を行う
(本来は、初七日法要は後日行うものですが、東京ではほとんど「繰り上げ初七日」として告別式の日に行います。地方によっては49日、100日法要など略式で執り行うことも有)
11.精進落としの会食をして解散する
遠方から通夜・告別式に来られる方のために宿泊施設がある式場もあるので、事前に確認しておくことをお勧めします。また、地方によっては、出棺前に食事を出したり、門送りをする風習がない地域もあります。
「別れ花」の仕方
「別れ花」とは、出棺の前に最後のお別れとして”柩(ひつぎ)に入れる花のこと”です。柩の中を花で一杯にして故人を送り出すという大切な儀式です。
葬儀社のスタッフが花をのせたお盆を持って参列者の前を回ります。参列者はまず、一輪の花を葬儀社スタッフから受け取ります。喪主、近しい人の順番に柩に花を入れていき、故人の顔の周りや胸のあたりから納めていきます。
親族、一般会葬者がすべて花を納めてもお盆の上の花が残っているようであれば、次は順番に関係なく花を数輪ずつ柩に入れます。
このときは、個人的に用意した故人の好きだった花などを一緒に供えても良いでしょう。花束やアレンジメントなどは避けて、純粋に茎を除いた花だけをお供えして下さい。
盆に乗っている花の種類は、「仏花」と言われる菊や百合などが主流ですが、最近は蘭などの洋花も多く用いられます。
葬儀後の身の清め方
「お浄め」とは、葬儀に参列したあとに、死の穢れを家に持ち帰らないようにする儀式です。玄関で、葬儀の際に配られた「お浄め塩」を手に取り、肩に振りかけて完了です。「お浄め塩」がないときは、自宅にある食塩でかまいません。
ただし浄土真宗においては、「死は決して穢れではない」という教えなので、「お浄め」の儀式はありません。
迷信的なものではありますが、気になる方は、「お浄め」を行ってください。お浄めの習慣は、その土地の風習によっても異なりますので、高齢者に相談してみるのも良いですね。
葬儀に参列できないときの対応
お葬式にはできるだけ参列するのがマナーですが、どうしても都合がつかず参列できない場合は、以下の対応法があります。
供花をおくる
まずは喪主の名前、葬儀社・葬儀場の正式名称や住所、電話番号、葬儀の日時などを確認しましょう。供花を送る場合は、葬儀社に連絡して頼むのが一番良い方法です。知っている花屋に依頼する方法もありますが、祭壇に飾られるので、他の親族の供花とのバランスも取れます。
金額は一定で「一基」「一対」という形で頼みます。
また、付け花には送り主の名前の入った札が立てられますので、会社名義で送る場合は名称を正確に伝えましょう。
果物などのお供物を送る場合も、同様に葬儀社に依頼するようにしましょう。盛り籠に納めて祭壇のわきに飾られます。
弔電をおくる
弔電を送る場合も、葬儀社や葬儀会場を確認するのは必須ですが、一番重要なことは、通夜や告別式の日時までに弔電を届くようにすることです。送り先は自宅または葬儀会場にして、喪主宛てに送りましょう。
文面は、できるだけ故人への想いが伝わるオリジナルの内容が望ましいですが、思いつかない場合は、電話帳に例文などが載っていますので参考にすると良いですね。
弔電も種類が豊富で「押し花」「漆塗り」「線香つき」などありますので、故人のことを思い浮かべてふさわしいものを選んでみてはいかがでしょうか。
香典をおくる
一番、誠実な方法は「葬儀後に直接、遺族のもとに出向き、線香をあげて故人を偲び香典を仏壇に置いてくること」です。
しかし、遠方に住んでいる場合や体調が優れないときは郵送でも構いません。
葬儀に参列するときと同じように表書きを書いた香典袋を封筒に入れて現金書留で送ります。その際には、必ず、葬儀に参列できなかったお詫びと故人へのお悔みのメッセージを添えて、気持ちが伝わるように配慮してください。
参列を拒否された場合
近親者だけで集まって葬儀を執り行う「家族葬」が増えていまよね。葬儀に於いて、一番、失礼にあたるのは「お断りされているのに無理やり葬儀に参列すること」です。
大切な人を亡くした喪主や家族は心身共に疲労しているので相手の気持ちを尊重し、葬儀が終わり、遺族が落ち着かれた頃に都合を聞いてお線香を上げさせてもらいに行くのが良いですね。
このケースでは香典は郵送ではなく、直接、ご自宅へ伺う際に持参しても失礼にはあたりません。
悔いが残らないお別れを
冠婚葬祭の中でもっとも気を遣う行事が、お葬式ですね。また、訃報は突然に舞い込んでくるので心の準備が出来ていないとお葬式のマナーに戸惑うことが多くて不安になります。大切な人とのお別れなので精神的にも複雑ですし、香典を用意するのも、葬儀に参列する段取りをつけるのも大変なことでしょう。
また”義理の関係”でも、知らぬふりができないのが葬儀です。すべきことをしておかないと後悔が残るものです。自分と故人との関係をよく考えて、一番良い方法で、お別れをしてください。故人を心から悼むことが葬儀の参列者にとって、もっとも大切なお葬式のマナーなのです。