葬式香典・相場・書き方・渡し方・包み方マナーまとめ

お葬式の香典で迷うのが金額や香典袋の種類ですよね。包む金額によって使用する香典袋(不祝儀袋)は違うので要注意。また、葬儀に参列する際は、地味な色の袱紗(ふくさ)も用意しておくのが香典マナーのひとつ。

葬式香典・相場・書き方・渡し方・包み方マナーまとめ

お葬式の香典マナー・参列する際に確認を!

「香典」とは、仏式などの葬儀の際に故人の霊前に供えるお金のことです。お香や線香の代わりにお供えすることから、このような呼び名になりました。仏式の香典袋は、一般的には「不祝儀袋」と言われます。

訃報は思わぬときに突然、届きます。同じ冠婚葬祭のイベントでも以前から決まっている結婚式などとは違い、時間に余裕のないことが殆どです。数日以内に葬儀に参列しなくてはいけないので準備に慌ててしまう方も多いのですが、特に頭を悩ませるのが”香典”です。

自分の家は仏教でも、弔問に訪れる家の宗教が神道であったりキリスト教であったりすると、香典に関する”しきたり”がわからず困ることもありますね。お葬式に参列した経験があっても、香典袋(不祝儀袋)の種類や香典の渡し方というのは意外と知らないものです。

今回は、通夜、告別式など、お葬式に参列する際に、『香典は、いったい幾らぐらい包めば良いのか?』『どのような渡し方をしたら良いのか?』との迷いを解決する、一般的なお葬式の香典に関する知識と基本的なマナーを紹介します。

1.香典の相場

2.香典袋の種類・使い分け

3.香典袋の書き方

4.香典の渡し方

5.香典の豆知識


急な訃報の知らせを受けて戸惑うことがないように、ぜひ参考にしてください。

香典の相場

香典とお金

香典は強制的なものではありません。あくまでも気持ちを表す手段に過ぎません。ですから、極端なことを申し上げれば、香典を包まずに故人に手を合わせお焼香するだけでも充分なのです。

しかし、故人との生前の関わりや周囲とのお付き合いがありますし、香典を包むのが常識とされる現代では、自分の立場に沿った香典の金額を知っておくというのは大切なことです。

実は香典の金額は定まってはいません。葬儀を執り行う葬家(喪家とも言います)とのお付き合いや地域のしきたりなどもあるので、葬儀を多く経験している年長者に相談するのが一番良いのですが、やはり周囲との足並みを揃えるために「目安」は知りたいものですよね。

香典の常識

「9」を除く奇数の金額

1,3,5,7,などの割り切れない金額を包むことが通常です。迷信深い日本人は、割り切れる数字を「故人との縁も切れる」として昔から避けてきたようです。 ただし、2万円は例外とされています。

親族の場合は、葬儀費用を考慮して多めに包む

お葬式を執り行うには百万単位の費用がかかります。葬家でない親族は、葬儀費用の足しになるように、多めに包むのが常識とされています。

香典金額の目安

親・義理の親

5~10万円(自分の年齢や社会的立場により金額は変わってきます)

兄弟・姉妹

5万円

伯父・伯母

1~3万円(お世話になった方と縁の薄い方では金額が変わります)

その他の親戚やいとこ

3千円~3万円(生前の関係によって金額は変わります)

友人・知人

5千円~1万円

友人の親

3千円~1万円(ママ友のご両親なども相当します)

隣近所

3千円~1万円(近所付き合いもあるので、世話し役に相談して金額を揃えるのが良い)

勤務先の上司・家族

5千円~1万円(勤務先から生花などを出す場合、直接に仕事に携わっていない場合は、5,000円で充分です)

勤務先の同僚・家族

3千円~1万円(勤務先から生花等を出す場合は3,000円でも良い。また社員や友人の連名で香典を包む場合もあります)

葬儀に参列する同じ立場の方と相談して金額を揃えることをお勧めします。若い人が高額の香典を包んで目上の方たちから顰蹙(ひんしゅく)を買ったり、中高年になって少額の香典を包んで恥ずかしい思いをすることもあります。

先述したように、本来の香典は「気持ち」なので金額は関係ないのですが、中には世間体や風習にこだわる方もいるので、一般的な相場で包むのが賢明です。

香典袋(不祝儀袋)種類・使い分け

香典袋

香典袋は文具店やスーパーやコンビニなどでも売っているのですが、普段は意外と目に留まらないものなので、必要になって初めて様々な種類があることに気がつくのではないでしょうか。

仏式の香典袋には白黒や銀色の「水引」をかけたものや、「水引」が袋に印刷されたタイプなど、いくつか種類があり、包む金額によって香典袋を使い分けるのが一般的です。

包む金額によって、以下のように香典袋を使い分けます。

3千円~5千円

水引が印刷されたタイプ

1万円

白黒の水引をかけたタイプなど

1万円以上

銀の水引をかけたタイプなど

水引の本数が多いほど格が上がるといわれているので、銀の水引きをかけた香典袋に3千円を包むのは非常識とされているので、香典袋の選び方には注意が必要ですね。

香典袋の書き方

筆ペンかサインペンを使用する

香典と筆

その昔、日本では墨を擦って筆で文字を書く習慣があったため「訃報を知り、墨をする間もなく駆けつけた」という時代背景が影響して、香典袋に名前などを書くときに適しているのは”薄墨の筆ペン”とされています。

”絶対に…”と、神経質になる必要はありませんが、クッキリ黒々と豪快に書かれている文字より”薄墨の筆文字”のほうが、大切な人を亡くし悼む気持ちが伝わりやすいので1本用意しておくことをお勧めします。

また、中袋に住所を記載する際には問題ありませんが、表書きにボールペンを用いるのは失礼にあたるのでNGです。

表側の書き方

香典袋の表書きは宗教によって違うので、もっとも神経を使うところです。訃報を受けたときに、故人の宗教などを確認すると細かな配慮ができます。仏教・神道・キリスト教など宗教別に香典袋の表書き方法を紹介します。

仏教・仏式

御霊前
御仏前(御佛前)
御香典
御香料

香典は通夜または告別式へ持参します。「御霊前」という言葉は、死者の霊前にお供えすることに由来します。

まだ火葬される前のご遺体にお供えする香典は「御霊前」の不祝儀袋を使用します。火葬されて遺骨になってからは、「御仏前」と表書きします。

四十九日忌や一周忌の法要に供える香典は表書きを「御仏前(御佛前)」とします。

キリスト教

御霊前
御花料

キリスト教は焼香をせずに、花を供えるので「御花料」というのは頷けますね。

仏式と同じように「御霊前」の表書きでも良いのですが、表袋に”蓮の花”が描かれているものは仏教を意味するので”無地の香典袋”を選びましょう。

神式

御霊前
御玉串料
御榊料

神式では、祭壇に榊を飾り玉串を供えることから、上記の表書きとなります。玉串とは、神道の儀式で神前に捧げる榊の枝に紙垂をつけたものです。

”蓮の花の絵のついた御霊前”は、仏式以外では使えないので注意しましょう。

故人の宗教がわからない場合

蓮の花の絵が描かれていない「御霊前」を供えるのがもっとも無難です

御霊前と書かれた香典

名前の書き方

水引の下段にはフルネームで名前を書きます。水引の上に書かれた「御霊前」などの文字の大きさとバランスを取るように丁寧に書きましょう。

【夫婦連名の場合】

中央に夫の姓名を書き、左横に妻の名前だけを書く

ビジネス関係では交友関係や繋がりなどを遺族が把握していないケースも珍しくないので、”名前の左上に小さ目の文字で社名などを添え書きしておくと親切です”。

その他、職場の同僚、友人等などと、連名で香典を包む場合は、水引の真下から左に向かって五十音順に”3名のみ”フルネームで書きます。

4名以上で香典を包む場合は、「株式会社○○商事 企画部一同」などと名称を表に書き、全員の名前を記載した紙をお金と一緒に中袋へ入れます。

また、香典返しの件で遺族が困らないよう、中袋には代表者の住所だけを記しておく配慮も忘れないで下さい。

中袋の書き方

中袋には、住所・名前・電話番号・香典の金額を書く欄がありますので、必ず正確に書きましょう。後ほど、遺族が芳名帳と照らし合わせて返礼品などを送る際の手間を省くためにも遠慮せずに明記するのが礼儀です。

金額の書き方

中袋には、金額を書く欄がありますが、通常、旧漢数字を使うのが決まりです。「一」「二」「三」などは、特に後で書き換えられる恐れがあるので、改ざんができないようにという配慮から来ています。

「壱」「弐」「参」「伍」「拾」「仟」「萬」「圓」などの旧漢字を使いましょう。

また、金額を書く欄が横書きの場合は、アラビア数字で「金10,000円」と書いても問題はありません。

香典の渡し方

袱紗(ふくさ)を用いる

香典と袱紗(ふくさ)

自宅で香典袋を袱紗に包みます。日本では、直接に手で持って行くことは失礼とされていますので、できれば袱紗に包んで下さい。

袱紗とは、慶事や弔事でご祝儀や香典を渡すときに、包む小型の風呂敷のようなものです。袱紗の色は様々にありますが、弔事では紺やグレーなど地味な色を使用します。お祝いごとにもお悔みごとにも使える”紫色の袱紗”は便利です。

受付で渡す場合

芳名帳への記帳を済ませたあと、袱紗から香典袋を取り出します。

この場合、左手に祝儀袋を持ち、右手で袱紗を開いて取り出し、受付係に表書きの名前が向くように両手で渡すのが礼儀とされていますが、混雑している場合や気持ちが動転している場合は、所作を忘れてしまっても仕方ないので神経質になり過ぎる必要はありませんが「両手添え」だけは忘れずに。

両手添えで香典を渡す

香典を渡しながら、ひと言、お悔みの言葉を添えるときは、『このたびは…』『突然なことで…』など、語尾を曖昧にしてハッキリ伝えないようにしましょう。

礼儀正しくしようと明確な言葉で挨拶をしてしまうと、故人とのお別れに哀しみを感じられず、かえって顰蹙(ひんしゅく)を買ってしまうことがあるので注意が必要です。気持ちを込めて”無言で丁寧に一礼する”ことをお勧めします。

受付がない場合

最近では、葬儀は式場で執り行われることが殆どですが、現在でも稀に自宅で葬儀をすることもあります。

その場合、受付などを設けていないこともあります。遺族と親しくしている関係であれば、通夜や告別式の前に直接、お悔みの言葉と共に渡し、遺族に渡す機会がない場合は焼香の際に御霊前に供えましょう。香炉のそばに香典袋よりひと回り大きいぐらいの”黒の塗盆”があれば、その上に置きます。

表書きの文字が御霊前から読めるように、”香典袋の向きに注意”して下さい。

知人から香典を預かった場合

受付で『本日は参列できない知人から御香典を預かっているのですが…』と断りを入れ、来られなかった知人の名前を記帳し、預かった香典を受付に渡します。

この場合、知人は実際には参列していないので、芳名帳の知人の名前のところに小さく「代理」と書き加えます。

このような些細な気遣いは、遺族は参列した人としていない人の区別がつき、後日、役立つことがあるので心掛けておきたいものです。

参列できない場合

遠方に暮らしていたり体調が優れないとき、どうしてもキャンセルできない大切な用事があって葬儀に参列できないとき、香典をどうしたら良いのかと悩みますね。

通夜、告別式、いずれのお葬式にも参列ができない場合でも、お悔みの気持ちを形に表して遺族へ伝える方法はいくつかあります。

弔電を打つ。弔電用の電報には、「押し花」「漆塗り」「線香つき」など様々な種類があります。また、例文もあるので、故人とあまり付き合いが深くない場合は、一般的な弔電文を利用しても良いでしょう。

現金書留で香典を送る。訃報を受けて、葬儀に参列できないと判断したら、できるだけ早く香典を送りましょう。その場合、香典袋だけを封筒に入れるのではなく、参列できなかった理由、お悔みの言葉を忘れずに添えましょう。

後日、お参りに行く。葬儀が終わってから、改めて故人の家を訪れます。その場合は、『お線香をあげさせてください』と、必ず事前に遺族へ連絡をしてから訪問しましょう。香典を供える場合は、すでに故人は遺骨になっているので、表書きは「御仏前」と書くように注意しましょう。

お参り

花や線香を送る。月日が経ってから亡くなった知らせを受けた場合は、香典を送るとかえって遺族に気を遣わせて迷惑を掛けることもあります。お線香やお花など”遺族が気を使わない程度のもの”を送り、故人との関わりや思い出を綴った手紙などを添えることが一番喜ばれます。

義理はあるけれど、故人とあまり関わりのなかった間柄の場合のお悔みメッセージ文例は?

「このたびは、○○様のご訃報に接し、心からお悔やみ申し上げます」から始まり、「生前のご厚情を深謝しますとともに、○○様の在りし日のお姿を偲び、謹んで哀悼の意を表します」

香典の豆知識

香典は葬儀のときだけ包むものではない。四九日忌や納骨、一周忌などの法要のときにも、「御仏前」として香典を包むのは常識です。法要の後には食事も出されるので5千円~1万円を包むのが一般的です。

香典に”新札”は使わない。『旧札では古すぎて失礼なのでは…』と気になったり、たまたま新札しか手元になくて旧札と取り替えることができない場合などは、新札を縦に折ったものを包むと良いでしょう。新札を包むのは、前以て「死」を予感し準備しているように思われるので非常識とされます。

 お札は肖像画のない裏面を前(表側)に向けて中袋に入れる。

「顔を伏せる」という意味から、香典袋からお金を取り出したときにお札の肖像画が見えないように配慮します。

 香典袋は糊付けしないお金を入れるものなので中袋、上包みの糊付けをするべきか悩む方も多いのですが「不要」です。

気持ちをカタチで表わすのが香典

生きて人と関わって行く限り、大切な方とのお別れから逃れることはできません。葬儀に参列する際に、最低限の香典マナーを心得ておけば『非常識な行動をしているのでは…』と不安になることもなく、大切な方に心をこめてお別れすることができます。

葬儀や香典にはルールがあるものの、一番大切なのは故人への真摯で誠意ある気持ちなのです。しかし、決まりごとに捕らわれすぎ必要はないと不作法な振る舞いをするのは、遺族に対しても失礼にあたりますので、悼む気持ちや真心を伝えるためにも香典を包む際の参考になさって下さいね。

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島田みずき

長年、作家活動のために取材を重ね集めた情報や経験を活かして恋愛や結婚やライフスタイル記事を中心にお届けします。