京都喫茶店・なつかしくも新しい古き良きレトロなカフェ
京都喫茶店はレトロな内装のお店が多く、老若男女誰からも愛されるカフェがたくさんあります。昭和初期から続けているフランソア喫茶室や40年以上の歴史を持つ喫茶KANOなど、ステキなお店を紹介。
京都の喫茶店でレトロ時代にタイムスリップ
京都というと、懐石料理や豆腐料理など和食の京料理が有名です。特に2013年に「和食」がユネスコの無形文化遺産に登録されたことから、近年より注目が集まっています。
ですが、意外なことに「京都はパンの消費量が日本一」なのです。その理由に、京都人は新しい物好きだから、という分析もあったりするようです。ということは、日本にコーヒーなどが入ってきたときに、いち早く目新しい文化を取り入れて、古くから営業しているカフェもあるのでしょうか?
「おしゃれな雰囲気のカフェで大人気分に浸りたい」
「両親をレトロな喫茶店へ誘い、懐かしい気分に浸って欲しい」
ということで今回は、京都のレトロなカフェでランチを味わってきました。京都には、どのようなレトロ喫茶店があるのでしょうか?
▼フランソア喫茶室
「フランソア喫茶室」は、京阪本線祗園四条駅、阪急電車河原町駅、どちらからでもすぐのところにあります。鴨川の西側にある高瀬川の横の道を入ったところにあります。
このお店、開店したのはなんと1934年(昭和9年)。店のホームページによると、「創業者立野正一と友人高木四郎、イタリア人の京都大学留学生(文学部)ベンチベニら芸術仲間が設計」したというお店で、当初から「サロン風の贅沢な喫茶店であった」とのこと。
店名は「画家であったフランソア・ミレーから」付けられたということです。
まるで、昔の日本にタイムスリップしたかのような建物が目の前にあります。それもそのはず、2003年(平成15年)に喫茶店としては初めて国の登録有形文化財(建造物)に指定されているほど、昔に建てられた建物で営業しています。
看板も何ともいえないレトロな雰囲気がしますねよ。一見すると2軒の店に見えますが、看板が店の真ん中にある形で、入口は看板の右側の方になります。
なんとなく、袴の女学生などが座っている雰囲気がある店内です。店員さんの制服もどこか懐かしい古き良き見た目です。
天井はドーム型で、壁にはさりげなく「モナリザ」や「真珠の耳飾りの少女」などの絵が飾ってあります。
ちょっとしたところにさりげなくあるステンドグラスもとてもおしゃれです。80年前から今まで、たくさんのお客さんがここで楽しいひと時を過ごしたのだろうな、思わず物思いにふけりたくなります。
ここで、注文したのは「フレンチトースト」のセットメニューです。フレンチトーストにサラダ、コーヒーのセットとなっています。
まずはサラダからいただきます。左側に見えるイチゴが珍しいですよね。サラダ菜、キャベツ、トマト、キュウリとイチゴなのですが、イチゴとトマトの鮮やかな赤がとてもキレイ。サラダ菜の緑にキャベツの白で、まるでお花畑に見えます。
トマトもイチゴも甘くてとてもおいしかったです。サラダにイチゴのようなフルーツを加えるのは、もしかしたらお店ができたころからの伝統なのかな?と思いつつ味わいました。
フレンチトーストはこちらには、右上にシロップが添えられていて好きな分量をかけて食べることができるようになっています。写真ではシロップの入れ物に半分隠れていますが、皿にはお店のマークが入っていました。
このトーストで驚くのはパンの厚みです。お分かりいただけるでしょうか?「4枚切りよりも厚いのでは?」と思うほど大きなパンを使用していて、ボリューム感たっぷりです。
フレンチトーストはブランチなどで作る機会があるのですが、なかなかしっとりふんわりとはいかないもの。こちらのフレンチトーストはパンの厚みがあるので、しっとりふんわりな味わいです。
パン1枚とは思えないほどにボリュームもあり、フレンチトーストの理想形といった感じです。シロップをかけると甘みが増して、さらにおいしく食べられました。このシロップが浸みこむのもまた美味しさを引き立ててくれます。
紅茶は飲みやすく、美味しいお茶でした。フレンチトーストがどちらかというと甘味があるので、ストレートがちょうど良い感じ。コーヒーはウィンナータイプのコーヒーだということなので、この次はコーヒーと共に味わうのもいいかなと思います。
このカップには、細かい装飾があって、とてもおしゃれ。浮き彫りのような感じで、白いカップにもソーサーにも、ぐるりと模様が入っています。
このお店はとにかく雰囲気がいいです。大人がゆったりとお茶を飲む、というのに適した喫茶店、という感じで、サラダ、フレンチトースト、紅茶、どれも丁寧に作られているのがわかるような感じの味でした。四条河原町からも近いので、買物の時にでも一休みしてみてはいかがですか?
フランソア喫茶室
京都府京都市下京区西木屋町通四条下ル船頭町184
▼喫茶KANO
もう1軒は「喫茶KANO」。フランソア喫茶室の隣にある高瀬川を南に下ったところですが、電車を使うなら祗園四条から1つ淀屋橋より、清水五条駅で降りて五条大橋を渡ってすぐのところになります。
こちらの喫茶KANOは1971年(昭和46年)開店。フランソア喫茶室よりは新しい、といっても40年以上の歴史を持つ喫茶店です。
玄関からすでに異国情緒あふれる佇まいです。横を見ると、階段のようなものも見えますね。
高瀬川の本当にほとりにある喫茶店で、右側に写っている木は桜です。春はお花見、秋は紅葉が楽しめるお店なのです。
上の写真に写っている出窓の部分、中から見るとこういう感じになっています。窓枠が入っていますが、春や秋にこの席へ座るには開店と同時に行かなくてはならないほど人気の場所です。ぜひ、桜や紅葉を楽しみながらひと息ついてみたいですよね。
さて、こちらで頼んだのは「ツナクリームスパゲティ」にセットで紅茶をチョイスしました。
メニューが運ばれてきました。パスタにサラダとパンがセットになっています。
サラダはレタスとキャベツ、トマトが使われていますが、和風ドレッシングとマヨネーズがかかっています。和風ドレッシングなので味としては軽めで、マヨネーズがプラスされてちょうどよい感じになっています。パンはサクサクにトーストされていて、なかなかの美味です。
こちらがツナクリームスパゲティです。ツナとシメジが入っていて、白いクリームソースがたっぷり。トーストがついているので、ソースをつけて食べるのもおいしいかもしれません。
とろりとしたクリームがパスタによく絡みます。粉チーズをふるとさらにコクが出ますよ。今風のパスタというよりはなつかしの味のスパゲティのイメージに近いかもしれません。
こちらはセットの紅茶で、砂糖の入った容器が金色でおしゃれな感じですよね。
多少濃いめに淹れられているでしょうか。喫茶KANOの紅茶も飲みやすくスッキリした味わいで美味しかったです。
このお店もまさに「昔ながらの喫茶店」といった感じのお店でした。ゆったりと外の景色を楽しみながらお茶を飲むというのに適した感じのカフェで、客層も比較的大人の方が多かったようで、男性客が意外と多いのかな、という印象を受けました。
喫茶KANO
京都府京都市下京区西橋詰町785
京都の喫茶店でカフェの歴史を感じよう
今回は京都の歴史がある喫茶店をご紹介しました。京都は伝統や歴史が息づく街とよくいわれますが「喫茶店」なども古くから京都の街に溶け込み今に至っているのだな、という印象を受けました。
どちらも今流行りの「カフェ」というよりは「喫茶店」という名前がぴったりの、趣のある店で、メニューも昔からの伝統の味をしっかりと守りつつ営業を続けています。
のんびりとお茶を飲み、時の過ぎるのを楽しむ、という雰囲気ですね。どちらも比較的繁華街からも近く、交通の便もいいところにあります。四季の移り変わりを感じつつ、ゆったり流れる時間に身を任せてお茶を飲んでみてはいかがでしょう。