猫の飼い方・ネコの幸せをガッチリ守る飼い主になる心得

猫の飼い方は簡単ではありません。ペットショップで可愛いネコに一目惚れしても、準備が整う前に自宅へ連れて行ってはダメ。猫が快適に健康に安全に暮らしていける環境か?ペット保険等の支払いは大丈夫かチェック。

ネコの幸せは猫の飼い方で決まる

ペットショップで、丸い愛くるしい目の子猫ちゃんを見ると『連れて帰りたい!』という衝動に駆られますよね。でも、思いつきで猫を飼うのだけは止めてください。本当に“かわいい”だけで猫は飼えるのでしょうか?万が一、ネコが病気になったら多額の治療費が掛りますが大丈夫ですか?

猫を飼い方には”気を付けるべきポイント”があり、初心者なら全てを理解しておかないと『こんなに部屋が臭うとは思わなかった…』『家中、爪で傷つけられて困る…』『病院代の負担が耐えられない…』と、ネコを飼った後に手を余して捨ててしまったり、愛情を注げなくなったり、悲しい事故を引き起こしてしまう飼い主もいるのです。


1.ペット保険に入るべき

2.ワクチン接種は重要

3.ワクチンを接種の時期

4.赤ちゃん対策

5.室内の温度管理

6.室内での事故防止

7.ご近所への対応

8.爪とぎ対策

9.猫を多頭飼いするとき

罪のないニャンコを悲しませて不幸にしてはいけません。大好きな猫と幸せな日々をおくるために、心得ておくべき”猫の飼い方”を上記の順で紹介します。

1.ペット保険に加入する

皆さんご存じの通り、人間には公的な医療保険制度があるため、私たちは病院に行っても医療費の1~3割の負担で治療を受けられますよね。

でも、動物には公的な医療保険制度がないため、飼っている愛猫の食欲が低下したり、下痢をするなど体調を崩しているからと動物病院へ診察を受けに行くと、血液検査やレントゲン撮影、注射や点滴、薬を処方してもらって…と、検査や治療費に10万円を超す費用が掛かることも十分、あり得るのです。

家族同様のペットであっても保険の効かない医療費の支払いは家計に大きな負担になるため、最小限度の治療しか受けさせてあげることしか出来ずに心を痛めている飼い主や体調が回復せずに苦しんでいるペットもいるのが現実です。


しかし、解決する方法はあります。最近では医療費負担が5割~9割とプランによって支払いタイプに差はありますがペット専用の保険に加入することです。ネコの体調に変化が現われたときでも検査代や治療費の心配が軽減されるため、すぐに病院へ連れて行き、病気の早期発見や早期治療に繋がるのです。

ペット保険加入のポイント

・後日精算の保険会社か?
・動物病院の窓口で精算できる保険会社か?

※加入前にチェックしておきましょう。

月々支払う保険料も500円~3000円など、従来に比べると比較的安く気軽に加入できるプランもあります。

多頭飼いしている場合、ペット・マイクロチップを入れている場合、ペットが1年間無事故で過ごしている場合などは、保険料が割引されるプランもあるので、猫の健康を守るためにもネコを飼う前にペット保険加入の検討を強くオススメします。

2.必ずワクチン接種する

飼い猫には飼い主さんが責任を持ってワクチンを打ってください。もし、ワクチンを打たないまま放置していると”猫風邪・白血病などの感染症”にかかるリスクが高まり、最悪の場合は亡くなる可能性もあるからです。

人間に感染するウイルスがあるように、猫に悪さをするウイルスが存在します。特に、完全な室内飼いではなく、屋外へ行き来しているネコは外で何をしているのか飼い主さんは把握できないですよね。

ウイルスに感染した野良猫と遊んで感染するリスクは十分にあるため、ワクチンを接種して未然に病気を防ぐ対策をしておく必要があるのです。

完全に室内飼いの猫はワクチン不要?

いいえ。飼い主さんが外からウイルスを運んでくる可能性があるのでワクチンは必ず接種して下さい

猫が元気なうちは感染しても重症化するリスクは少ないのですが、子猫や年齢を重ねて体力が衰えてきた老猫は抵抗力がないので命にかかわる恐れがあり大変危険です。さらに、治療法が見つかっていない怖い病気に感染でもしたら、後は亡くなるのを待つだけになるのです。

また、病原菌に感染して病気になるとワクチン代より高い治療費がかかってしまうので、ここはケチらないで必ず接種しておきましょう。ワクチン接種は猫のためでもあり、飼い主のためでもあるのです。

3.適切な時期にワクチンを接種する

ワクチンを接種する時期

1回目/生後8週間後をオススメしますが、人や他のネコと触れ合う機会が多い場合は4週目以降であればワクチン接種は可能です
2回目/12週間後
3回目/1年後

子猫が1年に3回接種が必要な理由

ワクチンの免疫の効果は約1年で免疫力が高い成猫であれば充分ですが、子猫は年3回接種して免疫力を高める必要があるのです。

子猫は母乳を通して免疫をもらうのですが、生後4週間を過ぎたころから少しずつ授乳量が減っていき、その後は自力で免疫を作り始めます。この時期にワクチン接種を開始しても良いのですが、まだ免疫を作り始めている段階なので無駄になることがほとんどです。

持って生まれた体質等によっては問題のない子猫もいるのですが、他のネコ等との接点が少なくて病原菌に感染しにくい環境で飼っているのなら、子猫自身が免疫を作れるようになる生後8週間以降が理想とされています。

4.赤ちゃん対策を行う

オスはマーキングをすると臭いがキツくなり、しっかり掃除をしても落ちにくいので大変です。場合によっては、壁紙を全て貼り替えなければいけない事態になることもあります。

また、メスは激しく夜泣きをする原因となるので、できる限り去勢等の処置は行っておきましょう。

処置をするメリット

・性格が穏やかになる
・予定外の妊娠を避けられる
・寿命が長くなる

可哀そうだからと何も対処しない飼い主さんもいますが、受け入れ準備が整っていない中で愛猫が妊娠すると大変です。

猫は人間とは違い、1度に3匹~5匹ほど子猫を産みます。しかも、毎年、産むことが出来るのです。産まれてきた全てのネコを最後まで責任をもってお世話できれば問題ないのですが、現実的に難しい場合は処置をすることが猫の幸せを守ることに繋がります。


手術費用を補助してくれる自治体もあるので、自分が住んでいる地域の対応をよく調べ、必要ならば処置をしてあげるのも飼い主の責任です。また、愛猫が病気になったときにお世話になる”掛かりつけの動物病院”を見つけるチャンスでもあるので、ネコを飼うための最初の大事な仕事だと思って慎重に検討しましょう。

5.エアコンを完備する

猫は暑さ・寒さどちらも苦手です。特に暑さは熱中症になるケースもあるので、完全に室内で飼う場合は、夏、冬など温度の変化が激しい季節は1部屋だけ常にエアコンを付けて温度管理をして下さい。


夏はネコの命にかかわるくらい危険な状態になる恐れがあるので、電気代をケチらずにエアコンを付けて出掛けてください。

冬は日当たりがよく日中暖かい部屋であれば、仕事などで留守にしている間も神経質なほど心配する必要はありませんが、極度に冷え込む日や日当たりが悪い部屋で飼う場合はエアコン等での温度調節が必要です。


ただし、温度調節をした部屋に留めておくために、犬のようにリードで繋ぎっぱなしにしたり、ゲージの中だけで飼うことはやめましょう。ネコは本来、自由を好む生き物なので大きなストレスによって病気になる原因になります。

猫は自分が暑いと感じる他の部屋で寛ぐようなことはしないので、繋いだり、囲ったりせず、自由にさせてあげましょう。

6.配線を隠すorカバーを付ける

細長い電気機器の配線は”ネコが遊び道具だと勘違い”してかじってしまい、故障や火災の原因になるので対策が必要です。

電気コードで遊ばないように躾ることも必要ですが、それ以上に配線をネコから守る配慮をしたほうが一番安全で安心して生活できます。

配線を隠す方法

・配線BOXを使用する
・カーペットの下に入れる

ネコは好奇心旺盛なので歯触りの良いコンセント類は格好のおもちゃになります。自分の体に絡まって取れなくなってしまったり、感電してしまったり…、と、実際に大切な飼い猫が悲しい事故を起こすケースもあるので、”電気コード対策”は欠かせません。

7.近隣の方へ挨拶をしておく

犬ほど大きな声で吠えないとはいえ、猫も声を出して鳴きます。また、元気に走り回ったり、高いところに上って物を落としてしまうなど、飼い主の知らない(居ない)間に物音を立てていることがあります。

大なり小なりご近所には迷惑を掛けるので、ネコを飼うのなら事前に挨拶をしておきましょう。

挨拶の一例

『防音マットなど敷いて対策をしますが、迷惑になるようなことがありましたら、すぐにご連絡ください。』

想定できる問題への対策をしていることと『不快に思うことがあれば伝えられる』という安心感を与えることで、近所の方々の不満を解消できます。


動物は人間の予想をはるかに超えた行動をとります。

トイレやお風呂の換気用についている小さな窓から猫が逃げてしまったり、網戸があるから大丈夫だと思っていても、器用に網戸を開けて出て行ってしまうこともあります。

また、お散歩中に聞き慣れない物音などにビックリして迷子になってしまう猫もいるので、近隣へ一言、挨拶をしておけば見かけたときに知らせてくれたり、故意に離したわけではないことを理解してもらえるので、煩わしいと思わず必ず行って下さいね。

8.柱・壁には保護シートを貼っておく

猫は爪とぎをする習性があり、止めさせるために躾けるのは難しいのですが、家中の家具や柱を痛めてしまうことがあるので対策が必要です。お気に入りの家具や賃貸部屋の壁が傷だらけにされてもネコに文句は言えません。

大事な家具は猫が入って来られない部屋に移動させることもできますが”柱や床”はどうしようも出来ないので、保護シートを貼って猫のツメから守ります。

猫は傷や引っ掛かりがあるモノが好き

傷ついたまま放置していると、ネコは余計に引っ掻きたくなるので修理は早めにしておく!

そもそもネコは何故ひっかき傷を付けてしまうのか?

ネコの爪はいわば生きるためになくてはならない武器です。本来、獲物を獲るためのものなので爪とぎをするのはとても自然な行為であり、爪とぎをしながらマーキングもしているのです。お気に入りの場所には、可愛らしい肉球から独特の匂いを出して壁などにペタペタ付けているのです

ネコの匂いは簡単にはとれないので、傷やニオイを付けられる前の対策が重要です。

9.猫の多頭飼い(同じ部屋で飼う場合)

多頭飼いはネコ好きの人ならチャレンジしてみたいことですよね。しかし、自分の縄張りだと思っている場所に知らない猫がやって来たら、どんなネコでも必ず驚いてストレスを感じてしまいます。

新しい猫を仲間入りさせる際は、初めから同じ部屋で長い時間を過ごさせるのではなく、ある程度の時間をおいてから対面させるなど、ネコ同士がストレスを感じないようにしてあげて下さい。

ネコの多頭飼い・正しいステップ

1)新しい猫は初めての場所で強い不安を感じるので、先住猫とは別の場所に居場所を作って隔離して落ち着かせてあげましょう。

2)猫が落ち着いたら先住猫がいる場所に連れて行って対面させます。初日は5分くらい、次の日は15分と徐々に対面時間を延ばして慣れさせてあげましょう。

3)ネコ同士が慣れて体を近づけるようになり、舐め合ったり一緒に寝転がったりしたら、これから先、一緒の部屋で飼っても大丈夫のサイン。中には離れながらも威嚇し合う、相性の合わない猫同士もいますので焦ってはいけません。


多頭飼いの場合、相性が悪かったときのことを想定して、餌箱、水飲み、トイレ、寝場所は2つずつ用意しておくことをオススメします。相性が良い猫同士でも2つずつ用意しておくと、各ネコが食べた餌や飲んだ水の量を飼い主が把握できるので、どの猫が食欲不振なのかを見落とさないメリットがあります。

猫はキレイ好きなので、他の猫が使ったトイレに拒否反応を起こして排泄を我慢して体調を崩すことがあります。トイレも1匹に1つずつ用意してあげることで猫の健康を守ることができます。

愛するネコを守るのが飼い主の義務

真夏の猛暑日でも室内の温度管理するためにエアコンをつけっぱなしにするだけ経済的に余裕がない、どこに誰が住んでいるのかなんて分らないから猫を飼うくらいで挨拶するなんて煩わしいことは嫌だ、飼いネコが子猫を産んでも貰ってくれる人がいるハズ…、と、いい加減で安易な気持ち飼われたネコの幸せは保障されるでしょうか?

金銭的な余裕がなくてネコの健康管理が困難であるならば、どんなにネコが欲しくても我慢したり、子ネコが増えたときの対処が曖昧ならば適切な対処をすることが、猫にとって最悪の事態を避けることになります。

見つめたり、スリスリするなど、気ままながら愛情や幸せをたっぷり与えてくれる猫の飼い方には最善を尽くして下さいね