人気の犬・小型犬と大型犬
一口に犬と言っても種類はさまざま。実は世界的に非公認の犬種や絶滅した犬種も含めて700~800種類もあり、その中でも日本ケンネルクラブ(JKC)では国際畜犬連盟(FCI)によって公認されている343種類のうち、194種類が登録されています。
つまり、私たちは犬を選ぶのにも194種類もの選択肢があるということ。全て見た目も性格も違うのに、お気に入りの1匹を見つけるなんて至難の業ですよね。
今回は、長年、人気の犬を小型犬・大型犬に分けて性格や特徴などを紹介します。
人気の小型犬
”マンションやアパートのように限られたスペースでも飼育ができる”、”散歩中に強い力で引っ張られる心配が少ない”などの理由から、小型犬は老若男女の人気を集めています。室内犬として飼いやすいので、日本で飼育されている犬の割合の多くを占めています。何より、小さいため扱いやすく、ぬいぐるみのような可愛らしさが魅力です
1.トイ・プードル
トイ・プードルはスタンダード・プードルを小型化したミニチュア・プードルをさらに小型化した犬種です。すでに18世紀には誕生していたと言われています。19世紀のフランスではヌイグルミのような愛くるしさから”抱き犬”として人気を集めました。
現在、プードルは体型が大きめの「スタンダート」「ミディアム」、やや小型の「ミニチュア」、最小の「トイ」と4つの大きさに分かれていますが、プードル1種として公認されています。
しかし、日本でプードルは”最小のトイで飼育されているケースが多い”ので、今回は小型犬として紹介をします。
プードルの魅力
- ヘアのお手入れが楽しみのひとつに!
※手入れをする程、ぬいぐるみのような仕上がりに!
スタンダードの性格は、穏やかで落ち着きがある自信家タイプです。飼い主に忠実で賢い犬種だと言えますが、小型化していくに連れて甘えるのが大好きになっていきます。最小のトイは特に甘えん坊さんで、飼い主のそばを離れようとしません。
しかし、基本的にはスタンダードの性格や賢さが残っているので、しつけや芸の覚えも速く、とても飼いやすい犬の種類だと言えます。
2.チワワ
犬種としては最小級のチワワは歴史が古く、北アメリカでは”最古の犬種”だとされています。性格は2面性があると言われており、普段は明るく無邪気な一方で用心深く、怖がりな一面を持ち合せています。
とにかくマイペースな性格で、そのときの気分によって甘えたり触られるのを嫌がったりと飼い主を翻弄します。大人になってからもマイペースな性格は変わらないので、留守番も平気!犬にしては珍しい”一人の時間を楽しむ性格”の持ち主です。
チワワの魅力
- 犬なのに猫のような性格
毛質には、ロングとスムースの2タイプがあり、性格には大きな違いはありません。ただし、ロングもスムースも寒さに弱いので、冬場は飼い主と同じ室内環境で飼育されるべきです。
どの犬種も同様ですが、夏場の暑い日にエアコンの効いていない部屋での留守番や車内への置き去りは絶対にNG。熱中症から脱水症状になり命を落とすこともあるので十分に注意しましょう。
3.ミニチュア・ダックスフント
とにかく飼い主が大好きで陽気で活発的に動き回る、”初心者でも飼いやすい犬種”です。ヨーロッパのアナグマやキツネ、カワウシ狩りで活躍していたスタンダード・ダックスフンドを、ウサギやテンなどの小動物の狩りに利用するため、さらに小型化したのが「ミニチュア・ダックスフンド」です。
身体の大きさが最大の”スタンダード”、根強い人気の”ミニチュア”、最小サイズの”カニーヘン”と、ダックスフントは3タイプ。
ダックスの魅力
- 性格、サイズともに日本の家庭にピッタリ!
毛質はロング、スムース、ワイアーの3タイプあり、それぞれで性格に違いがあります。
ロングコートは温厚で、ミニチュア・ダックスフンドを代表するような性格です。
スムースコートは活発で気が強いのですが、遊び好きな性格です。
ワイアーコートはテリアの血を引き継いでいるため、かなり気が強く頑固者で見知らぬ人には吠え立てて向かっていきます。
4.ポメラニアン
無邪気で元気いっぱいの性格とは裏腹に知性的で学習意欲も持ち合わせたポメラニアンは、見た目の可愛さもあり人気が再燃しつつある犬種で、飼い主の足元にいつもまとわりついて歩く”甘えん坊な一面が可愛らしい” のですが、自分の思い通りにいかないと怒りだす短気でワガママな特徴もあります。また、とても警戒心が強く不審な物音や人物に過剰に反応し吠えるので番犬として大活躍してくれます。
ポメラニアンの魅力
- 多種のカットでイメチェンが可能
「柴犬カット」「タヌキカット」「ライオンカット」など、ポメラニアンはカットの種類によって見た目がガラッと変わるため、愛犬の魅力の幅を広げることが可能です。
しかし、華奢なポメラニアンは室内・室外にかかわらず、ちょっとした刺激で骨折する可能性が高いので段差のある階段などには十分気をつけましょう。また、涙がいつも出ている”涙流症”にかかりやすいため、目元を清潔にしておく必要があります。
5.パグ
ラテン語で「握りこぶし」を意味する「パグ(パグナス)」が犬種の由来となっているとおり、飛び出しそうな大きな眼、小さな垂れ耳、若くてもシワだらけでムギュッとつぶれた愛くるしい握りこぶしのような顔が特徴のパグ。
一見、不細工な顔がチャーミングで“ブサかわ系の犬”として断トツの人気を誇っています。ちょっと間の抜けた見た目ながら知的で賢く、飼い主に忠実な性格です。自尊心が強く頑固な面もありますが的確な状況判断ができる聡明な犬なのです
パグを飼うなら注意して
- 顔周辺のしわの隙間には汚れが溜まりやすいので、清潔に保つために拭いてあげましょう。
他の犬には無いシワも魅力のひとつですが、放置しておくとバイ菌が繁殖して嫌な臭いの原因になるので、月に1回はシワとシワの間に溜まった汚れをしっかり落としてあげて下さい。
また、鼻先がつぶれているため気道が狭く、いつも苦しそうに呼吸するのも特徴で睡眠中は大きないびきをかくため驚くかもしれませんが、パグにとっては普通のことなので過敏になり過ぎる必要はありません。
体内の熱交換が得意ではないので、暑い日にはエアコンは欠かせないのも忘れてはいけません。
6.ミニチュア・ピンシャー
引き締まった筋肉質な身体で”スタイル抜群の小型犬として人気”のミニチュア・ピンシャーは、よく似ているドーベルマンを小型に改良して生まれた新種と勘違いされますが、実は1700年代に誕生した歴史の古い犬種で1880年頃に誕生したドーベルマンよりも早く親しまれていたのです。
“ミニピン”の愛称で親しまれ、陽気で活動的で情愛も深く、子供とも楽しく遊びます。賢くてトレーニングすると色んな芸をどんどん覚えますが、その反面プライドが高く自己主張も強いので、甘やかして育てたり留守番の時間が長すぎると、よく吠える攻撃的で神経質な性格になる可能性があります。
ミニチュア・ピンシャーの毛質
- 被毛は短く、少し固めですが手触りはなめらかです。
※手入れはほとんど必要なく、時々ブラッシングする程度で十分
小型で短毛なのでマンションやアパートでも飼育しやすいのですが、見かけによらずエネルギッシュでスタミナがあるため”毎日の運動は欠かせません。”
運動神経が優れていてジャンプ力もありますが、細い体なので骨折や脱臼の危険性もあります。ジャンプすることを面白がっているからといって、度が過ぎた遊びをさせると大怪我に繋がる恐れがあるので飼い主がブレーキを掛けてあげる必要があります。
人気の大型犬
もちろん小さい犬も可愛い家族の一員なのですが、大型犬にはパートナーのような存在感がありますよね。体格が大きいせいで威圧感があるため怖がられることもあるのですが、小型犬と比べると顔に似合わず性格が大人しく、表情も豊かで飼い主にも忠実な犬種が多いのも大型犬の魅力です。
1.ゴールデン・レトリーバー
性格はいたって大人しく、人間が大好きで誰にでも友好的です。陽気で明るくて嫌なことや怒られたことを引きずることなく、楽しいことだけに夢中になります。子供や他のペットにも寛容に接して、一緒に遊んでくれることに幸せを感じます。
ゴールデン・レトリバーの魅力
- とても賢く人間好きなので、人間社会に貢献する名犬
名前の通り、ゴールデン・レトリバーは「金色」を連想する光沢のある美しい被毛が特徴ですが、金色と言っても明るいクリームのような色から、少し暗みのある赤混じりの金色と多彩です。元々、アメリカ系のゴールデンは濃い目の赤茶色ですが、イギリス系のゴールデンはピレニーズに近い白い被毛であるとされています。
ゴールデンの光沢ある被毛は、抜け毛も多いので、毎日のブラッシングで毛並みを整えるとともに、こまめに抜け毛の除去も行いましょう。
2.ラブラドール・レトリーバー
今や盲導犬としてあまりにも有名で我々人間社会に貢献しているラブラドールは、どんな命令にも真面目に取り組み、訓練次第でどんな名犬にもなれる無限の力を秘めています。
性格は優しく愛情深い平和主義者です。しかし、性格が落ち着くのは生後2年程かかり、それまではかなり甘えん坊でやんちゃな遊び好きの楽しい生活が続くはずです。
2歳を過ぎた頃から、突然、家の中が寂しく感じるほど落ち着いた大人のワンコに変身します。そうなると、今度は飼い主の足元で常に指示されるのを待つようになり、必要最小限の的確な動きで指示に従える名犬になるでしょう。
ラブラドール・レトリバーの魅力
- 大人しく、楽天的な性格の持ち主!
ニューファンドランド島のセント・ジョン川で漁師の仕事を手伝っていたので、泳ぎが大好きです。そのため毛質は水の抵抗を受けにくいスムースで、冷水にも負けないようにダブルコートという2層の毛の生え方をしています。
色は大きく分けてイエロー、ブラック、チョコレートの3種類。よく見かけるのがイエローであり、次に有名なのがブラック。ラブラドールが誕生してから、少しの間はブラックのみだったのです。チョコレートは少し赤みのあるブラウンでイエローやブラックに比べると珍しい色で目や鼻も茶色になることがありますが、健康上の問題は一切ありません。
3.ダルメシアン
好奇心の塊のような性格で、興味のあることには徹底的に追求していくところがあります。飼い主に対しての忠誠心は溢れていますが、なんせ彼らは遊び好きでジッとしているのが耐えられないといった感じで、体力と持久力があるので、毎日、長時間の散歩や運動をこなすことになるでしょう。
映画のキャラクターにもなり子供にも人気がありますが、ダルメシアンはパワフルなので子供だけで散歩に行くのは難しいと言えます。引きずられて事故の原因になる恐れもあるので注意が必要です。
ダルメシアンの魅力
- 性格が明るく運動が大好き
また、誕生直後の子犬はトレードマークである黒い斑点模様はなく”全身が真っ白”です。しかし、徐々に薄く斑模様が浮き出してきて、生後3ヶ月頃にはハッキリしてきます。毛質はスムースヘアーで短く滑らかで硬く密集していいます。毛色は白地に黒、又は、珍しいレバーカラーと呼ぼれている茶色の斑点模様です。
4.シェットランド・シープドッグ
ノルウェーとスコットランドの間の北海に浮かぶ、とても寒いシェットランド諸島で粗食に耐えながら牧羊犬として家畜の群れをコントロールしていた犬種がルーツのシェットランド・シープドッグは、日本でも古くから人気のある犬種で”シェルティー”の愛称で親しまれています。
性格も知的で飼い主に非常に忠実で子供に対しても我慢強く対応するので、家庭犬として安心して生活を共にすることができますが、強い忠誠心から飼い主家族以外には警戒心を抱く傾向があり吠えることもあります。夜中の怪しい物音や人影にも敏感に反応し、番犬としても頼もしい存在になることは間違いありません。
シェットランド・シープドッグの毛質
- 厚い被毛に覆われているので、1日おきにブラッシングかコーミングをしてあげましょう
もともと牧羊犬の血を受け継いでいるので、特に若い頃の運動量はかなりのものです。運動が足りないとストレスが溜まり精神的に不安定な正確になりかねないので、毎日の散歩時間は長めに確保してあげる必要があります。
また、好奇心旺盛なので、散歩中、走る人・物を見ると追いかけていく習性があります。リードをしっかりと持ちましょう。
5.秋田犬
日本犬唯一の大型犬種である秋田犬は、祖先が大館犬と呼ばれるクマを対象にした狩猟のマタギ犬でした。その後、江戸時代には闘犬として大型に改良され、さらに大正から明治にやってきた闘犬ブームでは外国の犬種と交配が行われ雑種化が進みました。
しかし、1931年に“日本犬の純粋さ”を守るために、国内で初めて天然記念物に指定された犬種で保全活動も行われています。
秋田犬・マメ知識
- 忠犬ハチ公は秋田犬
- プーチン大統領へ東日本大震災の支援に対するお礼に秋田犬「ゆめ」が贈られた
海外でも柴犬と同様にとても人気が高く、戦後のアメリカ兵が日本から持ち帰った秋田犬はアメリカン・アキタとして、多くの愛犬家がいるほどです。飼い主に忠実で知的な犬ですが、飼い主以外には心を許さない一面を持っています。
6.ジャーマン・シェパード・ドッグ
ずば抜けた運動能力学習能力を持ち、元々は牧羊犬だったジャーマン・シェパード・ドッグは、警察犬、軍用犬、盲導犬として私たちの生活を支えてくれています。
しかし、最初から賢いワケではなく、必ず、トレーニングを行わないと眠っている才能は開花しません。知能が高いのでトレーニング自体は難しくありませんが内容は高いレベルを求められるため、ジャーマン・シェパード・ドッグを飼う場合は、飼育経験が豊富でなければ難しいと言われていて、初心者がいきなり飼う犬種としては適していません。
ジャーマン・シェパード・ドッグ・運動量
- 最低限でも1日2回、1時間程度の運動が必要
※運動を怠ると激しい作業に耐えうる体力・持久力を持て余しストレスの原因になる
また、トレーニングも必要ですが、ジャーマン・シェパード・ドッグは飼い主から注がれる愛情で社会性を学ぶので、厳しい躾だけじゃなく愛情を示してあげることも大切です。
不審な物音や人影にはすぐに反応するので番犬としても優秀なのですが、攻撃的になる可能性があるので制止するトレーニングを飼い主が行っておきましょう。
犬の幸せを願うなら見た目だけで選ぶのはNG
犬ほど人間に忠実に懐いてくれる動物は他にいません。仕事や学校で嫌なことがあって元気をなくしていても、励ましてくれているかのように尻尾をブンブン振って出迎えてくれたり黙って寄り添ってくれる愛犬の姿を見ると救われますよね。
犬に癒し効果があるのは、ヒトは犬を見ると“オキシトシン”という幸せホルモンが脳内に分泌されるためだと言われています。
しかし、犬の種類による性格や身体的な特徴を踏まえずに選んでしまうと、飼い主の生活スタイルに合わない、犬の体力が追いつかずに散歩が苦痛になる等のケースも珍しくありません。犬種によって違う習性や行動パターンを知ったうえで、最後まで責任をもって育てることができるか検討してくださいね