ネコの種類による特徴の違い
猫の種類は世界各地でマイナーな猫種から人気のネコ種まで100種類以上はいるとされています。ネコの種類によって外見や性格はまったく違うので、猫を飼う際に好きな見た目にこだわるのもありですが、それ以上に、猫の幸せを考えるのなら以下の2点を重視することが大切です。
- 今の環境で育てられそうか?
- 自分のライフスタイルに猫が合うか?
これから猫を飼いたいと思っているのなら、ネコの性格や特徴など基本的な情報を把握しておいて下さい。実際に飼って家族として迎え入れたあとにマイナスなギャップを抱くこともなくなります。
では、人気のネコの種類と特徴を紹介します
1.スコティッシュフォールド
突然変異によってスコットランドで誕生した仔猫が、スコティッシュフォールドの原種です。耳が折れる品種に安定するまで長年掛かったので、比較的、新しい品種の猫だと言えます。日本でスコティッシュの猫が定着したのも、ここ数年のことです。
丸顔で耳が垂れた姿はとても愛らしく、現在、猫の中でもトップの人気を誇っています。
スコティッシュフォールドの特徴
大人になっても耳が垂れたまま
※通常、仔猫のときは耳が垂れている猫はたくさんいますが、大人になっても垂れたままなのはほぼいません
ただし、特徴的な耳の垂れ方も3割ほどの確率でしか大人になるまで垂れている個体は生まれてきません。さらに元々、軟骨が突然変異を起こしたことによって耳が垂れているので、”軟骨の病気になる確率が他の猫より高い”というリスクも飼育する前に知っておくべきだと言えます。
スコティッシュフォールド自体の性格はとても優しく人懐っこいので、自分から知らない人にもすり寄っていく珍しい一面を持っています。『初めて猫を飼うので懐かないのではないか?』と不安を持つ人には、おススメです。
甘えたがりの性格なので、毎日放置する時間が多い人には、おススメできません。
2.マンチカン
マンチカンもスコティッシュ同様、突然変異で短足猫が生まれたのが始まりですが、スコティッシュより1年遅く品種として認められたので後輩にあたります。犬のダックスフントやコーギーに似ている短い手足が最大の特徴で、他の猫にはない愛くるしさを持っています
マンチカンの特徴
ヘルニアになる心配が少ない
※足の骨格が短いコーギーやダックスフントと比べると、発症する確率が低い
マンチカンの性格は、好奇心旺盛で社交的な子が多く、仕事で外出する機会があり留守番する時間が長くても、他の猫に比べると、留守中も上手に過ごしてくれるので一人暮らしの人で飼いやすいと人気です。
ただし、ヘルニアになる確率は低いと説明しましたが、運動不足で太ってしまうと話は変わってくるので体重管理だけは注意してください。
3.メインクーン
メインクーンの誕生は、諸説あって確かな誕生の由来ははっきりしていませんが、名前の由来はアメリカのメイン州(Maine)とアライグマ(Racoon)を合わせたものと言われています。
ネコの品種の中では最大級とされていて、ギネスに登録された「世界でも最も長い猫」もこのメインクーンなのです。
メインクーンの特徴
ジェントルジャイアント(穏やかな巨人)という愛称で親しまれている”大きな身体と優しい性格”
メインクーンの特徴は、とにかく大きな身体と三角形の体型、長い毛並みです。被毛の色もブラウンタビー(茶縞)が一般的で、三毛やチョコレート、ラヴェンダー、濃いタビーなど多彩です。
性格はとても賢く器用で遊びが大好きなネコで、犬のようにトレーニングもしやすく、ボール投げれば飼い主の元に持ってきてくれたり、名前を呼ばれたら来てくれるような飼い主に愛される性格を持っています。
大きいので確かに食事の量は他のネコの種類に比べると増えますが、特別に大食いというワケではありません。
4.アメリカンショートヘア
『ネコの種類をあげてみよ』と言われたときに、多くの方が真っ先にアメリカンショートヘアを連想されると思いますが、その歴史は長く、今から400年ほど前にイギリスの清教徒がアメリカに行くとき、一緒に連れて行ったとされている短毛の猫がアメリカンショートヘアの始まりとされています。
元々アメリカンショートヘアは、ねずみや蛇を駆除するためのワーキングキャットとして飼われ、実際に公務員として「首相官邸ネズミ捕獲長」と肩書を持ち、給料まで貰っている猫もいるほどです。
アメリカンショートヘアの特徴
湿気や寒さに強いので、日本で飼いやすい品種
外国の猫は日本の四季が苦手で体温調整をするのに一苦労するケースもありますが、アメリカンショートヘアに限っては、元々が温度の変化に強いので初心者の人でも飼いやすいと言えます。
多くのネコの種類の中でも、協調性があって犬や子供と一緒に過ごしても馴染んでくれるほどです。また、シルバーとブラックの縞模様が人気ですが、実は80以上のものカラーパターンが存在しているのです。
昔はネズミ捕りを目的として飼われていたため、今でも獲物を捕まえるという感覚が本能で残っているので、猫じゃらしやネズミのおもちゃを動かすと面白いくらい反応して楽しませてくれるパートナーになります。
5.アビシニアン
約4000年前の古代エジプトの彫刻等に描かれていたほどの古い歴史があり、現在、残っている家ネコの種類の中では最古と言われています。美しい容姿からクレオパトラにも愛されていた猫だとされています。
アビシニアンの特徴
スラっとした細長い体。目のフチにクレオパトララインが入っていて瞳が大きく見える美しいネコ
アビシニアンは大きな耳にキラキラ輝いてみえる美しい毛色で、“バレエキャット”と呼ばれているくらいで『スマートな立ち姿がかっこいい』と、マニアックなファンが多いほど。
アビシニアンは非常に頭が良く、人が言うことを理解して名前を呼べば来てくれるほどで、猫の中では最も飼い主に忠実です。
ですが、賢い頭脳を持つ反面、好奇心旺盛でイタズラが大好きな子が多いので、少し世話が大変です。その活発性から怪我をしてしまうことも…。初めて猫を飼うのに不安がある人は、残念ながら避けたほうがいいかも知れません。
6.エキゾチックショートヘア
エキゾチックショートヘアは、ペルシャ猫を基本として、アメリカンショートヘアやブリティッシュショートヘアの短毛種と交配されて誕生しました。
エキゾチックショートヘアを紹介する上で欠かせないのが、大きな眼とまん丸の顔、潰されたような鼻です。また、他の猫と比べると短い胴と体の幅の広さなのに、たくましい筋肉質なところも特徴的です。
エキゾチックショートヘアの特徴
ブサカワな顔
犬で言うフレンチブルドックのような愛嬌がある顔は、若い女性を中心に人気をどんどん集めています。しかも運動量が少なく、よく寝る猫だけど飼い主と遊ぶのが大好きなので、一人暮らしの女性でも飼いやすいと人気に拍車を掛けているのです。
エキゾチックショートヘアの性格は、しっかりした体格や顔からとてもクセのある猫なのかと思われがちですが、ペルシャ猫譲りのとても優しく静かでとても愛情深い猫です。
エキゾチックショートヘアは撫でられたり、抱っこされるのが好きな猫なので、猫が苦手な爪切り・お風呂・耳そうじも比較的好んでやらせてくれる子が多いのも、飼い主にとっては嬉しい特徴のひとつです。
7.ノルウェージャンフォレストキャット
北欧の神話にも登場した猫種“ノルウェージャンフォレストキャット”の起源はとても古く、10世紀頃に現トルコからやってきた猫種による自然交配によって誕生したと言われています。
名前にも”ノルウェー”と入っているように人気も知名度も高かったのですが、国名が入っている猫にもかかわらず20世紀頃まで正式な品種として認められずにいました。やっと1993年にCFA(世界最大の猫の血糖登録団体)に登録されてからは全世界で人気を集めています。
ノルウェージャンフォレストは大きい
神話の中で、雷神はノルウェージャンフォレストキャットを大きすぎて抱えられなかったため連れ去れなかったとされているぐらいです。
ノルウェージャンフォレストキャットはとても穏やかな性格で、猫にしては珍しい我慢のできる性格の子が多いとされていますが、その反面、好奇心旺盛の子も多く、いたずら好きな一面も持っているので飼い主は注意が必要です。
あまり鳴き声を出すことがなく、他の猫種とも仲良くできる性格なので、多頭買いする人にも初めて猫を飼おうとしている人にもオススメです。
8.スノーシュー
1960年頃アメリカでシャム猫の足先だけが白い猫が発見され、アメリカンショートヘアと交配した猫が原型と言われているのですが、スノーシューもなかなか品種としては認められなかったネコなのです。
1980年後半になってようやくTICA(血統書登録団体)に登録されたので、まだ新しい猫種のため認知度も低いのですがネコマニアの間では話題になっています。
スノーシューの性格
甘えん坊の子が多く、学習能力も髙いので飼い主の気を引くために思いがけないイタズラをするやんちゃさも持っています。
スノーシューの最大の特徴は名前の通り、雪の上を歩いて来たように白くなっている可愛らしい足先。また、脚以外にも、顔や首周りに白色が出ている子も多いのが特徴です。
シャム猫の特徴なのですが、口から鼻にかけての部分、耳、足先、しっぽの色が、他の部分より濃くなります。この特徴を持った猫は色素が少ないため、瞳が青色に見えます。
9.シンガプーラ
現在CFAで認定されている猫種の中では世界最小とされています。成長しても大きくならないので“小さな妖精”とも呼ばれるカラダを活かして原産国のシンガポールでは下水溝のネズミ捕りもしていました。好奇心旺盛で人間と遊ぶことが大好きな猫種なので運動神経も抜群です。
シンガプーラの体重
2~3.5キログラム未満です
高い身体能力を持っているのですが少しビビリなので、初対面の人やネコには臆病な面が出てしまう傾向があるため、多頭飼いには向かない猫種と言えるでしょう。
10.ラムキン
猫界のダックスと呼ばれている短足の“マンチカン”と、羊のようなモコモコとした被毛の“セルカークレックス”を良いとこ取りをしたのが“ラムキン”です。
他の人とペットが被る確率が低く、且つ、直毛種じゃないネコ好きの人に好まれている猫種で、体重は2~4キログラム弱で、ネコ最小部類のサイズ。
子羊のような被毛の特徴が「ラムキン(Lambkin)」という名前の由来です。英語で小人を意味する“ナナス”と、カール被毛のレックスをあわせた“ナナスレックス”という別名もあるほど、被毛に特徴のある猫種で『短い足とカールした被毛が可愛い』と人気です。
ラムキン・毛のお手入れは?
意外にも週一ブラッシングで大丈夫
陽気で穏やかな性格ですが、他の猫種に比べると鳴く頻度が少なく手が掛らないので、初めてネコを飼う人や多頭飼いにもおススメです。
11.リュコイ
リュコイが誕生したのは2010年の夏と、これまで紹介したネコの中でも最も新しい種類です。アメリカンショートヘアにスフィンクスなど、被毛の少ない猫種の交配と言われていますが被毛の少ない猫種は混ざっておらず、突然変異だとされています。
健康上の心配もないことから、2012年には無事にTICAに公認されています。見た目が狼に似ていると言われており、名前の由来もギリシャ語の“リコイ(狼)”からきています。そのため、別名ウルフキャットとも呼ばれています。
リュコイのココが凄い!
海外猫好きが注目していて、生まれてくるのを待っている人がいるほどの人気猫!
リュコイの性格はネコとは思えないほど人懐こい甘えん坊さんで”犬っぽい”と言われています。学習能力も高く、飼い主さんの命令にも忠実に従います。
まだ誕生して数年ですが、海外では大人気でブリーダーが足りないと言われているほどで、とても貴重な猫とされており、日本で手に入れるのはまだ難しいかもしれません。しかし、数年後には日本でも人気に火が付いている可能性もあるので、今からチェックしておいて損はありません。
見た目だけじゃなくネコの種類から性格も考えて!
自分好みのかわいい猫を飼えるのは幸せですが、ネコの種類によって違う性格や行動パターンを知らないまま猫を飼ってはいけません。必ず、ネコの種類で異なる特徴などの知識を得てから家族として迎え入れてください。
年間15万頭以上の猫が幸せを手に入れることなく殺処分されている現実があります。野良猫も中には含まれていますが、その中には家族として飼われていた猫もたくさんいるのです…。
やんちゃでイタズラ好きな習性を持つ猫だと知らずに『可愛いから』『子供が欲しいと言っていたから』という理由から、ペットショップで衝動的にネコの種類を考慮せずに選んでしまう方も少なくないのですが、後に負担となって捨てるのは人間の身勝手な行動です。
- 『もっと飼いやすいと思った』
- 『こんな性格だとは思わなかった』
- 『懐かないから愛情が湧かなくなった』
と…、可哀そうなことに、猫のカットや爪切りをするためにやって来る飼い主さんの中には、思い通りにならないネコに手を余して『引き取ってくれる人はいないか?』と、相談される方もいらっしゃいます…。
猫を飼う前に正しい知識を身につけましょう。
猫と飼い主の両方が幸せな生活を送るためには、ネコの種類による性格などの違いを飼うまえに把握しておくことは絶対に欠かせない条件なのです。飼い主さんのライフスタイルに合い、相性のよい愛猫ちゃんに巡り会うことができますように