子犬のしつけ方・可愛いからこそ早めに教えておきたいこと

子犬のしつけは飼い主が愛情をもって大らかな気持ちで取り組むことが大事です。オシッコやウンチを上手く出来ずに失敗したときに、大声で怒鳴ったり叩いたりすると恐怖心からトイレを覚えられない性格の仔犬も…。

”かわいい子犬のしつけ方”

仔犬を家に迎い入れる日は、ワクワクドキドキしますよね。ですが、しつけをちゃんとしないと今後、飼い主さんの言うコトを聞かない我儘な困ったワンちゃんに育つ可能性があります。

しつけがちゃんとされていない犬と暮らすのは、飼い主さんにも大きなストレスが掛かり、近所の方々にも迷惑が及ぶ可能性もあるので『可愛いから』『子供だから』『叱るのは可哀そうだから…』と、情に流されず、愛犬が心身共に健康に幸せに生きていけるように、子犬の頃から躾はきちんと行っていきましょう。


では、「子犬のしつけと注意点」を紹介します。

子犬のしつけ

1.新しい環境に慣れさせるしつけ方

2.トイレのしつけ方

3.無駄吠え・甘噛みのしつけ方

4.お留守番のしつけ方

5.社会に慣れさせるしつけ方


子犬のしつけ/注意点

1.無理矢理させない

2.しつけどおり出来たら褒める

3.好みの「ごほうび」を与える

4.しつけ時の叱り方

5.犬を叩いてはいけない

6.犬が触られるとイヤがる部分

7.マズルコントロール

8.アイコンタクトは大切


1.新しい環境に慣れさせるしつけ方

子犬が家にやって来たら、新しい環境に慣れさせてあげることが一番大切です。

トイレを覚えさせるのも大事ですが、慣れない場所では何日間もオシッコやウンチをしなくなり、体調を崩して病院へ連れて行かなくてはいけなくなります。

子犬を慣れさせる躾け方

  • ゲージを見つめすぎない
  • 騒ぎ立てない

飼い主さんは愛おしさや仲良くなるために子犬をじっと見つめてしまいますが、構いたくなる気持ちを押さえて、そのままゲージにいれて相手しないで下さい。犬は見つめられると、ますます落ち着かなくなるので逆効果です。

最低限のトイレとご飯だけは規則正しく与えて仔犬の動きには敏感に反応せず、今まで通りの生活をしてください。はじめに構い過ぎると、『これからもずっと構ってもらえる』と犬が勘違いしてしまうので、飼い主さんたちの生活リズムを教えましょう

子犬のしつけを成功させる大切な第一段階です。

2.トイレのしつけ方

子犬を飼う際に待ち受ける最初の難関がトイレを教えることです。『赤ちゃんだから、そのうち覚えるだろう』と気長に構えすぎて躾を怠ると、本能のままに家中の好きなところで排泄をして汚すようになり、改めてトイレを覚えさせるまで大変な苦労をします。

子犬のうちに完璧にトイレを覚えるまで根気よくしつけに取り組みましょう。

子犬のトイレトレーニング

トイレが近くなりソワソワ落ち着かなくなったり、クルクル回り始めて排泄する場所を探し始めたときに、トイレシーツの上に連れて行くことを繰り返すとトイレの場所を認識します。

もし、トイレシートから排泄物がはみ出して床などが汚れても、失敗を責めて怒らないで下さい。怒って騒ぎ立てると飼い主さんが喜んでいると勘違いして、次からわざとトイレ以外で粗相をするようになります。

また、厳しく怒りすぎてしまうと恐怖心が生まれ、飼い主さんから隠れてトイレするようになったり排泄物を食べて隠そうとしたりする子犬もいます。

完全にトイレを覚えるまでは、子犬がトイレの失敗をしても犬に気づかれないように素早くキレイに片づけてください。匂いが残ってしまっていると、また同じ場所でオシッコ等をする可能性が高くなります。

トイレに成功したら、すぐにおやつをあげて撫でてあげるなど、愛情を込めて褒めてあげてくださいね。

3.無駄吠え・甘噛みのしつけ方

子犬は常に飼い主さんを『信頼できるのかな?』『守ってくれるのかな?』と、注意深く観察しています。本来、群れの中で過ごす犬は”順位を決めて生活”します

”身体的にも精神的にもリードしてくれる飼い主だ”と認識されると、従順関係が整い無駄に吠えたり噛んだりすることがなくなります。

吠える・噛むのを止めさせる躾け方

上下関係を築くこと

また、家族で犬を飼う場合、子供を叱るのを子犬の前で見せてしまうと『コイツは俺より下だな』と勘違いして、両親の言うコトは聞くのに、子供に対しては吠える・噛む…、なんてこともあるので注意をしてください。家族を注意する場合は、犬に見えない場所でするなど工夫が必要です。

4.お留守番のしつけ方

子犬であっても、留守番をしてもらう機会は訪れます。お利口さんに留守番が出来るように躾ておかないとワンワン吠えて近所の人に迷惑かけたり、部屋の中で騒ぎたおして空き巣にでも入られたかのように家具などをメチャクチャに壊されたり汚されたりするので、しっかりと大人しくお留守番できるように子犬をしつけておきましょう。

留守番の躾け方

  • 黙って部屋を出て静かにしたら戻り、しばらく無視をする
  • トイレに行く、洗濯物を干すなど、犬から人が見えなくなる時間を作る

お留守番をさせるときに飼い主がやってしまうNG行動が『行ってきます』『ただいま』の挨拶です。出掛けるときにわざわざ声を掛けてしまうと”留守番は特別なこと”に思えて、子犬は不安になって吠えたり暴れる原因になります。

お留守番をさせるときは黙ってさり気なく、家を出るのがしつけのポイントです。

5.社会に慣れさせるしつけ方

仔犬は、まだ外の世界を知りません。だからあまり恐怖心や警戒心がなく、興味・好奇心が旺盛です。しかし4ケ月を越えると外の世界を少しずつ理解して、恐怖心が出てきて心の扉も閉じ始めてしまいます

外への恐怖を感じる前でも経験が少ないので、掃除機の音を極端に嫌がったり、踏切や花火を怖がったりと、中には外に出ること自体を嫌がる子犬もいます。

仔犬のうちから多くの人に会わせて、撫でてもらったり、おやつをもらう機会を作ることで、身体を触られることにも慣れて社会にも順応できるようになります。”社会性を身につけるしつけは子犬の頃に済ませておくこと”が、とても大事なことなのです。

社会性が身につくと?

犬も生活するうえでのストレスを感じることが少なくなる

苦手なモノが増えるということは、それだけ日常生活の中でストレスを感じるということなので、犬の健康状態を損なってしまう可能性も高くなります。好奇心旺盛な子犬のときこそ、いろいろな体験をさせてあげてましょう。

子犬のしつけ/注意点

人間の子どもと同じように、生きていくうえで必要なルールを教えるときに大切なのは「相手(仔犬)の気持ちを考えてあげること」です。思い通りに行かないからといって、飼い主がガミガミと叱りつけてばかりいては、子犬は恐怖心から萎縮するようになったり、反抗的になる可能性があります。

犬の気持ちに寄り添うことが「しつけ」には欠かせないのです。

1.無理矢理させない

仔犬のしつけの基本中の基本は、無理強いしないことです。犬が自ら『やりたい!』と思わせるように、楽しく根気よく続けてください。

お座りのしつけ一つとっても、飼い主に頭や腰を強く押さえ付けられては子犬は嫌がり信頼関係が壊れるだけです。基本的にはご褒美を用意して、犬が自ら座るように誘導します。何度も繰り返していると、ご褒美がなくても自然と座るようになります。

成功ポイント

1日10~15分と時間を決めて行う

仔犬は飽きるのが早いので、あまり長くやりすぎると気が散って効果が半減しまいます。仔犬が本来持っている性格に基づいたしつけを心掛ければ、覚えるスピードも早くなります。

犬は学ぶことが楽しいと思えば、新しく覚えた命令を覚えることに喜びを感じて大好きになり『早く、次のことを覚えたい!』『ご主人様にもっとホメられたい』と、自分が覚えた技を熱心に見せようとするようになりますよ

2.しつけどおり出来たら褒める

”飼い主の言うことを聞けば、嬉しいことがある”と覚えた犬は、次々と多くのことを覚えるようになります。子犬にとって嬉しいこととは「ご褒美」です。

ご褒美の種類

  • おやつ
  • おもちゃ
  • 散歩に行く
  • スキンシップ

犬が好きなものをランキング付しておいて、難易度が高いしつけをクリアしたら一番大好きなご褒美をあげる、などの工夫をして下さい。

ご褒美のおやつ/注意点

何枚ものビスケットや大きいなパン等の与えすぎには要注意。お腹いっぱいになって指示に従わなくなったり、カロリーの過剰摂取で太る原因になります。

愛犬の体調管理や効率よくしつけを行なうために、犬用に販売されているおやつを細かくちぎりながら少しずつ与えるなどの工夫が必要。


誉め言葉を掛けると同時に”ご褒美を一緒にあげる”と、『ホメてもらえることをすると、ご褒美が貰える』と認識するようになり、教えたことを覚えるのも早くなります。

ご褒美をあげるタイミング

言葉や撫でる行為で褒めた後、必ず3秒以内に与える

タイミングが遅れると、犬は何故ご褒美を貰えたのか分からなくなるので躾効果がなくなります。

褒める言葉を統一しておくと、犬は褒められたことをより理解しやすくなります。

3.好みの「ごほうび」を与える

ほとんどの犬は食べ物が大好きな食いしん坊なので、ご褒美のためならどんなことでもやってくれます。ご褒美にはあまり熱心ではない犬でも、大好きな食べ物を見せられると集中するようになります。

人間と同じで、犬も充分の報酬がもらえてはじめて身体を動かしてくれるようになるのです。

ご褒美を選び・ポイント

  • 犬が形を認識しやすいもの

※親指の爪くらいの大きさで、直方体にできるものを選ぶ。

しつけには、二通りの使い方をします。

その1

正しいことをしたときのご褒美として、命令通り愛犬が行動できたときに与えます。手から直接あげてもいいし、投げても構いませんが、投げたほうが早くご褒美を与えることができ、いつでも”手からご褒美が来る”と予想してしまうのを防ぐこともできます。

その2

”おとり”として使います。ご褒美を指先にしっかりとつまみ、犬の鼻に近づけ、手の動きについてくるようにします。鼻を高く持ち上げさせようとすると尻尾の位置が下がるので、おすわりの体勢を教えることができます。

4.しつけ時の叱り方

昔はトイレを失敗したら、犬を座らせ鼻を床に押し付けて『ここでオシッコをするのは駄目』と強い口調で教えていましたが、最近では犬のしつけ時に叱るのはタブーとされています。

躾のためとはいえ、トイレの失敗を感情的に怒ると犬は『トイレの場所を間違ったから叱られた』とは受け止めず、『排泄したから叱られたんだ』と勘違いして、飼い主に隠れてオシッコやウンチをしたり、食糞(しょくふん※自ら排泄物を食べてしまうこと)する可能性が高まるので、絶対に怒ってはいけません。


家族で犬を飼っている場合は、それぞれの“叱るポイント”が変わるため、犬は混乱するので「躾のルールを統一」しましょう。

しつけの心得!

”叱る行為”を封印する!

また、感情的な叱り方のデメリットは、同じ人が「ある時は怒り、ある時は何も言わない」という状態になりやすいこと。愛犬は”何が良くて何が悪いのか”、余計に分からなくなります。根気が大事です。

5.犬を叩いてはいけない

しつけの際に、鼻、頭、頬など犬を叩いている人も多いのですが、”正しい叩き方”が出来ている飼い主はほとんどいません。「犬があまりにも吠え続けるから黙らせるために叩いた」としても、一定のタイミングで叩くのは難しいですよね。

思い当たることはありませんか?バラバラのタイミングで叩けば、犬は自分が叩かれた理由が分からなくなるので「吠えた罰ではなく虐待」になってしまいます。

それを何度も繰り返していると…

飼い主さんが手をかざしただけで、犬が極端に怯えるようになる可能性あり。

愛犬にとって飼い主さんの手は、いつまでも暖かく優しく愛情が伝わってくる手だと思わせてあげることが、強い信頼関係を築くためにも大切なことなのです。

中型犬や大型犬のようなチカラのある犬なら、ポンと軽く叩く程度では怪我をしませんが、小さく骨も筋肉も華奢でチカラの弱い小型犬は骨折する可能性があり、飼い主に対して恐怖心を抱き、自分の身を守るために攻撃的な行動をとるようになることもあるので絶対に叩いてはいけません。

6.犬が触られるとイヤがる部分

鼻の先端部分は犬が本能的に触れられるのが苦手な部分で、触られると唸ったり、噛み付いたりすることがあります。

しかし、触られると嫌がる部分だからといって躾ることなく放置していると、病気の診察や健診のために病院へ連れていったとき、トリミングするためにペットショップに連れていったときに、犬が暴れて怪我したり、人間にも危害を加える可能性があります。

犬が触られるのを嫌がる部分

【口先】

  • 髭が密集している口周りは、物事の変化を知るための感覚が鋭い場所

【尻尾】

  • 犬がコミュニケーションを図ったときに気持ちを表現する大切な部分。また、体のバランスをとる部分。

【足先】

  • 本能として足を怪我したら歩けなくなる、狩りができなくなる、生きていけなくなる、という本能から触れられるのを嫌がる。

飼犬は、体のどの部分を触っても嫌がることなく大人しくしていますか?ボディーコントロールとして、全身を委ねてもらえるように子犬の頃から練習しておくことは大切なのです。小さなうちに慣れさせることで、特別な拒否反応を起こさなくなります。

7.マズルコントロール

先ほども説明した、犬が触って嫌がる部分を使って”犬にとって飼い主は上位であること”を理解させるために、敢えて犬が「嫌だ」と感じるように触ってしつけをします。

しかし、犬と飼い主の間にしっかりとした信頼関係がないとマズルコントロールをしても意味がありません。

注意点

歯磨きや薬を飲ませるとき、身体の手入れの練習としては効果ありですが、ズレた目的で無理やり長時間行ってはいけません。

口周りを触る練習として、マズルコントロールのしつけを行なう飼い主も多いのですが、嫌がるのに無理やり繰り返していると、飼い主に対して嫌悪感を抱くケースもあるので犬の性格によっては、マズルコントロールもしないほうが良い場合もあります。元々、性格が穏やかで大人しい犬にマズルコントロールを行なうことはオススメできません。

8.アイコンタクトは大切

群れで過ごしていた名残から、自分の行動に注目して注意を払う者をリーダーとして認識し、上下関係を理解していきます。

躾をする際に、しっかりと愛犬の目を見て指示を出す飼い主のことは信頼し「リーダーだ」と認識するため、服従し、命令を受け入れます。

しかし、離れた場所でテレビを観ながら『ダメ』『ハウス』等と、犬とアイコンタクトをとらずに指示を出す傾向がある飼い主はナメられやすく、名前を呼んでも目も合わせるどころか見向きもしてくれません。

アイコンタクトの効果

いつどんな場面でも名前を呼ぶと立ち止まり、飼い主を見るようになるので事故防止にも繋がる。

犬に”アイコンタクト”を楽しいものと認識させておくと、しつけの成功率がアップします。
”名前を呼ばれたとき目を合せると、散歩やご飯の楽しい時間が待っている”と、覚えさせることで、飼い主の目を喜んで見るようになります。

「おすわり」や「待て」などを教えるときにも、犬の名前を呼んで目が合ってから「おすわり!」と指示をだし、指示に従った後に思いっきりホメてあげることで、嬉しい、楽しい行為として各行動を覚えるので、しつけの効率も上がります。

愛犬に信頼してらえる飼い主に!

子犬をしつける際は、心からホメてあげることが成功のカギ。

飼い主さんも一緒に喜ぶ気持ちを投げ掛けてあげることで、飼い犬は喜んで『もっといい子になろう』と、健やかに成長してくれます

犬は信頼できる飼い主に守られていれば、”自分で縄張りを守らなければいけない”という義務感やストレスから解放されて安心して幸せに暮らせます。だから、犬にとって飼い主さんは”かけがえのない存在”です

犬はヒトの子供とは違って自立させる必要がありません。ずっと守るべき存在として育ててあげましょう。