滞納が続いたら信用情報を開示請求は早めに!
信用情報が何か知っていますか?遅れることなく銀行からの借金返済をしていても、スマホの機種変更代や奨学金の返済遅延が発生すると、金融機関が情報共有している「信用情報」に未払い等の履歴が記録され、将来、お金の借り入れが必要になっても審査に通らずローンが組めなくなるなど、厄介な事態を引き起こす原因になります。
お金に関する個人の信用情報が何に使われているのか説明し、日々、生活している中で「何かの支払い忘れや遅れが心配なとき」は、速やかに信用情報開示をしたほうが良い理由と併せて「開示手続き方法」を紹介します。
信用情報機関から取り寄せた「信用情報開示申込書」の見方と重要なチェックポイントも見逃さないで下さいね。
目次
▼信用情報って何?
信用情報とは、個人の契約したカードローン、キャッシング、クレジットカード、ローン契約などの契約や返済の履歴が記録のことで、以下の信用情報機関に登録が義務付けられています。各機関に加盟している金融機関が必要に応じて契約時などに信用情報を照会しています。
CIC((株)シー・アイ・シー)
クレジットカード会社、各種信販会社、リース会社、消費者金融、携帯電話会社などが加盟
全国銀行個人信用情報センター
銀行、信用金庫、信用組合、農協、労金など銀行系が加盟
JICC((株)日本信用情報機関)
貸金業、クレジット会社、リース会社、保証会社が加盟し、金融機関の与信などに利用されている
日本にある金融機関は必ず、上記3つの信用情報機関のどれかに加盟していて、契約、延滞などの情報を共有しています。自己破産や任意整理などの債務整理による事故情報は「CRIN」というシステムで即時に共有できるようになっています。
『信用情報という最も他人に知られたくない情報を共有、管理されるなんて怖い‥』そう思ってしまう人もいるかもしれません。しかし信用情報を共有しているからこそお金の借りすぎを未然に防いでいるのです。情報は厳重に管理しており個人では本人以外の照会はできません。(本人に認知症などの症状がある場合は手順に沿って代理人などの照会が可能)
信用情報が適切に登録されることによって、一昔前のような「雪だるま式に膨れ上がる借金」のように返済しきれない借金を背負うことは表面的には少なくなりました。
▼信用情報機関に延滞記録されるデメリット
クレジットカードやカードローン、キャッシングなどを取り扱う金融機関だけではなく、分割、リボ払いなどのローン契約を扱う通信販売業者や携帯電話会社も、信用情報調査機関へ契約内容を登録しています。
そのためウッカリ忘れていた「通販の支払い」「スマートフォン料金が残高不足」で引き落とせない状態を数回繰り返すと、信用情報機関に「支払い遅れ(延滞の記録)」が残ります。
社会問題となっている奨学金の返済を遅らせてしまうと信用情報に延滞の記録が付くため、年数が経って住宅取得を考えたときに住宅ローンが組めなくなるなどの問題も起こっています。
大型家電を買う、通信販売で商品を買う、奨学金を借りて就職してから返済するなどは、全て「後払い」です。後払いをするためには「信用」がなければできません。その信用を保つために支払い遅れや踏み倒しはあってはならないことです。
自分では「このくらい何とかなるだろう」「許されるだろう」と軽く考えていても、金融機関は甘くありません。
▼信用を失う危険な行動パターン
以下は、実際に信用機関に遅延記録が残ってしまった人の行動です。悪気がなくても「支払い遅れ」に繋がり、結果的に信用を損ねる原因を作っているケースがほとんどなので注意が必要です。
支払い遅れにつながる行動
・通販で買った2,000円の化粧品の支払いを忘れていて、引越し時期と重なり忙しかったし面倒だったので放置していた。
支払い遅れにつながる行動
・友達に頼まれて通信販売で商品を買い、友人に振込用紙を渡して、期日までに入金されているかどうか確認していない。
支払い遅れにつながる行動
・スマートフォンの機種変更と同時に他のキャリアへ乗り換えをして、引落口座の設定を忘れていたのに「引き落とし完了」と思い込んでいて、郵送で届いた振込用紙を確認しなかった。
これらの行動は日常的にありがちなことですが、放置してはいけないことです。お金に関することはキレイに素早く処理することが、ゆくゆくは自分と自分に関わる大事な人たちを守ることになります。
▼本人なら信用情報は照会できる
意識せずして自分が支払いを忘れていて、知らぬ間にマイナスになる記録が残っているのではと不安に思う人もいらっしゃるのでは?実は、本人であれば信用情報の照会は可能です。
では、信用情報調査機関のひとつであるCIC(シー・アイ・シー)では、どのような手順で信用情報を開示するか説明します。
1)全国に7カ所あるCICの窓口で信用情報開示請求の手続きを行う
2)郵送で照会の申請書を送って返信にて開示
CICのウェブサイトからダウンロードした「信用情報開示申込書」に必要事項を記入して郵送します。
「信用情報開示申込書」に同封するもの
・本人確認用の身分証明証などのコピー
・開示手数料1000円の定額小為替
※定額小為替は「ゆうちょ銀行」または「郵便局の窓口」で発行
その後、約10日前後で親展の配達記録郵便にて信用情報開示報告書が郵送されます。
知りたい情報の漏れを防ぐポイントは、申込書に書いてある「他の業態の情報も見る」の記入欄に○印をつけておくこと。
▼「信用情報開示申込書」の記載内容
書類に記載されている大まかな内容は「CIC」に加入している金融機関などとの契約や返済の履歴です。
氏名、生年月日、電話番号、郵便番号、住所
契約内容としての、契約日、クレジットカードまたは単発のローン契約かどうか、クレジット利用限度額、キャッシングの極度額など
支払いの状況として、ショッピングの利用額、キャッシングの利用額、残債額、クレジットカード会社名、入金状況、終了状況、登録会社名
主に、上記のことが一覧表になって記載されています。解りやすい解説用紙も添付されています。
▼信用情報を開示したら確認すべきポイント
信用情報には色々な情報が記載されていて、どこに重点を置いて見たら良いかわかりにくいので、チェックポイントを説明します。
「入金状況」一覧表の一番下の欄のことで、表の中の左から新しい年月が並び、その下にマークで入金状況が表示されています。
マークの意味
「$」通常通り遅れないで入金されている
「-」 当月の請求が無く従って入金も無い
「A」 顧客の都合による入金が無い状態で、いわゆる支払い遅れ
「B」 顧客の都合以外の理由での入金が無い状態
「C」 原因がわからない未入金の状態
「P」 当月請求額の一部だけが入金されている
「R」 顧客以外の人からの入金
「 」空欄の意味でクレジット会社から情報の更新が無い状態
以上の8種類のマークの中で特に要注意なのは「A」と「P」で、顧客都合による未入金を示す「A」があると、他のローン契約などの審査に通らなくなります。
▼信用情報の支払い遅れの記録は消えないの?
いつまで信用情報に記録が残るか不安を感じている「支払い遅れ経験者」は多いのですが、今後の人生設計にも影響する大事なことなので知っておきたいですね。
支払い遅れの記録は一定期間が過ぎると消えます。
1.申込に関する情報は最長6ヵ月間
2.契約や返済に関する情報は最長5年間
3.延滞、強制解約に関する情報は、その状態が解決して最長5年間
4.債務整理の任意整理に関する情報は最長5年間
5.債務整理の自己破産や個人再生に関する情報は最長10年間
延滞記録の(3)と、事故情報と呼ぶ(4)と(5)が残っていると、新規のクレジットカードやローン契約はできません。
▼スマホの機種変もローンの一種
借金は怖いからしたくないと思っていても、一切、ローンやクレジットを利用しないで生きていくことは事実上不可能に近いのです。
いつも何気なく使っているスマートフォンですが、お金のやり繰りが上手くいかず「ついうっかり」支払いを忘れてしまうことがあります。その「うっかり」を繰り返し放置すると後に怖いことになります。
スマートフォンなどの通信機器を新規契約して購入したり、機種変更をする際に、ショップで店員さんから長い説明をされますよね。でも、『儀礼的に説明が必要なだけだろう』と、真剣に聞き入ることもなく説明内容も記憶に残らないでのはないでしょうか?
しかし、スマホの新規契約や機種変更は立派なローン契約だということを忘れてはいけません。
1台10万円前後と高額な機種料金は、一括で支払うとなると負担が大きくなるため、毎月の通信料金と合わせて分割払いするのが一般的ですが、分割支払いは立派なローン契約なのです。
機種料金を一括で支払うか、分割で支払うかの違いでしかないと単純に考えるのは禁物です。ローン契約は「借金」をすることになるので、支払いが遅れると色々なことに影響します。
▼「信用情報」に遅延登録されるケースは多い
「口座残高が不足してスマートフォンの利用料金が引き落としできていなかった」「支払いの振込用紙が届いていたけれどバッグに入れたまま忘れていて失くしてしまった」等、よくある出来事に思えますが甘く考えていると信用を落とします。
スマホは生活に欠かせない、ライフライン的なツールなので「少しくらい支払いが遅れてもすぐに使えなくなることは無いだろう」と、油断しやすいことが落とし穴です。
実際に一人暮らしを始めた大学生が、日々の授業やバイトに追われてスマートフォン料金を未払いの深刻さに気付かずに放置していて、ある日、突然、通話ができなくなって慌てて問い合わせる事例が増えています。
通話ができなくなるだけでも生活ツールとして頼っているので不便ですが、一番問題なのは「信用情報に延滞の記録として登録されること」です。
それを防ぐにはスケジュール管理アプリなどを使って支払日を管理することが大事です。支払日が遅れそうならば、速やかに契約している電話会社の窓口へ連絡しておきましょう。
▼奨学金もローンの一種
もうひとつ、スマホの機種代未払いと同時に社会問題となっているのが「奨学金の返済」です。奨学金は勉学に対する向上心がある人が「進学の援助のためにお金を借りられる便利な制度」ですが、奨学金の返済に苦しむ人、返済を意識的に放置して将来に多大なる影響が出るなど問題が後を絶ちません。
今や大学、大学院へ進学する人の約半数が借りている奨学金の説明会では、「本来、国が負担すべき学費を君たちが借りることは理不尽なのですが、現状では仕方ない」という説明をする教師もいるなど、返済に関する学生の意識が薄れてしまう背景もあります。
教師がどのようなことを言っても「奨学金は借金」であり、自分が将来責任をもって返していかなければ次世代には無くなってしまう制度かもしれないと危機感を持ちたいです。
奨学金の返済遅れや踏み倒しする人が増えて、奨学金の貸し付け事業を行っている「日本学生支援機構」は、該当者に督促と信用情報機関への延滞登録を行うようになりました。その為、就職して結婚して住宅を買いたいと思ってもローン審査に通らないケースが増えています。
奨学金返済を簡単に考えていると人生設計が崩れてしまうことが解りますね。
信用情報の開示で身を守りましょう
上手に生活のなかで借金を利用していくには知識が必要で、ご自身の状態を知るために「信用情報」を照会する場面も出てくるでしょう。
信用情報に記録されたくない支払い遅れなどを防ぐには、世の中の何がローン契約で友人間のやり取りでも自分の管理次第では支払い遅れになることを知っておくのは生きていく知恵です。
ローン、クレジット契約はアプリなどで手軽になおかつしっかり管理する
身に覚えのない請求などは問い合わせる、信用情報を照会する
専門家に依頼するときは法テラスなどを経由する
友人に頼まれて買い物をするときはお金をもらって自分で支払いまで行う
スマートフォンの毎月の支払いや奨学金返済を甘く見ない
何歳までに貯金をいくらして、何を買うか計画する
お金に関することがよく分からなくても、以上のことに関心をもって行動すれば健全なマネーライフを送れます。