イタリアの食事マナー!意外と知らない本場の食べ方がわかる
イタリアの食事マナーで覚えておきたいのが「ナイフとフォークを使ったピッツァの食べ方」です。家庭やカジュアルな店では手で食べてもOKですが、基本を押さえておくとデート中もスマートに振る舞えます。
イタリア式食事のマナー
イタリア料理はカジュアルなので、フランスやイギリスに比べて、食事のマナーは厳しくないだろうと信じている方のために、今回は「知っておけば恥をかかない基本的なイタリアの食事マナー」を紹介します。
さて、イタリアも他の欧州諸国と同様、食べ方に順序があります。順を追いながら、それぞれの食べ方のマナーと注意点を説明しましょう。
【アンティパスト】Antipasto
アンティパストとは「前菜」のことで、2種類あります。
アンティパスト・フレッド(冷たい前菜)
代表的なのは、「生ハムとメロン」や「トマトとモッツアレーラチーズ、バジルの盛り合わせ」
アンティパスト・カルド(温かい前菜)
「エビのフリット」など揚げ物が代表的
どちらにしても、アンティパストは「次のサービスを待つ間の腹ごしらえ」という感じですので、食べ過ぎに気をつけましょう。
食の細いのならアンティパストをパスするか、または、1皿を誰かと分け合って食べることも可能です。
しかし、運ばれてきた前菜を勝手にシェアするのはマナー違反。
必ず、事前にホストやウェイターにその旨を伝えて、小皿を2枚用意してもらうのが礼儀です。
同じ皿に盛られた料理を複数人で食べるのは絶対に禁物!
私はよく、前菜の盛り合わせアンティパスト・ミスト(Antipasto Misto)を一皿注文して、分け合って食べる方法を選んでいます。数種類の前菜から、好きなものを選べるのでとても便利です。
【プリモピアット】Primo Piatto
「プリモ」とは「最初の」「ピアット」とは「皿」なので、プリモピアットとは「最初の皿」という意味で、日本人によく知られたイタリアの代表的な料理が出てきます。
つまり、パスタ、リゾット、スープなどです。「最初の皿」なので量は控えめですが、これだけでお腹がいっぱいになることもあります。
次の料理、メインディッシュの「セコンドピアット」をしっかり食べたい方は、なるべくパンやリゾットなどの炭水化物類を避けて、軽いコンソメ系のスープを選ぶことをお勧めします。
さて、プリモピアットでスープとパスタを選んだ場合の注意点をいくつか説明します。
- すすったりして音をたてない
- スープは手前から奥へスプーンですくって静かに飲む
- パスタはフォークのみを使用
日本では当然のように行われている「スプーンの上でパスタを巻いて食べる方法」は、イタリアでは一般的ではありません。
パスタソースが周りに飛び散らないようにするために、店舗によってはトマトソースなどソース量が多いパスタの場合のみスプーンがついてくる場合があります。
フォークに巻いて食べるスパゲッティなど長いパスタは、欲張らずに3本くらいクルクルとフォークに巻きつけると太くなり過ぎないので、口の中にスムーズに入ります。
ショートパスタはフォークの窪みに載せて食べるのが理想ですが、ニョッキのような食べにくいものはフォークで刺して食べても構いません。
【セコンドピアット】Secondo Piatto
やっと3皿目でメインディッシュが出てきます。メインですので、魚(ペッチェPesce)あるいは肉(カルネCarne)料理となります。
代表的なものに「すずきの白ワイン合えBransino al vino bianco」「生の牛ヒレ肉 カルパッチョCarpaccio」「仔牛すね肉の煮込み料理オソ・ブッコOsso Bucco」などがあります。
当然、ナイフとフォークを使うのですが、フランス式と同様に肉などを小さくナイフで切った後、フォークを右手に持ち替えて食べることができます。
【付け合わせ野菜】Contorno
付け合わせの野菜は同じ皿に盛られてくるのが洋食では一般的ですが、イタリアのレストランでは、付け合せを別に注文する必要があります。
特にセコンドピアットを注文した場合、付け合わせがないのは不自然なので、「セコンドピアット」と「付け合わせ」の両方の価格を合わせて予算に入れておく必要があります。
【サラダ】Insalata
イタリアのレストランで出されるサラダには、ドレッシングが掛かっていません。自分で適宜に味を付けて食べます。
テーブルの上には必ず、塩、こしょう、バルサミコ酢などのビネガーやオリーブ油が置いてあるので、自分で混ぜ合わせ、好きな味のサラダドレッシングを作って食べます。
【チーズ】Fromaggio
フランスではデザートの前に「チーズだけを食べる習慣」があるのですが、イタリアは違います。「デザート」または「チーズ」のどちらかを選択します。
【デザート】Dolce
ティラミスやパナコッタがイタリアの代表的なデザートとして有名ですが、たいてい欧州ではデザートをスプーンで食べます。
フォークとナイフはフルーツを食べるときに使うのですが、イタリアも例外ではありません。
【コーヒー】Expresso
イタリアで日本人が失敗しやすいのは、最後にコーヒーを出された時です。
絶対にカプチーノを注文しないこと!イタリアでは、食後に飲むコーヒーはエキスプレッソに限ります。
とりわけ、夕食後のコーヒーとしてカプチーノを注文すると、せっかく前菜からデザートまでイタリア式の食事ルールを守ってきても、すべてが台無しになります。
どうしてもミルク入りのコーヒーが飲みたいときは、カフェ・マキアット(エキスプレッソの中にほんの少量の泡立てたミルクを載せたもの)ならOKです。
意外に知らない正式なピザの食べ方
ピザはイタリア料理のトレードマークのようなものですが、本来、イタリアではレストランテで食べるものではありません。
サンドイッチなどと同等の軽食とみなされているので、主にトラットリア(大衆食堂)やピッツェリアで食べるものです。
さて、意外に日本人の間では知られていないピザの正式な食べ方を紹介します。
ピザが丸ごと出てきたら、自分の小皿に1カット分だけ切って取り載せ、必ず、フォークとナイフで切り分けて食べます。
三角形に切ったピザの先端部を左側に向けます。
巻きこんだピザの塊を一口サイズにナイフでカットして、フォークで刺して食べます。
店で提供されるピッツァは窯から出したてのアツアツ状態なのでナイフとフォークを使うのが一般的ですが、一般の家庭では筒状に丸めてから食べることもあります。
また、「ピザとタバスコ」の組み合わせは日本では一般的ですが、イタリアでは違います。
ピザ専門店でタバスコを要求するのは、シェフに対するマナーに欠ける行為と受け取られるので注意しましょう。
イタリアの飲食店
イタリアには様々な飲食店の形態があり、店によって、サービスされる料理の種類や食事マナーも違います。
リストランテ(Ristorante)
事前予約が必要でコース料理が中心の高級なお店です。
ジーンズにスニーカーという装いでの入店を断るリストランテもあるので、服装には気をつけましょう。
ツアーでイタリアへ行くときに、旅行会社から現地での食事時に着用するジャケットを持参するように指示されることがあるのは、予定に組み込んでいる店にドレスコードがある為です。
しかし、最近では次に紹介するオステリアやトラットリアと看板上では名乗っている店もあり、気軽に食事ができる雰囲気のリストランテも増えてきて、一概に高級店といえない場合もあります。
オステリア(Osteria)
フランス風に言えば「ビストロ」で、格分けからいくと軽食堂です。
しかし、家族で代々受け継がれてきた伝統のある高級料理店だったりすることもあるので、リストランテと同様にカジュアル過ぎる服装は避けるのが無難です。
コース料理もありますが、アラカルト料理(一品料理)を楽しむところでもあります。
トラットリア(Trattoria)
気軽に食事ができる大衆食堂です。店内の雰囲気もファミリーレストラン風で食事マナーにも肩肘はらない大らかさがあるので、服装もカジュアルで構いません。
通常、トラットリアでは紙に書かれたメニュー紹介はなく、ローカルな食材を使ったシンプルな料理が一般的です。
また、テイク・アウトが可能な店もあるのがトラットリアの特徴です。
ピッツェリア(Pisseria)
日本でもピザ専門店としてお馴染みの「ピッツェリア」ですが、イタリア現地ではピザの他にも、サラダやサンドイッチなども食べられる店です。
リーズナブルに食べられる店がほとんどなので、気軽に立ち寄れます。
ナポリ風ピッツァの生地は「もちもちタイプ」、ローマ風ピッツァの生地は薄くて「パリパリ」した食感が特徴なので、イタリアに訪れたら違うタイプの本場のピッツァを味わってみてください。
スパゲッテリア(Spaghetteria)
パスタ専門店のことです。とにかく、パスタはソースなどの種類も豊富で味にも徹底してこだわっている専門店が多いので、「さすが」と驚かされます。
タヴェルナ(Taverna)
日本人にとっては「食べるな」に似ているので、言葉の響きが面白く感ますが、「タヴェルナ」はイタリアの居酒屋のような店です。
主にアルコールと軽食を気軽に食べられる店で、夕食というよりも軽い昼食向きという感があります。
カフェテリア(Caffetteria)
その名のごとく、コーヒー店、日本風に言えば喫茶店です。
コーヒーのみならず、ソフトドリンクやビール・ワインなどのアルコールを置いているところもあります。
食事マナー共通基本ルール10点
イタリアに限らず、どこの欧州諸国でも食事マナーとして次の10点の基本がありますので、現地ならではのテーブルマナーを取り入れながら臨機応変に対応しましょう。
- 音を立てない
- テーブルに肘をつかない
- 口の中に食べ物が入っている時は喋らない
- パンや果物を直接かじらない
- 携帯電話はマナーモードにする
- ナプキンは主客が着席してから広げる
- 右手にナイフ・左手にフォークを持つ
- 食事中はナイフとフォークは皿の上で交差させる
- 食べ終わったら、ナイフとフォークは皿の上の右側に縦に並べて置く
- 食後ナプキンは軽くたたんで席の上におく
イタリア式の食事のマナーは、何よりも「楽しく食べる」ことです。
形だけイタリア式の食事マナーを習得しても、美味しいものを楽しく皆で分かち合いながら食べることがなければ意味がないのです。
また、美味しかったら、素直に「おいしい」と言葉に表して、ホストや店の人に伝えるだけで、食事マナーの失敗は無かったこととなり合格点をもらえます。