大西洋に浮かぶ小さな異世界!カナリア諸島ランサローテ島の魅力を探る
年末年始に旅行で訪れて、その独特な魅力にすっかり心を奪われてしまった「カナリア諸島のランサローテ島」の旅行記です。
いきなりですが、みなさんランサローテ島ってご存じですか?わたしは旅行で行くまで、名前を聞いたこともなければ、場所もさっぱり…。何がある島なのか、まったく想像がつきませんでした。
カナリア諸島は大西洋に浮かぶスペイン領の島で、地理的にはアフリカ大陸の北部、モロッコの西側に位置しています。ランサローテ島のほかには「テネリフェ島」や「グラン・カナリア島」など、個性ある7つの島からなっています。
ランサローテ島は人口14万人、島の端から端まで、車で1時間半ほど(奄美大島よりやや大きいくらい)の島です。島の中心都市「アレシフェ」のほか、「コスタ・テギゼ」「プエルト・デル・カルメン」「プラヤ・ブランカ」など、観光向けのリゾート地がいくつかあります。
日本人の旅先としてはまだあまり馴染みはありませんが、ヨーロッパの人たちにとってのカナリア諸島は、日本人にとってのハワイのようなイメージ!過ごしやすい温暖な気候と自然豊かな南国のリゾート地として親しまれています。
とりわけ寒い冬を迎える北ヨーロッパの人たちの避寒地としてもとても人気で、わたしが年末に訪れたときは、フランス、イギリス、ドイツなどからの観光客を多いようでした。
日本からはマドリードやバルセロナ経由のほか、フランスやドイツなど、ヨーロッパ各国からも直行便があるので、お好みのルートで行くことができます。
カナリア諸島ランサローテ島の魅力
わたしが過ごした7日間の旅で見つけた、カナリア諸島ランサローテ島の独特な魅力をたっぷりお届けしたいと思います!
▼非日常感あふれるユニークな景観
ランサローテ島で目にする景色は、他のヨーロッパとはまったく異なり、月世界やSF映画に出てきそうな幻想的な風景ばかり。まるで別の惑星に来ているかのような不思議な感覚になります。そしてそれがランサローテのいちばんの魅力でもあります。
▼冬でも暖かい南国のリゾート地
常春の島と言われているカナリア諸島は冬でも気温は20℃前後。わたしたちは12月に訪れましたが、昼間は半袖、朝晩は薄いカーディガンを羽織る程度でOK。お正月に海水浴もできました!
▼ごはんが美味しい
スペイン料理で、カナリア諸島の郷土料理も食べられます。海に囲まれているだけあって魚料理のバリエーションが多く、どのお店もとっても美味しかったです。食にこだわるグルメな人にもおすすめできる旅先です。
▼自然もアートも楽しめる島
ランサローテ島は、火山の溶岩跡や南国の植物、美しい海など、自然の景観が保護されている一方で、島全体に自然を活かしたアート作品や観光スポットがいくつもあります。アウトドア派もアート好きも満足できる魅力の多い島です。
▼セサール・マンリケというアーティストの存在
ランサローテ島を語る上で欠かせない存在なのが、セサール・マンリケというひとりのアーティストです。ランサローテ島で生まれ育ち、大学はニューヨークで建築を学び、ふたたび島に戻ってきて、島のまちづくりに大きく貢献した人です。
ランサローテ島の観光スポットは、ビーチを除くと、ほとんどマンリケ作品といっても良いくらい、島全体をプロデュースしてきました。自然とアートが共存できるという信念のもと、火山地帯の土地柄やランサローテのもともとの島の個性をいかしながら、島の魅力が伝わるアート空間をつくったことで、自然を無理に壊すことなく島の観光を大きく発展させたのです。
実際、ランサローテ島を散策していると、自然のままのものと、人の手が加わったものとが、絶妙のバランスで調和していることにハッとさせられます。白と緑を基調にした民家をはじめ、まるで地球規模のテーマパークのような、島全体に統一感があるのですが、その裏には、セサール・マンリケの存在があると知って、一層、胸に響くものがありました。
ランサローテ島の観光スポット
それではここから、ランサローテ島を訪れるなら絶対外せない、おすすめ観光スポットをご紹介していきます。
▼ティマンファヤ国立公園
ベスト1を選ぶのが本当に難しい魅力溢れるランサローテ島ですが、最も、この島らしさを味わえる場所はやっぱりここ!広大な火山地帯が保護されているティマンファヤ国立公園(Timanfaya National Park)です。
車を停めて見下ろす景色は、火山と溶岩と、その先に広がる海だけで大地のはじまりを感じさせる壮大な景観でした。
火山を巡回するバスツアーでは、噴火口をすぐ間近で観察することができます。険しい溶岩跡の間を、細いバス道でガタガタと走るので、なかなかのエンターテイメントです!山頂のレストランでは、火山の地熱を利用したバーベキューや火山公園内ではラクダ乗りの体験も楽しめます。
人生はじめてのラクダ乗り体験は、まるでアフリカの砂漠にいる気分でした♪写真も撮ってもらえるし、旅の思い出におすすめです。
▼サボテン公園
こちらもセサール・マンリケ作品のひとつで、140カ所と世界中のサボテンを集めた円形のサボテンパーク(Jardin de Cactus)です。手のひらサイズの可愛らしいサボテンから生命力を感じる大きなものまで多種多様で、一気に南国ムードに包まれます。
街や他の観光スポットとも離れたところにあるので、あたり一面見渡す景色は、アメリカのアリゾナ州のような景観!まるでロードムービーに出てきそうな壮大な大地が広がっていて、こっそりかっこいい気分に浸れました。
▼マンリケの家
セサール・マンリケ作品の代表作ともいえるアート施設。マンリケが建てた家(Fondación Cesar Manrique)に、彼の作品や美術品が飾られています。
白い建物を通り抜けると太陽を燦々と浴びた南国の植物が美しい中庭がありまるでアート作品のような小さな青く透きとおったプールも印象的でした。
中には、子どもと一緒に学べる島の火山についての展示コーナーもあり、島の歴史についても触れられています。自然とアートを共存させたいというセサール・マンリケの想いがまっすぐに伝わってくる、とても素敵なアートスポットでした。
▼ミラドール・デル・リオ(展望台)
島の北東部に位置する展望台のミラドール・デル・リオ(Mirador del Rio)。展望台からは、大西洋に浮かぶ向かいの「グラシオサ島」が見渡せます。
グラシオサ島は人口1000人に満たない小さな島ですが、展望台からの景色は、まるでどこか別の惑星に辿り着いたかのような、それはもう不思議な光景でした。
ただ美しいというのとも少し違って「地球上には、こんな場所があったんだ!」という驚きと好奇心でぞくぞくする体験をしました。この旅で、いちばんの”非日常”を感じた瞬間だった気がします。
展望台にはカフェスペースがあって、サンドイッチなどの軽食やコーヒーなども売っているので、旅の途中の休憩スポットにも使えます。
▼緑の洞窟
ランサローテ島には、火山によってできた洞窟がいくつかありますが、中でも現地スタッフによる英語のガイドツアーがあって、洞窟の奥の方まで探検を楽しめるのがこちらのスポット「緑の洞窟(Cueva de los Verdes)」です。
かつて溶岩の通り道だった長い洞窟を1時間近くかけて往復します。ガイドさんに連れられて、辿り着いた先には、光と影による洞窟ならではの、ものすごく神秘的な世界が創りだされていました。
ちなみに、ファミリー連れも多かったのでお子さまでも歩けるコースで、あまり英語が得意でなくても、十分楽しめます。
▼ブドウ畑
思わず「え、これが?!」と口からこぼれそうになる、独特な姿をしたランサローテ島のブドウ畑(La Garia)。まるで月のクレーターのようなデコボコとした形をしたブドウ畑は「La Garia」というエリアをはじめ、ランサローテ島のあちこちに見られます。
ランサローテ島を訪れる前、カナリア諸島の観光サイトを色々チェックしていたときに、一番気になったのがブドウ畑でした。だって、映画に観るブドウ畑はもっと緑が生い茂った自然豊かなイメージだったのに、独特な姿をしているブドウ畑の正体をこの目で確かめたいと思ったのです。
じつは、ランサローテ島の気候や地質がブドウの栽培にはぴったりなのだそうです。三日月のようなフォルムの石の塀は強い風から守るためで、また、火山灰に含まれる黒い小石をまくことで、その重みから湿った空気を土の中から逃がさない役割を果たしているのだとか。
「La Garia」にあるワイナリーでは、見学とランサローテ産ワインの試飲も楽しめるのでワイン好きの方にはおすすめの観光スポットです。
パパガヨのビーチ
ランサローテ島の最南端にある絶景のパパガヨのビーチ(Playa de Papagayo)。ランサローテ島には、シュノーケルやダイビングが楽しめる透明感が素晴らしいビーチがいくつかありますが、個人的にイチオシなのは「パパガヨ」です。
たどり着くまでは、舗装されていないボコボコ道を車で通るので、なかなかワイルドな旅道中でありますが、到着したときの感動はひとしお!まるで秘密の基地に辿り着いたかのような、心ときめく光景が待っています。
広々とした青空にはいまにも手が届きそうで、崖の上からは澄んだエメラルドグリーンの大西洋が地平線まで広がっています。その風景は旅行者のブログなどで事前に目にしていたものの、実際の美しさは言葉にならないほどの感動でした。いまだにポストカードを眺めてはうっとりしています。
岩場のビーチなので、思いっきり海水浴を楽しむというよりは、日光浴をして心地よさそうにしている人が多い印象でした。
ひっそりとした隠れ家のような落ち着きがあるので、独特な雰囲気を味わいたい方、人混みが苦手な方にぴったり!ちなみに、リゾートっぽい雰囲気が好きな方は「プエルト・デル・カルメン」のビーチがおすすめです。
ランサローテの旅を楽しむポイント
英語のガイドブックですら見かけることが少ない「カナリア諸島のランサローテ島」ですが、実際に行ってみると見どころがたくさんありましたよ。
▼レンタカーで島をまわる
ヨーロッパでは人気のリゾートといえど公共交通機関はあまり発達していないので、レンタカーを借りることをオススメします。
車がない場合は、街の中心やスーパーの近くなどへのアクセスが良いホテルを選ばれた方がストレスなく旅を楽しめると思います。
▼ミュージアムパスをゲットする
セサール・マンリケ作品をはじめ島の主要な観光スポットには、入場料がセットになったお得なミュージアムパスがあります。各観光スポットの窓口で買えるので、とくに事前購入の必要はありません。
ミュージアムパスの料金は「大人13才以上/20~30ユーロ(2300~3400円前後)」「子ども7~12才/10~15ユーロ(1100~1700円前後)」まわるスポット数によって料金は異なります。
▼海を満喫する
ランサローテ島の海は、沖縄の海に負けないくらい、魚が泳いでいるのが見えるほど水が透きとおっていて綺麗です!シュノーケルやダイビングのツアーも充実しているので、ぜひ陸上の絶景だけでなく、水中の世界も楽しんでくださいね。
ひと味違う旅を満喫できるランサローテ島
わたし自身、今までの旅行でいちばん事前情報が少なかったこともあり、行くまでは未知の世界の想像をもくもくと膨らませていましたが、一週間のランサローテ島滞在は、予想以上に感動と発見に満ちた心に残る旅となりました。
「食べ物が美味しい」「文化がある」「自然が豊か」と、日本人が好みそうな観光条件が揃っている、とても素敵な島なので、ぜひぜひ、もっと多くの日本の方に行ってみてほしいです。
特に、自然やアート好きの人や、まだ見たことのない景色に出会いたい旅好きさんにカナリア諸島のランサローテ島はおすすめです。