スペインの食事マナー!現地では夕食が21時以降で驚いた

旅行でスペインを訪れたときに対応できる現地の食事マナーを紹介します。皿を持ち上げない、音を立てないなど、一般的な洋食マナーとの共通点の他、夕食後のソブレメサなど、スペイン独自の風習もチェック!

スペイン式食事のマナー

パッと頭に浮かぶスペインのイメージをアトランダムに挙げてみると、フラメンコ、パエラ、闘牛、ドン・キホーテ、カルメン、ガウディのサグラダファミリアなどです。

でも、意外に知られていないのがスペインの食事マナーではないでしょうか?

太陽と情熱の国なので、さぞかし食事に対しても大らかで決まりごとが少ないお国柄かと思われがちですが、当然ながらスペインにも守るべき食事マナーがあります。

今回は、知っておいて決して損はしない、基本的なスペインの食事マナーを紹介します。食事に関するスペイン独特の風習なども参考に!

スペインのテーブルマナーの基本

今から紹介するテーブルマナーは、バルやカジュアルなレストランではなく、いわゆる高級レストランで食事するときのマナーです。

スペインはレディーファーストです。レストランへ入店するときも、着席するときも、女性を優先することを忘れないでおきましょう。

レストランでは、最低3品(前菜・メイン・デザート)を注文するのが一般的です。

 食事中は、肘から先の両腕をテーブルの上に置いておきます。当然、肘をつくことは禁物。

 フォークは左手、ナイフは右手に持ち、フォークを右手に持ち替えるのはマナー違反。

 音を立てて食べたり、一旦、口に入れた食べ物を吐き出してはいけません。出された料理を残さないように心掛け、マナー違反になるので皿を持ち上げて食べてはいけません。

 今でも、たまに日本で見かけますが「女性がお酌すること」は滅多にありません。
ワインなどをはじめとするお酒を女性が男性のグラスに注ぐのは、相手に恥をかかせる行為なので避けましょう。

 スペインの高級レストランでは、子供が同伴できない店もあります。ディナーを大人の時間と捉えているスペインでは、基本的には子供を連れて行かないのがマナーです。

 ドレスコードは予約を入れる時に確認しておくと安心です。
男性ならシャツに長ズボン、女性ならワンピースドレスが適当で、履いていく靴にも注意が必要です。スニーカーやサンダルは絶対にダメ。

 近年の欧州で各国共通の重要な食事マナーは「喫煙について」です。
スペインでは気軽に立ち寄れるバルやレストラン、高級店などの店内はすべて禁煙です。

 チップは義務ではありません。
サービスに満足したなら、1~2ユーロを置いていきましょう。
時には、店によっては食前・食後酒をサービスしてくれることがあります。その場合は、もう少しチップを弾むのがスマートなマナーです。

飲食店では気軽に話しかけるのがマナー

まずは、高級レストランでの基本的なマナーを説明しましたが、高級店でも気軽に立ち寄れるバルでもどこでも、スペインには、次に説明する暗黙のルールがあります。

スペイン人やスペインの風土に慣れ親しんで現地で生活をしている人じゃないと理解しにくい感はあるのですが、私たち外国人であっても、このルールに従ったほうがスペインでの生活や滞在がスムーズにいきます。

「郷にいては郷に従え」というように、旅行でも移住でもスペインを訪れた甲斐があると感じられる瞬間が増やしたり、本当のスペインを満喫する一番の早道でしょう。

 まず、スペインでは友好的に振る舞うことがマナーのひとつとされ、特に食事を共にするバルやレストランでは重視されるポイント。

バルのカウンターでは、隣で食事やお酒を楽しんでいる人に「オラHola(やあ!こんにちは!)」と声を掛けられることが多く、とても良い印象を受けます。

初めてスペインを訪れたときは、友人同士のオープンで友好的な挨拶の仕方に驚きました。
大きな音をたてて頬にキスを送り合い、男性同士なら肩を叩き合ってスキンシップをとることを忘れません。

 日本だと初対面の人やあまり知らない相手には敬語で話すのがマナーですが、スペインでは反対。レストランでは、丁寧語で話すのは慇懃無礼(いんぎんぶれい)で、スノッブな気取り屋とみなされます。

また、アポイントメント時間に定刻通りに赴くよりも、少々、遅れるぐらいのほうがスペイン人の間では受け入れやすいのです。

夕食またはパーティーに招待された場合、必ず手土産を持参するのが礼儀です。別れる際に、日本と同じようにお礼を含めた別れの挨拶は欠かせません。

1日5回も食事をするスペイン人

スペイン人は、他の欧州諸国とはかなり異なった時間帯に食事を摂る習慣があります。これは、地理的にみて、気候上、食事の時間を太陽に合わせているためとのことです。

1回目は朝食「デサジューノ」

デサジューノ(Desayuno) は、目覚めと共に摂る食事のことですが、私の知る限り、ほとんどのスペイン人は、コーヒー、またはカフェオレのみで済ませることが多く、ほとんど何も食べません。

ただ、中には時折、相当カロリーが高そうなチュロスという細長い揚げパンをコーヒーに浸して食べる人もいます。

定番人気は、もっとこってり甘いチュロス・コン・チョコラテ(churros con chocolate)。ホットチョコレートにチュロスを浸して食べるのです。

デニッシュ系など、スペインの朝食では甘いパンが人気です。

2回目は朝の軽食「メリエンダ・メディア・マニャーナ」

Merienda media Mañanaは、朝の軽食 (ブランチ)ともいえるもので、午前11頃にサンドイッチやタパス(小皿)などを食べます。

白米と焼き魚と納豆にお味噌汁、トーストとハムエッグとサラダに珈琲といった、ある程度ボリュームのある朝食を摂らないので、次に食べる本格的な昼食の前に軽く腹ごしらえといった感じです。

3回目は昼食「コミダ」

スペイン人の1日のメインの食事は、何といっても昼食(Comida)です。しっかりとフルコースを平らげます。

問題は時間帯です。早くても午後2時頃からしか始まりません。フルコースですから、もちろん少なくとも1時間以上はたっぷりとテーブルについています。

しかも、ワインやデザートは食事には欠かせません。

ここで昼休みシエスタ(Siesta)について一言:

ワイン付きのフルコースの昼食後、さすがに仕事にはすぐには戻れません。ここで、スペイン独特のシエスタ(Siesta)が登場するわけです。

シエスタは、もともと帰宅してお昼ごはんを食べる人が多かったため、食後、自宅で食べたものを消化するために休息する風習の名残り。

私も経験したのですが、日本なら「立派な夕食」に値するほど、しっかり食事を摂れば、お腹いっぱいになるのは当然のこと。

全てのスペイン人がシエスタに昼寝をするわけではないし、昼食タイムに割く時間も個人差はありますが、一時間の昼休みにランチを食べてから慌ただしく仕事に戻ることも珍しくない日本の環境とは違い、余裕をもって食後の休憩ができるスペインならではの習慣は少し羨ましくなることもあります。

4回目は夕食前の軽食「メリエンダ」

さて、午後の仕事も終わろうとする午後7時頃、夕食前の軽食ともいえるメリエンダ(Merienda)が始まります。

フランス風に言えば、アペリティフ(食前酒)でしょうか。タパス(小皿料理)や簡単な軽食を摂ります。

フランスとの大きな違いは、おつまみの種類の多さです。

ありとあらゆる種類の小皿がぎっしりとカウンターに並べられて、見るだけでお腹が膨れそうです。

「バル(bar)に行く」というのは、「タパスを食べに行く」という意味で、いろんなバルをはしごする人もいます。

バル(bar) は、居酒屋と食堂が一緒になったような飲食店です。伝統的なバルでは、タパスは立って食べます。食前酒を飲みながら、カウンターで和気あいあいと皆でタパスを食べるのがスペインならではの伝統なのです。

5回目は21時頃から始まる夕食「セナ」

やっとその日最後の食事、夕食セナ(Cena)に辿り着きましたが、興味深いのは、他の欧州諸国と比較して、スペインの夕食はスープやサラダなどが主で簡素だということ。

それもそのはず、メリエンダで十分過ぎるほどの小皿料理(タパス)を楽しんだ後なので、夕食は最後の腹ごなしという感じです。

おっと…、忘れるところでしたが、夕食は早くても21時頃からです。

私はスペイン旅行した当時、お腹が空いても辛抱して、やっと21時になり喜々としてレストランへ行ったら、お客はほとんど外国人ばかり…。地元のスペイン人が夕食を摂るために来店してきたのは、22時を過ぎた頃からで驚きました。

ちなみに、イギリス人の観光客は既にに食べ終えていたようで、21時に来店した時にはもう居ませんでした。

食後にお酒と語らいを楽しむスペインの風習

スペインでは食事の後すぐに席を立つのではなく、食後にお酒を飲みながら、その日最後の会話を同席者と楽しむ習慣「ソブレメサ」(Sobremesa)があります。

「ソブレメサ」とは、「テーブル越し」という意味です。とりわけ、涼しい週末の夜は会話も弾み、何時間も延々とソブレメサが続くことも珍しくありません。

マナーの違いには臨機応変に対応を!

以上、スペインでの食事マナーや習慣でした。こうしてみると、北はイギリスから南はスペインにかけて、食事だけでも風習が違う欧州諸国。

「アジア」と大きく括っても、「音を立てて食べるのはタブー」としている日本の食事マナーとは真逆の考えで、「作ってくれた相手に美味しかったことを伝えるために音を立てるのがマナー」とする国もあるように、どこの国へ行っても、どこの国の人と食事をしても、臨機応変に「違い」に対応できるのが理想です。