ボルドーとブルゴーニュの見分け方!赤ワイン選びに役立つ

比較的、お手頃価格で味も安定しているボルドー産。美味しいものに当たるかどうかは運も影響し、価格も高めのブルゴーニュ産の赤ワイン。今回は、同じフランスで育った赤ワイン2種の違いを説明します。

簡単!ボルドーとブルゴーニュの見分け方

誕生日やクリスマスディナーなど、特別な機会でなければ口にすることがなかったひと昔前とは違い、今では日本でも500円以下や千円前後のワインが増えてコンビニやスーパーでも気軽に購入できるようになりました。

ワインを飲む機会が増えたせいもあり、それなりにワインの味へのこだわりや産地などの知識が豊富な人も多いと思いますが、フランスを代表する2種のワイン「ボルドーとブルゴーニュの違い」をご存知ですか?

今回は、ボルドーとブルゴーニュ、2種のワインの違いを知る方法を「赤ワイン」に絞って紹介します。

2種の違いを知っていると、お世話になっている大切な人へのプレゼント用に赤ワインを選ぶとき、お客様を自宅に招くときに相手の好みを考えて2種類とも用意しておくなど、おもてなしにも役立てたり、食事デートをしながら会話を楽しんだりするときの小ネタとしても活用できますよ。

ボトルの形が違う

ここでボトルの形に関する質問です。上の2本のワインの写真をみてください。向かって左側「A」と右側「B」、どちらがボルドーで、どちらがブルゴーニュワインでしょうか?

答え

・A/ ブルゴーニュワイン 
・B/ボルドーワイン

 ご覧の通り、ブルゴーニュワインのボトルは「なで肩」、ボルドーワインは「いかり肩」です。

要するに前者は女性的で、後者は男性的な形です。これが2種のワインのボトルの大きな違いで、購入時の目安にしやすい便利なポイントです。

なぜボトルの形が違うのか?

まず、ボルドーワインですが、17世紀、植民地時代に大量のボルドーワインが大西洋を渡って世界中に運ばれました。船荷として運ぶ際に、この形が船倉に最も安定した形として選ばれたのです。

それに引き換え、ブルゴーニュワインは生産量がはるかに少ないため、輸出向けとしてのボトルの形を追求する必要がなく、あくまでも自然なボトルの形として作られたのです。

2種のワインは色も違う

色に関する質問です。下記のグラスワインの色、向かってA(左)とB(右)の内、どちらがボルドーでどちらがブルゴーニュでしょうか?

答え

・A/ブルゴーニュワイン
・B/ボルドーワイン

 ボルドーワインの色は「深みのある濃いルビー色」で、ブルゴーニュワインの色は、「淡い、どちらかと言えば茶系統の赤」。これは、葡萄品種の違いによるものです。

ブルゴーニュワインは、ピノ・ノワールのみのモノセパージュ(単一品種)ワインです。

ボルドーワインは、カベルネ・ソーヴィニョン、カベルネ・フラン、メルローなどを主な品種として製造しています。その上、これらを微妙に交ぜて合わせて製造している、アッサンブラージュ(数種を組み合わせた)ワインです。

ボルドーワインに数種の葡萄苗の違いがあるのは、土地が広大であるだけでなく、過去の葡萄栽培の歴史上、2度にわたり大きな病気を患ったことが原因でもあります。

2種のワインは風味も違う

質問:次のAとB内、どちらがボルドーでどちらがブルゴーニュでしょうか?

・「A」口に含んだあと、喉を通るときに濃厚さがあり調和性に長けている。
・「B」口に含んだ瞬間は酸味を感じ、喉ごしにかけて繊細さがある。

答え

・A/ ボルドーの風味
・B/ブルゴーニュの風味

 ボルドーとブルゴーニュワインの風味の違いは、もちろん先の葡萄の品種の違いもありますが、ブドウが育つ土壌と気候の違いも大きく影響しています。

ボルドー地方は温暖な海洋性気候のフランスの西にあり、ボルドーワインは大西洋岸に面した広大で平らな葡萄畑から採れるブドウから作られます。

ブルゴーニュ地方は夏と冬の温度差が激しく、葡萄畑はごく狭い範囲の高低度の多様な土地柄にある内陸性気候。
また、ボルドーの土壌はジロンド川地域の粘土・砂利質ですが、ブルゴーニュの土壌は、石灰岩質の強い土質です。これらの違いが、各々の風味の違うワインを作り出す理由です。

「シャトー」と「クロ 」って何だ?

銘柄に関する質問です。「シャトー」とつくのはどちらのワインでしょうか?ボルドーワイン?ブルゴーニュワイン?

答え

シャトーが付くのは「ボルドーワイン」です

銘柄を読むとき、ボルドーワインは「シャトー(Château )~」ですが、ブルゴーニュワインは「クロ(Clos)~」または「ドメーヌ(Domaine)~」です。これは、ブルゴーニュワインは、もともと修道院で栽培された葡萄畑が中心で、各畑の質の違いを守るためにクロ(囲い)が作られたことが由来です。

また、ボルドーのように広大な葡萄畑ではなく、ブルゴーニュは日当たりの良い極わずかな斜面を葡萄園(ドメーヌ)として耕し、ほんの少し違いでワインの質が如実に違う土地柄という理由から、各々、小規模な囲い園の家族経営が主となります。

例えば、かの有名な「ロマネ・コンティ(Romanée-Conti)」の葡萄園は1.63ヘクタールと、パリのコンコルド広場と同じくらいの広さしかありません。しかし、たった1メートルしか離れていない隣の土地で作られたワインは「ロマネ・コンティ」とは呼べないぐらいの質の差があります。

各ワインに合う料理の選び方

各ワインと相性が良い料理について質問です。今夜は鴨料理です。ボルドーとブルゴーニュ、どちらを選びますか?

答え

・カモ料理に合うのはボルドーワイン

 どうしてボルドーなのかというと、ボルドーワインが作られるフランス西南地方は鴨肉の生産地で有名な所でもあるからです。

ブルゴーニュワインに適している料理は、バフ・ブルギニョン(Bœuf Bourguignon)と呼ばれる牛の煮込みです。

フランスには、各々のその土地にあった伝統料理というものがあり、「その土地の料理には、その土地のワインが合う」というのが一般的ですので、料理からワインを選ぶ場合は、その料理がどこの地方のものなのか知ることがポイント。自然とワインも決まってきます。

もちろん、これは一般的な考え方なので、一概にこの通りに選ぶことはありませんが、失敗のないワインを選び方として覚えておくと役立ちます。

好みのワインはどっち?

私は、いつも「一本勝負!」といった感じでブルゴーニュワインを購入します。というのも、ボルドーワインはどれでもほぼ美味しく失敗することはないのですが、ブルゴーニュワインはなかなか複雑で「これだ!」と思うものに出会うのが難しいのです。

美味しいブルゴーニュに当たると、もう2度と忘れられない、天にも昇るような最高の味わいを堪能できますが、「はずれ」の場合は酸味が強すぎて泣きたくなることがあります…。

値段的にもブルゴーニュはボルドーよりも高めです。フランスでは、1本5ユーロほどのボルドーならテーブルワインとして気軽に飲めますが、ブルゴーニュワインは少なくとも8~10ユーロ奮発しないといけません。

さて、ボルドー派の方々にはスルーしていただきたい私の独断と偏見と好みですが…、フランスのワインを突き詰めていくと、どうしてもブルゴーニュワイン派となるような気がします。何故なら、概ね美味しいボルドーワインに比べて、ブルゴーニュワインはあまりにも繊細かつ微妙なので、ついつい追及したくなる、要するにはまり込みやすくなるからです。

もし、ボルドー産とブルゴーニュ産のワインの違いに興味が湧いたのなら、奥の深いワインソムリエの勉強をして世界を広げてみるのも楽しいですよ。どちらにしても、どんなに美味しくても健康のために飲みすぎには気をつけましょう! Pour votre santé dégustez modérément !