札幌の絶品塩ラーメンを味わう旅
札幌は味噌ラーメンが代表的ですが、ほとんどの店が「味噌」「塩」「醤油」3つの味を揃えています。中でも塩ラーメンは、素材の味がそのまま出るので誤魔化しがきかず「塩ラーメンがウマい店はすべての味がウマい」と言われるほどです。
そこで、札幌在住のグルメライターが、塩ラーメンをウリにする味自慢な店を紹介します。
札幌駅周辺の塩ラーメン店
札幌駅は、大通り公園やススキノに続く「南口」と、比較的閑静で落ち着けるエリアに続く「北口」に分かれていて、徒歩で周っていると実にたくさんのラーメン屋があることに気がつきます。
そこで、札幌駅周辺で食べられる美味しい塩ラーメンを出すお店を紹介します。
▼ラーメン菅家(かんけ)
足を運んだのは、札幌駅に直結するビルの地下1階にある「ラーメン菅家」です。こだわりの道内産の鶏を使い、アッサリしながらも豊かなコクのラーメンが評判のお店です。以前は白石区北郷に本店があり市内数か所で展開していましたが、現在はこの店舗だけが営業しています。
看板メニューは塩味と醤油味のみに設定されている岩海苔たっぷりの「岡本ラーメン」。常連さんだった岡本さんが、いつも注文していたことから由来しているそうです。もちろん素材の味を堪能できる塩ラーメンを注文しました。
店名にある菅家(かんけ)とは菅原氏の家系のこと。初代が菅原道真の末裔であることから命名されました。当時のキャッチコピーは「頭の良くなるラーメン」。現在、初代は引退され、そこで修行された方が味を引き継いでいるそうです。
北海道産地鶏を丹念に焼いてエキスを抽出したスープは不純物が一切なくクリアな見た目です。そこに魚介の旨味がミックスされ、深みのある味を作り上げています。それだけでも十分においしいのですが、大量の岩海苔が加わることで磯の香りがプラスされ、ワンランク上の旨さまで引き上げています。
麺は「一柳製麺の特注麺」を使用していて、岩海苔やネギがよく絡み、シャキシャキとした歯ごたえが楽しめます。メンマやナルト、胡麻といった昔ながらのシンプルなトッピングが麺の上で踊ります。
北海道産の豚を使用したチャーシューは、しっかりと煮詰められトロトロしていて箸で摘まむと崩れるほど柔らかく仕上げられています。
実は20年ほど前に初代の味を食べたことがあるのですが、その味はしっかりと受け継がれていて美味しさは間違いありません。気がつけば完食している夢中になれるラーメンでした。
ラーメン菅家(かんけ)
札幌市中央区北4条西1丁目 北農ビル地下1階
▼函館麺厨房あじさい 札幌エスタ店
札幌駅ビル「エスタ」の10階にあるラーメン共和国は、北海道中から味自慢のラーメン屋が集まり、平日でも賑わいを見せています。その中でも塩ラーメンが最高と言われるのが、「はこだて麺厨房あじさい」です。
函館を中心に展開するものの、札幌では「ラーメン共和国」と「新千歳空港」の2店舗のみ。ここは塩ラーメンの本場「函館ラーメン」を味わえる希少な店なのです。
「とうきび第一小学校」と書かれた正門風の入り口を通ってカウンターに着席しました。1番人気はやはり「味彩新塩拉麺」です。昆布を使った透明なスープと函館に特注した特製麺が特徴で、ほとんどの客が塩ラーメンを注文しました。
運ばれてきたラーメンは、透き通ったスープに細いストレート麺の、シンプルながら美しい一品。多めのメンマ、青々としたネギ、トロっとした煮玉子、麩とチャーシューがトッピングされています。
まずはスープからいただきます。舌に、喉に、胃にジワーっと広がる満足感。このスープは煮干し、ホタテの貝柱などの海産乾物と豚骨、鶏ガラなどの動物系の旨味が絶妙に交わり、あっさりとした中に豊かなコクを感じます。
ほっそりとしたストレート麺は、函館の「岡田製麺」の特注麺を少し硬めに茹でています。スープはよく麺に絡み、日本蕎麦のようにスルっと口に入る滑らかさ。ネギは新鮮でシャキシャキと歯ごたえがよく、チャーシューや煮玉子はアッサリしたスープの味を崩すことなく上品にまとまっています。
半分ほど食べたところで「蝦夷油胡椒」なるものを投入してみます。
蝦夷油胡椒の説明書きをまとめると「すごくウマい胡椒だぞ」といったところでしょうか。大きな粒が山椒にも似たピリリとした辛さを呼び、一気にスープがワイルドに変身!一般販売してほしいウマさですので、ぜひ試してみてください。
老舗の中には、時代の変化から取り残されたことに気づかない店もありますが「はこだて麺厨房あじさい」は創業1930年の老舗でありながら、常に新しい味を生み出しています。1度、老舗の進化形「味彩新塩拉麺」を味わってみてください。
函館麺工房 あじさい
札幌市中央区北5条西2丁目エスタ10階
▼らーめん 逍遥亭(しょうようてい)
ウマいと評判の塩ラーメンを求めて札幌の中心部、南1条西5丁目にある「らーめん 逍遥亭(しょうようてい)」に行ってきました。路面電車が走る趣のある通りに面したビルの地下1階で営業しています。
開店早々の11時ということで他にお客さんはいませんが、廊下に椅子が並んでいることから、お昼には行列ができることが想像できます。入口には「体に優しいあっさりラーメン」「麺は札幌ラーメンと釧路ラーメンのコラボ」「ボリビア産の天然塩使用」「塩ラーメンには鮭の魚醤を使用」など、お店の「こだわり」が書かれています。
店内はカウンター席のみ。これだけ塩にこだわっているのなら塩ラーメンを食べないわけにはいきません。カウンターから作業がよく見え、食べる前から「絶対にウマい」と確信できる手際でラーメンが作られていました。
待つこと数分で提供されたラーメンは「美しい」のひと言に尽きます。澄んだスープの上に大陸のように浮かぶチャーシュー。さらに「カイワレの緑」と「クコの実の赤」が彩を添えます。クコの実は杏仁豆腐などにも使われる食材で、肝機能によいとされています。「体に優しいラーメン」というだけあり気配りを感じますね。
食欲を抑えきれずスープを1口いただきます。鶏ガラに鮭の魚醤を合わせたスープはとても香ばしく、これまでどの店でも味わったことがないウマさがあります。ゴマの風味もよく、料亭で出されていても不思議ではない上品で繊細な味がします。
札幌&釧路麺をミックスした特製麺はウェーブの強い細麺で、これも他の店では味わえないもの。「キトサン」を練り込んでいて、日本蕎麦のように胃にもたれることなくスーッと喉を流れていきます。あっさり味のラーメンは麺と上手く絡まないことがありますが、この麺は強いウェーブのおかげか、しっかりと味を主張しています。
どんぶりを埋め尽くす1枚のチャーシューは肉厚で歯ごたえ抜群。大きすぎてチャーシュー麺を頼むと食べきれない量になりそうです。よく味が染みているので、チャーシュー丼にしても美味しく食べられそうです。
らーめん 逍遥亭(しょうようてい)
札幌市中央区南1条西5丁目 プレジデント松井ビル100 地下1階
▼ラーメン凡の風
「東京の北海道物産展で1日1000杯以上の売り上げを記録した」とか、東京の有名ラーメン店の店主が「ウチの店よりウマい」と言ったとか、レジェンドな噂が絶えない「ラーメン凡の風」。その極上塩ラーメンを味わいに行ってきました。
場所は中心街から離れたマンションの1階にあります。平凡な佇まいのため、気が付かずにスルーすること2往復して発見しました。店名は「平凡な奴が業界に新風を」との想いから命名されたそうです。
13時にお店に到着したところ既に2名が並んでいました。「これならすぐに食べられるだろう」と思い、お店のラーメンに思いをはせながらワクワクと待ちます。
「お待ちどう様です」と運ばれてきたのは「中華そば 鶏と魚出汁の塩」です。さりげなく香る鶏ガラの香りがホッとする気持ちにさせてくれます。まずはスープからいただきます。あっさりとした中にも鶏と魚介節の味がしっかり溶け込んでいて、すでにラーメンを凌駕して、高級和食の域まで昇華しているウマさです!
麺は「さがみ屋」の特注ストレート麺を使用していて、スルスルっと滑るような食感です。「九条ネギ」のシャキシャキ感もたまりません。「チャーシュー」や「肉厚なメンマ」は少々濃い目の味付けです。トッピングまであっさり味にしてしまうと、ラーメンがボンヤリした印象になりますが、あえて味を濃くすることで、アクセントを効かせています。
あっという間に平らげて完食です。女性客が「これなら朝から食べられる」といっていたのが印象的でした。完食しても「まだ食べたい」「もっと食べたい」と言う欲求に駆られました。これまでのテイストとはまったく異なるアプローチをする凡の風。確実に新しい風が札幌の一角で巻き起こっています。
凡の風
札幌市中央区南8条西15丁目1-1 ブランノワール1階
▼Q
ラーメンを出すお店ですが、「ラーメンQ」でも「麺屋Q」でもなく店名は「Q」の1文字というセンスの良いお店です。しかもビルの地下1階にあるため、大きな看板も出せないというハンデまで背負っています。
それなのに開店早々から店内はお客さんで一杯になります。「いらっしゃいませ」ではなく、元気に「こんにちは」と迎えてくれる何とも不思議なお店です。
内装はラーメン屋と言うよりも洒落たBARという感じで、何やらお酒も並んでいます。それもそのはず、お昼はラーメン屋としての「Q」夜は「やきとりQ」に変身します。
厨房はまるで工房のように重厚です。スライサーで切られたチャーシューが炎で炙られているのを見ながら、ワクワクしながらラーメンの登場を待ちます。
真っ白に白濁した白湯スープに「豚と鶏のチャーシュー」「ほうれん草」「糸唐辛子」「万能ねぎ」という構成です。さらに北海道では珍しい平打ち麺を使用していて、どこのラーメンにも似ていない完全オリジナルなラーメンなのです。
一見濃く見えるスープはあっさりしていて、鶏のエキスが凝縮していることが分かります。十勝の新得地鶏を使い、野菜と一緒にじっくりと炊き上げています。
タレとなる塩は「栗国の塩」「天外天塩」「フランスのゲランド」など、陸・海で採れる様々な塩をブレンドし、その特性を活かして使用しているそうです。まろやかな風味に思わず「うまい」と言葉に出してしまいました。
平打ち麺がまた最高で、もちもちとした食感で、噛めば噛むほどう旨味が口に広がっていきます。これだけ麺がウマいと、ざるラーメンや冷やし中華にしても食べたくなります。
豚チャーシューは、ハムのようにしっとり、鶏チャーシューはダイナミックに歯ごたえありで、どちらもラーメンとの相性ピッタリです。
帰り際には、わざわざ店員さんが見送ってくれて気持ちよく店を後にしました。評判が評判を呼び、1度Qへ来た者は必ず虜にする。看板が小さくても、ラーメン屋らしくなくても、人気店になる理由がよくわかりました。
Q
札幌市中央区北1条西2丁目1-3 りんどうビル B1F
▼ラーメン桜香
札幌市中心部から少し離れた札幌医科大学付近に「ラーメン桜香」はあります。まったく派手さはなく、昔ながらのラーメン屋といった趣です。
暖簾をくぐると、ご夫婦らしきお2人が店を切り盛りしているのが見えました。こうした店なら、鶏ガラベースのシンプルなラーメンなのだろうかと思いながら、塩ラーメンを注文します。
ラーメンが作られる工程を見ながら待ちます。カウンターに置かれた「ゆでたまご」は無料サービスだそうで、それを食べながらラーメンを待つのが、この店の基本スタイルのようです。
「お待ちどう様です」目の前に置かれたラーメンは、想像とは違い白濁したスープでした。スープは魚介をベースに、豚骨・鶏ガラが程よくミックスされています。あっさりとしながらも、しっかりとコクが出て飽きの来ない味です。
麺は札幌ラーメンの定番ともいえる「さがみ屋」の中太縮れ麺を使用していて、チャーシューは大判サイズがドンと2枚。どんぶりを完全に占拠しています。しっかりと味付けされ、適度な歯ごたえがあります。
ラーメンもさることながら、優しく話しかけてくれる接客が気持ちいい店でした。こうした要素は飲食店には大切ですね。帰りには「3枚集めると200円分のトッピングが無料券」をくれました。温かい人柄で、また行きたくなるお店です。
桜花
札幌市中央区南1条西14丁目1
▼麺屋潤焚(じゅんたく)
札幌市電「中島公園通」を下車してすぐに麺屋潤焚(じゅんたく)はあります。この店は「和食板前が仕上げた極上なスープ」が自慢で、こってりとあっさりの中間の「こっさり」と、魚介ベースの「あっさり」の2枚看板を掲げています。
暖簾をくぐるとすぐに店員さんが席に案内してくれました。店内は広々として居酒屋のような間取りです。さっそく「かつお昆布だし塩ラーメン」を注文しました。
壁には地元放送局のキャスターのサインがたくさん貼られています。それもそのはず、このお店は何度かローカル番組で取り上げられていて、ある俳優の友人が経営していることから、所属するチームのメンバー御用達のお店だそうです。
魚粉の香り漂うスープは、どこまでも透き通り、どんぶりの中の隅々まで見渡せるほどの透明です。麺はさがみ屋を使用していて、トッピングは「チャーシュー」「メンマ」「刻みネギ」「ナルト」「キクラゲ」とシンプルな構成です。ではいただきましょう。
スープは魚粉の香りが強く、そばやうどんのタレに近い感じがしますが、それをうまくラーメンにアレンジしています。人によっては「少し濃いかな」と感じると思います。
さがみ屋の麺は、ややストレートに近くかん水高めでスルスルっと口に入っていきます。食べ歩いていく内に気がつきましたが、札幌のラーメン屋の多くが「さがみ屋の麺を使用」していることに驚かされます。札幌で多く使われる黄色い縮れ麺は自家製麺が作りづらいため、本州に比べて製麺業者の麺を使う率が高いのだそうです。
チャーシューもしっかり味が付き、肉厚でジューシーです。スタンダードなトッピングはシンプルですが、追加注文のトッピングは種類豊富です。気になったのは「納豆」のトッピングです。納豆そばのように乗せて食べるのでしょうか?ぜひ挑戦してみたいものです。
麺屋潤焚(じゅんたく)
札幌市中央区南11条西7丁目1−6
▼まるたかラーメン
190万都市の玄関らしく、札幌駅前には大きな商業施設やビルが立ち並び、とても活気にあふれています。しかしそれは「表玄関」といえる「南口」の話。逆側にあたる「北口」は、近年では高層マンションが立ち並ぶようになりましたが、いまもなお古き時代の札幌の風景を残しています。
札幌駅北口に近い北海道大学付近で営業しているのが「まるたかラーメン」は、まるで時間が止まったような佇まい、大衆食堂のような雰囲気、ここには「昭和の世界」が息づいているのです。
暖簾を見ると、旭川の加藤ラーメンの文字がありました。一体どんなラーメンを出すのか期待が高まります。やはりラーメン店の味を知るには「塩」が1番。ベーシックな塩ラーメンを注文しました。店内を見渡すと家族連れが多く、この店がいろんな年齢層に愛されていることが分かります。
「おおっ!」運ばれてきたラーメンは、思った通りの旭川ラーメン。豚骨・鶏ガラベースの少し白濁したスープが目を引きます。まずは1口いただきます。
「違う!」旭川ラーメンのようで旭川ラーメンではない。ほのかに豚骨の香りが漂いながらも臭みはなし。魚介の味も抑え気味です。ご主人は札幌出身で、意識して旭川テイストのラーメンを作っているのではないそうです。つまり、ここだけのオリジナルの味なのです。
細めのストレート麺はスープによく絡み、いくらでも喉を通って行きます。メンマも肉厚で美味しいです。ふと壁を見たら「メンマ丼あり」の張り紙が。どうりで美味しいわけですね。
チャーシューは最近流行りのトロトロではなく肉厚で、少し歯ごたえを残してあるのがポイントです。
美味しく完食しました。平日はサラリーマンで一杯になるという「まるたかラーメン」は、いつまでも変わらず営業してほしい、昭和を感じるノスタルジックなお店でした。
まるたかラーメン
札幌市北区北11条西4丁目1-28 三上コーポ1階
▼麺のひな詩
変わった名前の「麺のひな詩」は、商業施設「サッポロファクトリー」のそばにあります。中心部から少し離れ、カウンター席だけの隠れ家的なお店です。そんな場所なので、あまりお客さんが来ないのかと思いきや、お昼には超満席。なかなかの人気店です。
1番人気は鶏ガラや丸鶏を煮込んで作る白濁したスープの「鶏白湯」です。メニューには「コッテリしているのに、どこかアッサリ、コラーゲンたっぷり」の文字が踊り、味噌・塩・醤油の3つの味が用意されています。
注文してから10分ほどでラーメンが運ばれてきました。奥の深い小ぶりなどんぶりの中には、まるで牛乳のように白濁したスープ、そして大きめのチャーシュー、メンマ、青ネギ、白髪ネギなどが綺麗に盛り付けられています。さっそくいただきましょう。
じっくりと煮込んだことが分かる鶏のエキスがスープに凝縮されています。「コッテリしているのに、どこかアッサリ」と書かれていましたが、豚骨ラーメンほどコッテリ感はなく、とてもクリーミーです。コラーゲンたっぷりのスープは女性に嬉しいポイントですよね。
麺は札幌でお馴染みの「さがみ屋」を使用しており、ちょっとだけ縮れたストレートに近いタイプを使用しています。食感は滑らかでツルっと口に入ります。チャーシューは薄いですが、大きく食べごたえあります。
1つ1つが丁寧に作られていると感じる一杯でした。立地が悪いにも関わらず、お客さんが押し寄せるのも納得です。帰りには「ネギチャーシュー丼」「帆立飯」などが無料になるサービス券を配布。こういうシステムもリピーターの確保に貢献しているのでしょう。
麺のひな詩
札幌市中央区北3条東3丁目 酒井ビル1階
▼北乃ラーメン
塩ラーメンの定番ともいえる鶏ガラベースのラーメンが美味しいと聞き、札幌市中心部から離れた桑園にある「北乃ラーメン」を尋ねました。店舗外観は、板が張り巡らされ山小屋のような雰囲気。威風堂々とした暖簾をくぐります。
店内は「昔ながらのラーメン屋」の雰囲気があり、カウンターとテーブル席がある広めの間取りで、女性店主が切り盛りしている感じのいいお店です。メニューを見るとランチタイムは、わずか50円でライスがつくようです。ダブル炭水化物は太る原因と分かっていながらも注文せずにはいられません。
注文してからさほど待つことなくラーメンが運ばれてきました。まるで清流のように澄んだスープ、チャーシュー、メンマ、ネギ、ナルトで構成されたオーソドックスなトッピング、まさに求めていた理想の塩ラーメンです。スープは100%鶏ガラ使用、しょっぱすぎない絶妙なバランスで、最後の1滴まで飲み干せるほど美味しく味わうことができます。
麺は札幌ラーメン正統派の縮れ麺を使っておりスープによく絡み、極上の味を作り出しています。チャーシューは硬めで歯ごたえ十分。ナルトなどのトッピングもオールドスタイルなラーメンの名わき役として味を引き締めています。
ほとんどのお客さんが塩ラーメンを注文するそうで、その実力は確かなもの。「毎日食べても飽きないラーメンを目指している」というだけあり、「もう一度行きたい」と思わせる、美味しいラーメンでした。
同じ塩ラーメンでもこんなに違いがあるのかと驚かされました。素材や作り方によってまったく別の食べ物のように変わるものなのですね。
北乃ラーメン
札幌市中央区北7条西18丁目4-21
▼ほっぺ家
和風ラーメンが激ウマと聞いて東区役所近くの「ほっぺ家」にやってきました。4台ある駐車場はすでに満車、カウンターを中心とした店内も満席。開店早々賑わいを見せています。
先客は4組ほど、食券を買って約10分待つと席に案内されました。壁には「和食の板前として20年のキャリアを誇る」というキャッチコピーとともに、
和風塩らーめんと「そぼろご飯」を注文しました。ランチタイムや夜の時間帯にかかわらず白いご飯か、ミニサイズの「鶏そぼろご飯」が無料サービスされるのでお得感があります。
まずは「鶏そぼろご飯」が到着しました。お好みで特製マヨネーズをかけて食べます。そのすぐ後に真打の登場です。ふわっとした良い香りと共に「和風塩らーめん」が運ばれてきました。
どんぶりの中央には飾り包丁が入れられたニンジンが添えられ、大輪の花を咲かせています。トッピングは「万能ねぎ」「白髪ねぎ」「海苔」「メンマ」「チャーシュー」とシンプルな構成です。ところどころに浮いた鰹節がよい香りを放ちます。なるほど確かにこれは和食のテイストですね。
たまらずスープを1口いただきます。ガツンと来る味ではなく、絶妙な塩加減が鼻や喉を通して全身にジワーッと染み込むようなウマさです。塩ラーメンならではのシンプルさが、鰹の風味を余すことなく伝えています。
麺は和出汁によく合う小林製麺のストレート麺を使用しており、日本蕎麦に似た食感はスープにマッチしています。辛味噌には縮れ麺を使うなど、テイストに合わせて麺を変えているようです。札幌ラーメンの雛形を踏襲せずに自由に食材を選ぶ。革新派ラーメンらしい挑戦と感じました。
チャーシューは厚みがありますが、箸でつかむととろける柔らかさ。少し濃い味付けで、スープに対する良いアクセントになっています。メンマは肉厚でご飯と一緒に食べると最高です。スープが少なくなるにつれて「もっと食べていたい」と名残り惜しくなるラーメンでした。
ほっぺ家
札幌市東区北11条東6-1-40 館ビル1F
▼又造
フレンチ出身なのにスープカレー専門店を開店、2011年に業種替えしてラーメン屋になったという珍しい経歴を持つ店主の店です。北海道大学の近くにあり、客層は大学生が中心で、従業員も若く活気に溢れたお店です。
メニューは、味噌、塩、醤油の基本テイストのほかに、季節限定・土日限定メニューなどもあって多彩で、迷いつつもベーシックな塩ラーメンを注文しました。店内を見渡すとブラックボードにオススメ品が書かれています。さすが大学近くのお店、オシャレな雰囲気が漂っています。
注文してからあっという間にラーメンが運ばれてきました。ネギなどの野菜がドンと乗り、炙りチャーシュー、メンマ、岩海苔などがトッピングされています。最初から黒コショウがまぶされているのも印象的です。
「化学調味料を一切使用していない」という鶏ガラ+魚介ベースのスープは透明感があり、すっきりとした後味です。それを追いかけるように効いてくる黒コショウがスパイシーなアクセントになります。化学調味料に慣れた舌には天然素材は物足りなく感じるものですが、味覚を二重構造にすることで、その問題をうまくクリアしています。
麺は「さがみ屋」の中太ストレートを使用。化学調味料を使っていない店は、小さなどんぶりでラーメンを出すことが多いですが、ここはフルサイズ。麺も多めに感じます。
厚くジューシーな炙りチャーシューも食べごたえ十分です。この界隈では値段と味のコスパもよく、人気店になる要素が十分に網羅されたお店でした。
又造
札幌市北区北13条西3丁目 丸二物産1F
▼らーめん きちりん
独自の味を追い求めるラーメンがある一方で、札幌ラーメンのスタイルを踏襲しながら、その完成度を求める店もあります。まさに「きちりん」は、正統派ラーメンの頂に君臨している店といっても過言ではないでしょう。
場所は大通9丁目にあり、中心から離れているものの専門学校が立ち並びお客さんが来やすい場所にあります。平日の11時だというのに開店早々お客さんで席が埋まっていました。
この店が目指すのは「素ラーメン」でも美味しいと言わせる1杯です。食べ飽きないラーメンを求め、創業以来豚骨を一切使わず、鶏がら、香味野菜、魚介でしっかりと出汁がとられ、透明なスープを作り出しています。
人気の塩ラーメンを注文すると、すぐに目の前に運ばれてきました。澄み切ったスープに黄色い縮れ麺、ネギ、メンマ、麩、チャーシューのトッピングは、誰もが想像する札幌塩ラーメンです。和食の職人の技術が正統派ラーメンをどう昇華させているか楽しみです。
まずはスープをいただきます。「おおっ!」期待以上です。鶏ガラ専門店を名乗っているので、水炊きのような濃厚な鶏の味なのかと思いきや、香味野菜と魚介の絶妙な配分により、角が取れたまろやかな味に仕上がっています。これはレベルが高い。
麺はカネジン食品のオリジナルブレンドで、3種類の道産小麦粉に卵を配合した「タマゴ麺」です。とてもおいしく、ざるラーメンなどシンプルな方法で食べたくなりました。
メンマは歯ごたえが良く、北海道産ロースを使ったチャーシューは柔らかめ。1つ1つが全体のバランスを崩さない味付けがなされています。ごまかしの効かない塩ラーメンを店のイチオシにするだけあって、クオリティの高いラーメンでした。
らーめん きちりん
札幌市中央区大通西9丁目3-35
すすきの周辺の塩ラーメン店
札幌駅南口から出て大通り公園を過ぎたところに、大きなウィスキーのネオンが見えたところが「すすきの」です。夜になるとたくさんの人で賑わう場所で営業している絶品ラーメン屋さんを紹介します。
▼らーめん鴇の家(ときのいえ)
一風変わった店名のラーメン鴇の家(ときのいえ)は、札幌駅から大通り方面へ歩いていったススキノの一角にあります。
店内はカウンター席のみ。店に入ると鶏の良い香りが漂いました。メニューを見ると「これを食え」とばかり塩ラーメンに赤丸が!何か期待できそうな予感です。
注文をして数分後にラーメン到着。透明なスープに軽く鶏の脂が浮いています。具は「ナルト」「メンマ」「ネギ」「チャーシュー」というシンプルな構成で、スープを飲んでみると、口の中で鶏の味が踊ります。例えるなら濃厚な水炊きですね。名古屋コーチンの鶏ガラと長ネギ、生ショウガを半日かけて煮出しスープを作っているそうです。
タレに使われる塩はモンゴル産の自然塩で、海だった土地が干上がり太陽に照らされて結晶化した、ミネラルたっぷりの岩塩です。しょっぱさを抑えられながら旨味だけを引き出しています。
さがみ屋の中太縮れ麺は、鶏から抽出されたコラーゲンがよく絡み、さっぱりとした味の中に旨味があります。2枚の大きなチャーシューは箸でつかむと崩れるほど柔らかく、口に入れると肉の味が花火のようにパッと広がりました。
無駄なものを省いてスープにコストを投入していることが分かる塩ラーメンでした。らーめん鴇の家の営業時間は11:00~翌5:00で、深夜や明け方には酔った客が多く訪れると思いますが、それではもったいない。ランチやディナーの時にしっかりと味わってもらいたい絶品の塩ラーメンを提供するお店でした。
らーめん鴇の家
札幌市中央区南8条西4丁目422−5
▼ラーメン信月
塩ラーメンが絶品と聞き、「ラーメン信月」に訪れました。場所はススキノのど真ん中、雑居ビルの1階に店を構えます。
開放感たっぷりの店内はカウンターのみで、昔ながらのラーメン屋台のような趣です。営業時間は15時~翌5時。ススキノ界隈のラーメン屋は酔った客を見込んで、どこも長時間営業をしています。
開店はランチには遅くディナーには早い微妙な時間ですが、すでに先客あり。さすが人気店です。さっそく塩しょうがラーメンを注文しました。すでに厨房から良い臭いがプンプンしているので気分も上がります。
店内を見渡すと有名人のサイン色紙が所狭しに飾られていました。
「熱いので気を付けてください」と目の前に出されたラーメンはとてもシンプルで「チャーシュー」「メンマ」「ネギ」「ナルト」「大きな麩」のトッピングと底まで見える美しい黄金のスープに食欲をそそられます。
スープを飲むと、スッキリとした味わいが口いっぱいに広がります。余分なものが一切混じっていないクリアな味は、鶏ガラを中心とした様々な食材の味を余すことなく舌に伝えます。
オリジナルの味を十分に堪能した後で生姜を溶くと味はコロッと変身。清涼感が押し寄せ「ちょっと絡みが弱いかな」と思っていた黄色い縮れ麺にグイグイ絡みつきます。
チャーシューは少し硬めで歯ごたえがあり、たっぷりとスープを吸ってアツアツになった麩など奇をてらわないトッピングは、ラーメン全体のバランスを計算し尽された黄金比率といえるでしょう。
すぐ近くに「ラーメン横丁」があるため観光客はそちらに流れがちですが、地元の人たちが足しげく通う絶品ラーメンをぜひ1度堪能してみてください。
ラーメン信月
札幌市中央区南5条西3丁目
▼ラーメン 札幌 直伝屋
今回訪れたのは、ラーメン札幌直伝屋。札幌ラーメンコンシェルジュの大石敬氏のプロデュースで2015年にススキノ雑居ビルの1階にオープンしました。
開店当時は二毛作営業で、昼間に「ラーメン札幌直伝屋」夜は別経営の「麺処しずる」が開店していたそうですが、麺処しずるが撤退し、現在は昼・夜共にラーメン札幌直伝屋が営業しています。
券売機で食券を購入すると、感じのいい店員さんが取りに来てくれました。麺は「札幌ラーメン王道の縮れ麺」か「道内産小麦麺」を選べるとのこと。迷わず道内産小麦麺を選んで席に着きます。道内産小麦麺はパスタに利用する留萌産のルルロッソを使用しているので、どんなものかと期待が高まります。
厨房では中華鍋から炎が上がり、見事なコンビネーションでラーメンが作られていきます。待つこと数分で目の前に運ばれました。「どんな味だろう」とワクワクするこの感じが食欲をそそります。
まずはスープからいただきます。鶏ガラをベースとし、あっさりとしながらも幾重にも旨味が重なった美味しさで、焦がしたラードやニンニク、野菜や挽肉がアクセントになっていて、ワイルド過ぎずそれでいてあっさりしすぎずという絶妙なサジ加減を作り出しています。
麺は一見普通に見えますが食べてみて納得しました。弾力があり、歯ごたえがすごくあります。「ちょっとスープとの絡みが少ないかな?」と思いきや、食べていくうちにちょうどいい絡み具合になっていきました。
チャーシューが「まるでポークソテー?!」と思うくらい肉厚で素晴らしいですよね。適度な硬さで「ラーメンにおけるチャーシューとは?」の答えが1つ見つかりました。さすがはラーメン好きがプロデュースしただけのことはあります。おいしく完食させてもらいました。帰りは先ほどの店員さんが丁寧に見送ってくれ、気持ちよくお店を後にしました。
らーめん札幌 直伝屋
札幌市中央区南4条西5丁目6-3
▼めんこい茉季詩夢(マキシム)
「めんこい」とは北海道弁の「かわいい」のことなのか「茉季詩夢(マキシム)」とはどんな意味なのか、突っ込みどころ満載なこの店は、ススキノにある「ジャスマックプラザ」のすぐそばにあります。
店構えは古く迫力満点で、2階は別の店が営業しているのかと思いきや、シャッターを看板がガードしています。「20時間煮込んだ秘伝のスープ」そして「塩ラーメン専門店」と言いながらも「カレーもある」かなり不思議なお店です。
店内はカウンターと、大きなテーブルが鎮座する構成で、お冷はペットボトルから直接注ぐワイルドさ。さらに見渡すと、店主と野球選手や芸能人が一緒に写った記念が飾られています。サインを飾る店はよくありますが、自分の写真を飾っている店は初めてです。
「タマゴサービスしたよ」と、出てきたラーメンは白濁した白湯スープ。1口飲んでみると、ほのかに甘みを感じます。鶏白湯ではなく豚骨ですが臭みはなくマイルドです。トッピングはネギ、キクラゲ、メンマ、チャーシュー、ほうれん草、海苔と、オーソドックスなラインナップです。
麺は西山製麺を使用しておりいい具合にほうれん草が絡んで一風変わった味わいがあります。チャーシューはしっかりと味付けされ、2枚も入っている気前の良さ。美味しくいただきました。
店主はちょっと不愛想に見えますが、タマゴをサービスしてくれたり、チャーシューを多めに入れたりサービスに努めていました。「不愛想なのではなく表現が不器用なのかな?」そんなことを考えながら店を後にしました。
めんこい茉季詩夢(マキシム)
札幌市中央区南8条西2丁目
狸小路周辺の塩ラーメン店
札幌狸小路は飲食店だけではなく、アパレルショップや専門店など様々なお店がひしめき合い、何ヶ月も間を置いて訪れるとどこかは新しいお店に変わっている新陳代謝の激しいエリアです。
そのラーメン激戦区でもある狸小路で味わえる塩ラーメンを紹介します。
▼博多一風堂
札幌における九州系とんこつラーメンの歴史は浅く、1990年代後半に全国展開するチェーン店が進出するまでは「噂には聞いたことがあるが、実際は食べたことがない」という人が大半を占めていました。今でもラーメン屋の絶対数としては少なく、とんこつラーメンを出す店は、どこも人気店となっています。
札幌において、とんこつラーメンの草分けともいえるのが「博多一風堂」です。狸小路店に入ると、すでにお昼時の13時を過ぎたのに、たくさんのお客さんで賑わっていました。テキパキと元気のいい接客で席に着き、博多一風堂の基本である「白丸元味」を注文しました。
卓上には「高菜」「紅しょうが」「生にんにく」などが乗っています。その中の「ホットもやし」をつまみながらラーメンを待つのが通の待ち方だそうです。メニューには博多一風堂のラーメンへのこだわりや歴史などが書かれているので、待ち時間も飽きることがありません。
とんこつラーメンといえば、寸胴で豚骨が煮えたぎり、店内には動物系の香りがしているイメージがありますが、博多一風堂のとんこつラーメンは、とても上品なラーメンです。とんこつの香りをほのかに残しながら、旨味のエキスだけを抽出し、トッピングされたネギが、清涼感を醸し出します。
博多ラーメンと言えばストレートの極細麺ですよね。もう1つの代表的ラーメン「赤丸元味」とは異なる麺を使用することで、違う食感を引き出しています。チャーシューは薄いのが特徴ですが、ジューシーでラーメンによく合っています。博多一風堂は「恐れずに味を変えていく」と言う方針だそうなので、いずれはまた違った味が楽しめそうですね。
どれも個性的なラーメンを出すばかりで、塩ラーメンのバリエーションの多さに驚かされました。
博多一風堂 狸小路店
札幌市中央区南3条西6-8
▼しらん
狸小路5丁目にある多目的ビル「札幌ナナイロ」の中に、何やら不思議なラーメンを出す店があると聞いて尋ねてみました。「札幌ナナイロ」はファッションビルの「COSMO」の新名称で、駅前通り側から入るとお店に近いです。
「しらん」は、ラーメン専門店ではなく「うどん」「そば」「カレー」「丼物」など「なんでもあり」のお店です。その中でも券売機ではラーメンが筆頭になっています。味は塩ラーメンのみ。しかも「えび天塩らーめん」のスイッチには「名物」と書き込まれています。「名物」とまで言い切られては食べないわけにはいきません。思わずスイッチを押しました。
お店はカウンターのみのオープン・スペースです。若い女性から中年男性まで客層は様々です。厨房では2人の従業員さんがテキパキと動き回り、次々に客の注文をさばいています。揚がったばかりのえび天がラーメンに投下。「お待たせいたしました」と目の前に運ばれてきました。
どんぶりにはチャーシューの代わりに「大きなえび天」と「海苔天」が鎮座しています。まぎれもなく「えび天塩らーめん」です。札幌では珍しいですが、北海道の積丹半島の町村では「名物」としているお店が多いのだとか。
まずはスープを1口いただきます。どんぶりの中、すべてがアツアツです。鶏、豚をベースに魚介をプラスしたスープは少々塩分濃い目ですが、クドさは感じません。てんぷらはサクサクのうちにいただきます。えびは歯ごたえ十分で衣が適度にスープを吸って美味しいです。ラーメンにテンプラはミスマッチかと思いましたが、全然違和感がありません。
麺はストレートの細麺を使用していて、アツアツのスープによく絡んで塩ラーメンとしてもハイレベルです。時間とともにてんぷらの油が溶け出してコクが増していくので、残り汁はご飯と一緒に食べるのがオススメだそうです。
「しらん」では済まされない評判店になりそうな気がします。
しらん
札幌市中央区南2条西4丁目 札幌ナナイロ(旧COSMO)1F
▼ねぎま
札幌の狸小路商店街は、様々なお店が混在するエリアで飲食店も多く、安くて美味しいものがいっぱい。狸小路2丁目にある「ねぎま」です。メインは居酒屋ですが、昼のランチも「安くてうまい」と評判のお店なのです。
完全個室の店内は「おひとり様」でもOKで、昼休みにひと時の安らぎを求めるのに最適です。ランチメニューは「定食」「丼物」と豊富で、その中でも人気なのが「鰹だし鶏和麺」です。
「ねぎま」は、札幌市東区でラーメン店を経営している「麺やハレル家」が監修しているので、その味は専門店の保証付きといっても差し支えないでしょう。
さっそく個室でくつろいでいると注文した「鰹だし鶏和麺」が運ばれてきました。カツオの風味が香しい透明なスープにストレートの細麺で、トッピングは「水菜」「海苔」「お麩」「炙った鶏」とシンプルかつ十分です。
塩ラーメンのスープは薄すぎると物足りなさを感じるものですが「鰹節」と「鶏のエキス」が程よく合わさり、意外とパンチが効いています。
店員さんから「お好みでラーメン胡椒か柚子胡椒をお使いください」と説明を受けました。せっかくなので柚子胡椒を入れてみます。ビリっと辛く、それでいて全体に広がる清涼感が、スープの味に変化をもたらしました。
ラーメン店が監修するだけあって麺もおいしく、ズルズルっと口に入っていきます。多少音を立てても、誰もいないので気兼ねありません。
チャーシューの代わりに入っている炙った鶏肉はとても肉厚でジューシーです。あっという間に完食しました。これでワンコイン500円なんてコストパフォーマンスが高いですよね。お昼は混み合いますので、できれば時間をずらして行ってみてください。
ねぎま
札幌市中央区南3条西2丁目15-1 狸小路2丁目 Nヴィコロビル1階
▼ラーメン薫薫(くんくん)
狸小路はラーメン激戦区で、新しい店がオープンしては消えてゆく様を見ていると、商売の難しさを感じずにはいられない場所です。西区から狸小路に店を移し、創業20年を超える「ラーメン薫薫(くんくん)」は、老舗といっても過言ではないでしょう。店名は、店主の友達の薫さんの名前から命名したそうです。
場所は狸小路8丁目にあり、アーケードが途切れ人気もまばらな場所にあります。暖簾をくぐると、ご主人の「いらっしゃいませ」という声で迎えられました。
この店は、備前岡山の海塩を使用した「潮ラーメン」、蒙古岩塩を使用した「蒙古塩ラーメン」、ドイツの岩塩を使用した「アルプスのパワーラーメン」と、塩ラーメンが充実しています。塩好きとしては悩むところですが「蒙古塩ラーメン」を注文しました。
目の前にゆで卵が出され「出来上がるまで食べて待っていてください」というわけです。カウンターの上に置かれている塩は「食卓塩」ではなく「岩塩」でした。細かいところまで徹底的に塩にこだわっていて気持ちいいですね。15時までは小ライスが無料だそうで、コストパフォーマンスも十分です。
目の前に現れたのは、澄み切った黄金色のラーメンでした。スープの中には、札幌ラーメンの定番、さがみ屋の中太縮れ麺が沈んでいます。トッピングは「チャーシュー」「メンマ」「お麩」「海苔」「ナルト」「ゆで卵」「ネギ」というオールドスタイルな構成です。
まずはスープからいただきます。思ったより「ガツン」という衝撃はなく、とてもまろやかで優しい味です。「鶏ガラ」や「げん骨」「野菜」の風味が程よくミックスされ、どこか懐かしさを感じます。
チャーシューは余分な脂身がなく、肉厚で食べごたえ十分。漬け込みではなくしっかりと煮込んでいるそうです。1つ1つに丁寧な仕事が施されていることを感じる極上ラーメンでした。店主が「毎日食べたいと思うラーメンを作った」というラーメンは、札幌に訪れた塩好きなら1度は食べておきたい1品です。
ラーメン薫薫(くんくん)
札幌市中央区南3条西8丁目 遠藤ビル1階
札幌市郊外の塩ラーメン店
札幌市は地下鉄や路面電車、バスが通っているので郊外へのアクセスも便利です。札幌駅のある中央区以外にも、美味しいラーメン屋さんはたくさんありますよ。
▼麺屋 菜々兵衛
白石区でラーメン好きを唸らせているのが「麺屋 菜々兵衛」です。メインストリートから離れた路地にありながらも、客足が絶えない人気店なのです。
暖簾をくぐると、店内はお昼を過ぎたというのにほぼ満席。メニューの筆頭に塩ラーメンを持ってくるところに店主の自信が伺えます。しかもスタンダード塩、鶏白湯塩、名古屋コーチン塩と3つのバリエーションがあり、塩ラーメン好きにはたまりません。鶏白湯も名古屋コーチンも捨てがたかったのですが、まずはベーシックな味で実力を見てやろうと、スタンダードな塩を注文しました。
ラーメンを作る職人2人にホールには3人。小上がりもある広い店内のため、従業員が多めに配置されています。今日は平日、しかも14時を過ぎたというのに客入りが絶えることはありません。これは期待できそうです。
ほどなくして運ばれてきたラーメンを見て驚きました。「まるでお湯?」とまで思わせる常識を覆す透明すぎるスープ。白いストレート麺、大きなチャーシューと長いメンマ、大量のネギなど、これまでにない見た目です。
まずはスープから。思わず「おおっ」と驚きました。ラーメンの汁は「スープ」と呼ばれながらも、しょっぱ過ぎて飲み干すことができないものが多いですが、菜々兵衛の汁は、それだけを器に入れて出してもおかしくない純粋な鶏ガラスープです。寒い時期に温かいスープを飲むとホッとする気持ちになるような「優しい味」で、水をごくごく飲まなくても飲み干せる健康的な味なのです。
麺は中太ストレート麺で滑らかな食感があり、スルスルと口に入っていきます。あまりスープに絡んでいる感じはしませんが、麺自体がおいしいので絶妙に調和がとれています。ちなみに麺の種類は味によって変えているようです。
チャーシューは、とても大きく歯ごたえが最高。特筆すべきはメンマ。よく味付けされ、これだけをご飯に乗せて食べても十分うまい。大量に投入されたネギのシャキシャキ感や、ほんのり香る柚子もアクセントになり、最初の一口から最後の一滴まで十分に味わえるラーメンでした。
麺屋 菜々兵衛
住所/札幌市白石区川下3条4丁目3-21
アクセス/JR札幌駅よりJR平和駅で下車
▼らーめん専家 羅妃焚(らぴた)
岩見沢市に本店を置き、札幌、江別、留萌、帯広と全道各地にチェーン店を持つ「らーめん専家 羅妃焚(らぴた)」です。「なんだ、チェーン店か」と侮るなかれ。全道各地にこれだけチェーン店展開出来ているのは、多くの人に支持されている証拠です。今回は札幌市北郷店に行ってきました。
場所は白石区北郷通で、すでに14時を回っているため、お客さんはまばらです。この店のメニューは豊富。さらに曜日によって盛り無料や小ライス無料などのサービスを行っているようです。
ラピタに訪れた日は、日本ハムファイターズが優勝した記念に、通常200円のチャーシューを含む全トッピングがオール80円(通常100円)でした。
ほどなくするとオーダーしていた塩ラーメンが運ばれてきました。これまで見たことがない平たいどんぶりに、鶏ガラスープに黄色い縮れ麺。まずはスープからいただきます。濃厚な鶏ガラの風味で、まとまりのある味です。しょっぱすぎない点もいいですね。ゴマがたっぷりとかかり、香ばしさも申し分ありません。
麺はウェーブが強い縮れ麺で、少し硬めの小麦を噛みしめる感じです。チャーシューはトロトロで、箸で摘まむと崩れるほど柔らかくジューシーです。
トッピングはネギ、ナルト、メンマなど極めてスタンダード。突出した個性は感じませんが、誰が食べてもおいしいと思えるチェーン店らしいラーメンでした。駐車場に広々とした店内や「らーめん専家」を名乗りながら、パフェなどのスイーツが豊富ですので、ファミリー層には最適だと思います。
らーめん専家 羅妃焚
住所/札幌市白石区川下3条4丁目2-23
アクセス/JR札幌駅よりJR平和駅で下車
▼玄咲 キャポ大谷地店
スープにこだわる店が多い中で、玄咲は氷温熟成というオリジナルな手法を使った「麺にこだわる」ラーメン店です。40数年前に異業種を行っていた社長が、時代を見越してラーメン屋に転業。「素人が、いつかは玄人になって花を咲かせたい」と願って「玄咲」と名付けられました。
訪れたのはキャポ大谷地店。さっそくお店イチオシの龍舟麺(りゅうしゅうめん)をオーダー。出来上がりを待ちます。
店内はショッピングセンター内らしく清潔で広々としています。すでに15時に近いというのに、遅めの昼食を食べている人もいます。これはなかなか期待ができそうです。
ラーメンが運ばれてくると、ふわりと香る豚骨の匂いに惹かれました。具材は白菜、キクラゲ、ツブ貝、シイタケ、豚肉、コクの実など「中華丼」そのもの。しかも豚骨は風味だけをうまく生かし、臭みをまったく感じさせません。
健康志向ラーメンというコンセプトのもと、ラードを使わず植物性油を使用しいているそうです。塩加減もちょうどよく自然に喉を流れます。スープに使う水は藻岩山の伏流水を使用しているそうです。
店によると自慢の氷温熟成麺は、厳選された各種小麦の1番おいしい部分のみを使って独自の割合でブレンドし、コシ・うまみを追求して出来た麺を「氷温」で何日もかけてじっくり熟成させ、うまみを引き出す独自の製法で作られているそうです。シコシコとした食感の縮れ麺はとても美味しいです。
テーブルに「龍舟麺用の薬味」があったので途中で投下します。どうやら「もみじおろし」のようで、さっぱりした味の中にも奥深さが広がります。他にも擦り胡麻などもあり、好きに味をカスタムできます。
あっさり食べられるので、無理なく完食しました。前回、普通の塩ラーメンを食べた時は、何も感じませんでしたが、龍舟麺は完成度が高いですね。脂っこいラーメンを好まない人には最高です。
玄咲 キャポ大谷地店
住所/札幌市厚別区大谷地東3丁目3−20
アクセス/札幌駅より新札幌で乗り換え、地下鉄東西線で大谷地にて下車
「函館」に負けない「札幌塩ラーメン」を堪能
味の調整が難しい塩ラーメンをメインに据えるだけあって、鶏ガラ、魚介など素材の味が生かされ、個性的でおいしいラーメンばかりでした。
ダシの味がストレートに反映されるため濃い味付けでごまかせない塩ラーメン。その奥深さを求めて、今日も新たな暖簾をくぐるのです。「今度はどんなラーメンと出会えるかな」と、新たな激ウマ塩ラーメンの発見に心が躍ります。ラーメンって奥深いものですね。