札幌のレトロな喫茶店を巡る旅
札幌には半世紀以上の歴史を持ち、いまもなお多くの人々に愛され続けている喫茶店があります。
店の雰囲気だけでなく、コーヒーや軽食の味も引き継がれ、いつ訪れても変わることがない安心感も魅力のひとつでしょう。
今回は昭和30年代の匂いを放ち続ける老舗を尋ねてみました。
▼純喫茶オリンピア
北海道庁の近くに昔ながらの趣がある純喫茶「オリンピア」があると聞き尋ねてみました。場所は札幌市中央区北4条西6丁目にあり、道を挟んだ向かいに北海道庁、毎日新聞社が入る毎日札幌会館と、ホテルポールスター札幌に囲まれた北四条ビルの地下1階にあります。ビジネス街に位置するためか、飲食店には珍しく土日祝が定休日です。
歴史を感じるビルの階段を下り、純喫茶「オリンピア」のドアを開けると、いきなり過去にタイムスリップします。一段低いフロアにエントランスが広がり、時代が止まったような空間に迎えられます。ソファーやテーブルなどのインテリアは茶色系で統一され、間接照明の淡い光が照らしています。全体が見渡せる席に着くと、落ち着いた雰囲気の女性が注文を取りに来ました。
喫茶オリンピアのセットメニュー
モーニングセット(8時~10時)
・目玉焼きセット/400円
・トーストセット/500円
・ホットケーキセット/500円
・ポークウィンナーセット/500円
・ミートスパゲティ―セット/550円
ランチセット(11時~14時)
・ミニハンバーグカレー/600円
・ミニハンバーグスパゲティ/600円
・ミートソース/750円
・ビーフカレー/750円
また、毎週月初めの1週間は「パスタフェア」として、8種類のパスタセットが600円で提供されています。
すでに11時を回っていたので、ランチメニューのミニハンバーグスパゲティとコーヒーを注文しました。店名のオリンピアの由来は、札幌オリンピック(1972年)にちなんだものと思いきや、それよりも古い東京オリンピック(1964年)の年の開店だそうで、実に半世紀以上の歴史を誇っています。
外界から遮断された店内は、喫茶店がオシャレな大人の社交場であった名残を十分に残し、人生の酸いも甘いも知り尽くした大人たちが安らぎを求めて訪れます。
ほどなくしてミニハンバーグスパゲティが運ばれてきました。静かに流れるジャズを聴きながら昭和から受け継がれる味を楽しみます。食後のコーヒーも常連を惹きつけるだけあり本格的でおいしく十分に満足できました。
スタッフの方々やお客さんのムードが、お店の雰囲気を作り出しています。いつか私もこの雰囲気が似合う素敵な大人になりたいものです。
▼オットー喫茶
札幌市中央区南2条西5丁目に落ち着いた喫茶店「オットー」があると聞き、うろうろと探しまわったものの見つからず、やっと発見したと思ったら様子がおかしい。よくよく看板を確認したら「オットー」ではなく、「うおっと」という居酒屋さんでした。
友達と談笑しながら、ようやくお目当ての「オットー」を発見。街の景観に溶け込むように佇み、ドアを開けると暖気と一緒にコーヒーの香りが漂いました。壁にレンガを使用したシックな店内は「カフェ」ではなく「喫茶店」と呼ぶにふさわしい風格と、おもむきがあります。
レイアウトは、カウンターのほかにテーブル席が6つあり、奥のテーブルの1つは、昔懐かしいテーブル型のゲーム機(故障中)が使われていました。1970年代後半にインベーダーゲームが流行り、当時は喫茶店がゲームセンターのようになっていたそうです。
まずは食事と飲み物を注文しました。「ここはひとつ、喫茶店らしいものを頼もうか」と相談し、私はドライカレーとホットコーヒーを、友人はハヤシライスと紅茶をオーダーしました。
しばらくして食事が運ばれてきました。ドライカレーは程よくスパイスが効き、細かく刻まれた福神漬けがカレーの風味を際立たせるアクセントになっています。食べすすめるごとに味わい深く、飽きることなく完食しました。
友人のハヤシライスを食べさせてもらいます。ケチャップソースの中に野菜がとろけ、濃厚なおいしさを引き出しています。ちなみに「ハヤシライス」の名前は、現在文房具を扱う丸善の創始者である早矢仕有的(はやし ゆうてき)氏が考案したから、ハッシュドビーフの「ハッシュ」がハヤシになったなど諸説あるそうです。
昭和35年に開店の老舗だけありコーヒーや紅茶もおいしく、どれも一朝一夕には出せない味でした。
オットーには看板犬の「トモちゃん」がいて、ストーブの前で温まったり、お客さんにすり寄っています。トモちゃんに会いたくて、お店を訪れる人も多いようですよ。常連さんも多いですが排他的な雰囲気は一切なく、初めての人でも懐かしい雰囲気に迎えられます。たまにはレトロな喫茶店でノスタルジーな気分に浸ってみませんか?
札幌のレトロ喫茶店は本物の昭和を感じられる
札幌のレトロカフェは「レトロ風」ではなく、当時の空気感がそのまま封印されたタイムカプセルのようなお店でした。自分の親の世代が青春時代を過ごしたであろう雰囲気に浸る。そんな楽しみ方をしてみてはいかがでしょうか。