オマーンを旅行したからわかる魅力!
マスカットを首都とするオマーンはアラビア半島の南東部に位置しています。アラブ首長国連邦(UAE)と隣接しており、UAEの中にオマーンの飛び地である「ハッサブ(Khassab)」があります。
UAEから陸路でも入国できるので、ドバイやアブダビ観光のついでにオマーンに行く人も増えています。
日本からの直行便がなく、カタールやドバイで乗り継いでいくしかありません。日本からオマーンを目的とした観光客は少ないですが、これから紹介するオマーンの魅力を知ると、オマーンに行ってみたくなること間違いなしです!
日本人観光客も少ないからこそ、周りとは異なるオリジナル旅行を体験することができるはず!まずは、知らないことが多い「オマーンの基本的な情報」からご紹介します!
オマーンの基本情報
・正式名称/オマーン(sultanate of Oman)
・首都/マスカット(Muscat)
・面積/約31万平方キロメートル(日本の約4分の3)
・人口/約280万人(オマーン人の割合75%)
・言語/公用語はアラビア語(首都では英語が通じるところが多い)
・通貨/オマーン・リヤル(OMR)とバイザ(Bzs)
※1OMR=1000Bzs=約290円
マスカット国際空港到着時に1か月滞在可能な「シングルビザ」と1年間有効で1回につき3週間滞在できる「マルチプル・ビザ」が取得できます。申請書類の記入はく、簡単に入手することができます。費用は現地通貨かドル払いです。
良いサービスを受けた時にはチップを渡しましょう。オマーンは他の中東国に比べて物価が高いことで有名で、チップ代もかなりかかります。タクシーでは端数を切り上げる、高級レストランでは料金内にサービス料が含まれていなければ10%程度、ホテルではコインではなく紙幣で渡すのが好まれます。
▼オマーンの気温と服装
4月~10月(夏季)⇒高温多湿なため、体感気温がかなり高くなります。この時期は40度を超える日が日常的にあります。現地の人は外を歩きません。
日本人的感覚で行くと暑いので肌を出したいと思いますが、オマーンはイスラム教国家なので過度の露出は控えるようにしましょう。ノースリーブや半そでを着ていてもカーディガンが1枚あればとても重宝します。夏は冷房がとても効いているので、冷房対策にも使えます。
12月~2月(冬季)⇒冬季といっても雪は降りませんが、少量の雨が降ります。この季節が最も過ごしやすいシーズンで気温は25度前後になります。長袖のシャツ1枚あれば十分ですが、夕方から夜にかけて涼しくなるのでパーカーやカーディガンなど羽織るものを準備しておきましょう。
特に砂漠は冷え込むので、サファリツアーに参加したり砂漠ホテルに宿泊したりする予定の場合はジャケットがあれば安心です。南部のドファール地方はモンスーン気候で、7月~9月は雨季に入ります。
ベストシーズンは日中でも25~30度と比較的涼しく、気候が穏やかな10月~4月です。
首都のマスカット情報
オマーンには、国土を大きく分けた7つの計画地域があります。そのひとつが首都である「マスカット」です。マスカットの語源については「古代ペルシア語の強い香り」から来たという一説があります。
その意味通り、北部から2㎞にも及ぶハジャル山地とオマーン湾に挟まれており、ゴツゴツした岩山が海の目の前まで迫っています。いくつかの地区から構成されているマスカットは、主に「ルイ(Ruwi)」「マトラ(Mutrah)」「オールド・マスカット(Old Muscat)」の3地区が核になっています。
▼マスカットの商業地域「ルイ」
「オマーン国軍博物館」「国立博物館」などの見所があります。「ルイ・ハイ・ストリート(Ruwi High St.)」には金、電化製品、時計、香水などが賑やかに売られており、ルイの主なホテルのひとつであるアルファラジホテルには日本料理店があります。インド人、パキスタン人、フィリピン人などが往来しています。
オマーン国軍博物館
オマーン国軍博物館(Sulutan’s Armed Forces Museum)は1845年に当時のスルタンによって建てられたもので、マスカットでは最も古い建物です。軍によって管理されていた「ベイト・アル・ファラジュ・フォート(Bait Al Falaj Fort)」を改装した博物館で、カーブス王国が実際に使っていたというアメリカ車に乗ることもできます。
使われていない物とはいえ本物の武器を展示しているためか、博物館内では必ず現役軍人のガイドが付くので、自分のペースで観られないようです。陸海空まんべんなく展示してあり、近くで見る機会のない軍用ヘリや戦車、船を見られるので、ミリタリーオタクでなくても楽しめる施設となっています。
入場料/1OMR
開館時間/土~木曜日の8時から13時半
国立博物館
2016年に改装工事を行ったため、設備が新しく綺麗です。オマーンの王家関連の展示や国の成り立ちを紹介する映像、他にもアメリカから寄贈された月の石など、歴史を知ることができます。
また、オマーン各時代の工芸品やベドウィン(砂漠に住むアラブの遊牧民族のこと)手製の布製品、民族衣装など、オマーンの伝統文化も展示されています。乳香と呼ばれる良い香りのする樹脂がオマーンの特産品なのですが、館内には乳香に関する展示室があり、乳香の香りを楽しめる体験コーナーがありました。
館内にはギフトショップがあり、オマーンの名産品であるオマニー・コーヒーが飲めます。さらに、オマーンのスイーツを試食程度に無料で食べられる場所もありました。街で見かけて気になっているけど、口に合うか不安で食べてないスイーツがありましたら、この機会に試してみるといいかもしれません。
もとは住居として利用されていた建物を博物館にしているので、たどり着くまで大変ですが、ぜひ、足を運んでほしい場所です。
入場料/5OMR
開館時間/土~木曜日の10時から17時、金曜日は14時から18時
▼商業地域「マトラ」
マトラ(Mutrah)は海岸に面していて、白い壁の住居が多く立ち並びます。ラワティヤ(Lawatiya)と呼ばれるこの地域にはインド系の商人が多く住んでいます。
海岸沿いにまっすぐ歩き、だんだん人の賑わう声が聞こえてきたら「マトラ・スーク(Mutrah Souq)」が見えてきます。「スーク」はアラブ世界での商業地区、いわゆる「市場」を意味していて、様々なものが売られています。
銀製品やお土産屋などが並んでいて、マスカットの滞在日数が短くても、ここのスークは絶対に行きたい場所です。大きなスークではないので迷わずに歩けます。店の店主と駆け引きしながら買い物するのも楽しいものですよ。
▼活気あふれる市場「マトラ・スーク」
服や布地が豊富で、値切り交渉可能なスークだけあってお得に買い物ができます。オマーン人女性の服装は、他のアラブ諸国とは違いパンツとシフトドレスの組み合わせです。カラフルでデザインも豊富なので買いたくなる人もいることでしょう。
基本的にオーダーメイドなので、時間がある人はぜひ立ち寄ってほしい場所です。お土産セットはオーダーに比べて仕立てがあまり良くありません。
オールド・マスカット
マトラから「オールド・マスカット(Old Muscat)」までは約2㎞の距離です。高台にそびえたつ「ミラニ・フォート(Mirani Fort)」、すぐ麓にある宮殿「アラム・パレス(Alam Palace)」、湾を挟んだ向こうにある「ジャラリ・フォート(Jalali Fort)」が有名です。
この二つの砦はポルトガル統治時代に建てられたもので、近年は改装されています。フォートとパレスは夜になるととても美しくライトアップされるので、ぜひ夜に見に行くのがお薦めです。
▼今も使われている「ミラニ・フォート」
ミラニ・フォート(Mirani Fort)はオマーン人によって築かれましたが、トルコ軍に破壊されました。のちに、侵攻してきたポルトガル人によって現在の原形が造られ、1610年までに幾度も増改築が行われています。
アラム・パレスを守るようにすぐ近くにあり荘厳な3つの塔がそびえたっているため、城塞のようです!現役で使われている砦なので内部の見学はできませんが、外観の見学と写真撮影は可能です。
▼迎賓館として使われる「アラム・パレス」
アラム・パレス(Alam Palace)は国王が幾つか所有しているパレスのひとつで、首都マスカットの旧市街地にあります。国王が住んでいるわけではなく、迎賓館として使用されています。国王の所有物ですので中に入ることはできませんが、見た目はなかなかキュートでインパクトも強いです。
▼アラム・パレスを見守る「ジャラリ・フォート」
ジャラリ・フォート(Jalali Fort)はミラニ・フォートと共に、アラム・パレスを守るように反対側の岬にそびえ建っています。1558年、ミラニ・フォート同様にオマーン人によって造られ、長年の間マスカットの主要な牢獄として使用されていました。
現在も軍の施設として機能しているため、内部の見学はできませんが外観の見学と撮影はできますよ!
ムサンダム地方ハッサブの紹介
マスカットの次に紹介するのは、UAEから日帰りで行けちゃうオマーンの飛び地、ムサンダム地方の「ハッサブ(Khasab)」についてです。
「オマーンまで行くのはどうしても時間に余裕がない…」「UAEから気軽にオマーンへ行ってみたい」「陸路でオマーンへ行ってみたい!」という人にはオススメの場所です。ハッサブは、ムサンダム地方の中心地です。小さな町ですが、ホルムズ海峡に接する軍事拠点のため、ここ10年の間で急激に近代化が進んでいます。
マスカットからハッサブへのアクセス方法
・オマーン航空/毎日1便運航(小型飛行機のため満席になる場合が多いので早めの予約がオススメ)
・レンタカー/ノンストップで約7時間(マスカットからのバスの便はなし)
途中でUAE領を通過するのでUAEの出国税を徴収されます。
ドバイからハッサブ/アクセス方法
・レンタカー/約3時間(アラビア湾に面した湾岸道路を行く)
小さな町ではスークの規模が小さく品揃えも少ないので、ハッサブに住む住民の多くはこのルートを使いドバイまで買い出しに行っています。
UAEからハッサブ/アクセス方法
・ドバイからの日帰りツアーに参加する
・レンタカーを利用する
UAEに駐在している多くの日本人駐在員は、自家用車でムサンダム地方まで行きます。ドバイからハッサブまでの道路はきちんと整備されており、特に国境からハッサブまで続くくねくねとした道の風景はとても美しいです。
▼ビザ代や税の徴収があります
UAEのイミグレーションで陸路出国税Dh20、オマーンのイミグレーションでビザ代Dh60を徴収されます。
道中の海岸には、「ハッサブ・フォート(Khasab Fort)」が建っています。この砦は16世紀にポルトガルによって建てられましたが、17世紀のイマーム・ナセル・ビン・ムルシッド(Imam Nasir Bin Murshid)によって奪還されました。現在は博物館になっています。
フォートを過ぎて、少し西に行くと港があります。ここから対岸のイランまでは約60㎞しか離れていません。毎日イランからモーターボードがやってきて商売をしています。この港で取引された荷物はここから車に積み、ドバイやマスカットまで運ばれます。1981年にハッサブからUAEまで道路が舗装されましたが、それまではボートでしか往来できませんでした。
▼海路でも移動できます
ムサンダム地方へ行くならぜひ参加したいのが「ダウ船クルーズ」「マウンテンサファリ」「クムザール・ツアー」です。
特に人気があるのが「ダウ船クルーズ」。車でハッサブの港まで行き他のツアー客と合流します。客が合流するとダウ船に乗り込みイルカが見える場所まで船が進みますが、途中でイルカが見えると、船員が「ドルフィン!ドルフィン!」と叫んで教えてくれます。イルカを見られる確率は高いですが、イルカの大群には運が良くないと出会えません。
ひとしきりイルカを堪能した後はイルカスポットから離れて、シュノーケリングを楽しめる浅瀬近くまで移動し、小魚と一緒に泳げます。泳げない人用にライフジャケットも用意されているので安心です。
船内では軽いビュッフェスタイルのランチが用意されており、食べながらのんびり優雅なダウ船クルーズを楽しめます。ドバイから3時間ほどとドライブを楽しみながらオマーンに行ける比較的近い距離のため、アラブ首長国連邦の都市ドバイで生活を送る駐在員からとても人気があります。
ダウ船クルーズなどのツアーはドバイから自力で港まで行かなくても、ムサンダム地方のホテルへ泊まっていれば、ホテルまでの送迎付きのツアーもあります。ムサンダム地方でゆっくりと過ごしたい人は、送迎付きツアーに申し込むのも手ですよ!
オマーン旅行の知らなかった魅力を発見
「オマーンってどこにあるの?」と疑問に思う人が多いと思いますが、実は日本ともゆかりの深い国なのです。現国王スルタン・カーブースの祖父が退位後に結婚したのが日本人で、現国王の叔母が二人の子供になります。その縁もあり、日本語教育が行われたり日本庭園が造られたりと親日国の一面があります。
また、歴史あるオマーンは、古くからヨーロッパや中東、アジアとの貿易の中心地でした。昔の中東の雰囲気を今に伝える『千夜一夜物語(アラビアンナイト)』の物語の中にある『シンドバッドの冒険』の主人公シンドバッドは、貿易商としてオマーンの港から冒険へと旅立ったと言われています。『シンドバッドの冒険』が成立したのは18世紀ですから、その時代以前から貿易の盛んな国として広く知られていたことがうかがえます。
定番の観光地もいいですが、親日国で歴史のあるオマーンを「行きたい海外旅行先」として考えてみてくださいね!