願いを叶えるジンクス体験!イタリアの旅
今回は、イタリアの観光地にあるジンクスについて話したいと思います。
イタリアの観光地には、おもしろいジンクスがたくさんあります。他の地域と違って教会や銅像など、宗教や芸術にまつわるジンクスが多いと感じています。
そして、ロマンチックなジンクスも多く、少し毒のあるものに出会うこともありました。イタリア各地を訪れると、観光スポットでジンクスを試す機会が結構ありました。本当にその通りになるかはさておき、今まで出会ったジンクスの中でも特に「おもしろい!楽しい!」と感じたものについて、詳しい「ジンクスのやり方」付きで話してみたいと思います。
街を散策中に突然現れるトレビの泉(ローマ)
言わずと知れた映画「ローマの休日」にも登場する、ローマで一番有名なんじゃないかというほどに知名度の高い泉です。ローマに来たらとりあえずトレビの泉を目指そう、というノリに近いのではないかなと。
ジンクスの前に、まずはトレビの泉って何?というところからお話しします。
トレビの泉の建設は、古代ローマ時代まで遡ります。当時の皇帝アウグストゥスが、ローマの街に水を供給していたヴィルゴ水道の終端施設として作らせました。現在のような形になったのは1762年のことです。泉という名前ではありますが、自然に湧き出る泉ではなく「人口泉」です。
泉の周りにはたくさんの彫刻作品があります。中央にあるのが水を司るネプトゥーヌス(ポセイドーン)、その左に豊饒(ほうじょう)の女神ケレース(デーメーテール)、右に健康の女神サルース(ヒュギエイア)が配置されています。
聖書のことには詳しくないのでよくわかりませんが、これだけの予備知識で泉を見たらネプトゥーヌスはまさに「両手に花」状態です。素晴らしいことには変わりありません。泉の後ろには「ポーリ宮殿」があり、その宮殿の壁と一体となったデザインです。ジンクス抜きにして、ローマのイメージそのもののデザインです。
ローマの街中、他の観光スポットやショップが集まるエリアに突如としてこの泉が現れます。歴史あるローマらしいといえばそうですが、あまりにも唐突に現れるので気まぐれに散策していたら確実に驚きます。
▼トレビの泉にまつわるジンクス
さて、そろそろトレビの泉のジンクスについてお話します。
やり方はとても簡単で、以下、3つの順番でOK。
1.泉を背にして立つ
2.コインを右手に持つ
3.左肩越しにコインを泉に投げ入れる
コインの種類や金額は特に決まっていませんが、イタリアはユーロ圏なのでセント玉が最適だと思います。
「トレビのジンクスで願いが叶う説」はかなり有名で、泉を観るために訪れるというよりもジンクスを試しに来ている人のほうが圧倒的に多い印象でした。なかなか側に近寄れないくらい、トレビの泉の前には人だかりができていましたよ。
▼投げ入れるコインの枚数で叶う願いが変わる
ちなみに、トレビの泉に何枚のコインを投げ入れるかによって叶う願いも変わります。
コインを1枚投げ入れたなら、ローマを再び訪れることができるといわれています。ローマを訪れて、街並みや文化が気に入った人はこのジンクスがおすすめですね。再びローマにお導きくださるのはネプトゥーヌスやその他女神でしょうか。ローマを含めたイタリアはまた訪れたくなるくらいすばらしい場所なので、コイン1枚でその願いが叶うのなら安いものです。
2枚コインを投げ入れれば、大切な人と永遠に一緒にいることができるといわれています。ここでローマと関係がない願いになってしまいました。とはいえ、ローマは永遠の都と呼ばれているので「永遠」しかも「愛」にまつわる願いがあるのもわかります。
ロマンチックな物語や景色がたくさんあるローマだから、ロマンチックな願い事も叶えてほしいという旅人の願いでしょうか。どちらにせよ、大切な人がいるのなら試してみる価値はあります。「大切な人」と定義づけられているので、恋愛に限らず家族や親友とのことを願うのもよさそうです。
そして、3枚投げ入れるパターンもあるのですが、これは面白半分でやらないほうがいいと思いました。本気で悩んでいる人だけ試してみてください。
3枚投げ入れると、離婚できるといわれています。ここで唐突に深刻な内容になります。いくらジンクスが一か八かといっても、望んでいないのに面白半分で試して、現実になってしまったら後悔するしかありません。保障はできないので、3枚コインを投げ入れるのは自己責任です。
▼トレビの泉でジンクスを試すときの注意点
実際にジンクスをやってみた側からのアドバイスがあります。それは、コインを取り出す時は注意することです。
というのも、泉は常にコインジンクスを試す観光客でごった返しています。ジンクスを試すときの隙を狙った犯罪が後を絶ちません。コインはあらかじめ泉から離れたところで用意しておくのが無難です。
また、泉の周りにいる古代騎士風の衣装を身にまとった人にも近づかないほうがいいでしょう。一緒に写真撮影をすると、撮影料といって法外な値段を請求してくることがあります。
トラブルに巻き込まれたくないなら、これらのことを念頭においておきましょう。たとえジンクスがその通りになっても、トラブルに巻き込まれては楽しい旅自体が台無しです。
私が何枚コインを投げ入れたか、ジンクスが現実になったかはご想像におまかせします。
ヴェネツィアの「ため息橋」
同じイタリアからもう一箇所「ため息橋」という、名前からしてロマンチックな場所を紹介します。
「ため息橋」というのは日本での呼び名で、イタリア語では「Ponte dei Sospiri(ソスピーリ橋)」と呼ばれています。なぜ「ため息橋」と呼ばれているのかというと「この橋からの景色を眺めて溜息をついた」という話があるからだそうです。
ここまでの言い伝えはなんとなく理解していたのですが、後に人から聞いた話だと、ため息をついたのは囚人だそうです。というのも、この橋はドゥカーレ宮殿の尋問室から隣の牢獄とを結んでいるからです。
この橋を渡って尋問室から牢獄へ移されようとしていた囚人が、橋についている小窓から「もう外の景色を見るのはこれが最後なのか…」と、ため息をついたことが始まりだとか。人生最後に見た景色が美しいヴェネツィアの街並み。最後まで目に焼き付いて離れなかったことでしょうね…。
ため息橋に限らず、ヴェネツィアという街は歩いているとずっとため息が止まらないような美しさです。旅人ならだれもが憧れる場所でしょう。私も完全に魅了されてしまったひとりです。
大きな運河にかかる橋の上からシャッターをきれば、なんともヴェネツィアらしい瞬間を切り取ることができるのです。
ホテルの前にはキラキラ輝く水面が広がっていて、滞在中はいつもこのような景色と共に過ごすことができて幸せでした。
さて、ジンクスの話しに戻ります。
このため息橋にまつわるジンクスは、日没時間にゴンドラに乗り、橋の下でふたりがキスをしたら永遠の愛を約束されるというものです。
早速!ため息橋の下にゴンドラがありました。この組み合わせだけでもお腹いっぱいです。
また恋愛絡みのジンクスになってしまいましたね。やはり美しい光景に出会うことができるイタリアのジンクスはロマンチックさ漂うものが多くなってしまうのでしょうか。
ヴェネツィアの街中には、ゴンドラの乗り場が数か所あります。
- 主に出発時間が決まっている乗り合い制のもの
- 完全貸し切りのプライベートゴンドラ
このジンクスを試してみるならやはりふたりで貸し切るのがベターですね。他のお客さんとゴンドリエーレ(ゴンドラの運転手)に冷やかされて、ムードも何も台無しになってしまいます。
▼トレビの泉でジンクスを試すときの注意点
日没時間にきっちりこのジンクスを試そうとなると、橋の下が恋人たちを乗せたゴンドラで大渋滞してしまうそうです。
ゴンドリエーレがなんとなく察してくれて日没のタイミングに合わせてため息橋を目指してくれればいいのですが、うまくジンクスのことが伝わらないと実現が難しそうです。
条件が複雑なジンクスですが、ふたりの愛があればきっと大丈夫ですよね
ヴィットーリオ・エマヌエーレ2世のガッレリア(ミラノ)
最後はミラノにあるジンクスです。ヴィットーリオ・エマヌエーレ2世のガッレリアでチャレンジできます。
「ヴィットーリオ・エマヌエーレ2世って誰?」
私もそう思いました。彼はイタリア王国の初代国王だそうです。彼にちなんでつけられたこのガッレリア、巨大なガラス張りが美しいアーケードです。初代国王の名前が付けられているだけあって、名前に違わずとても広くて美しい場所でした。
アーケード内にはお店がたくさん入っています。日本でも大人気の高級ファッションブランドの本店もありました。さすが流行の最先端、ミラノに来たことを実感できます。
▼ガッレリア「願いが叶う」ジンクス
ガッレリアの十字路に交わる場所近くで楽しみながらトライすることができます。
願いが叶うジンクスのやり方
1.牡牛のモザイクタイルの上に片足のかかとをおく
2.もう片方の足を使ってくるりと一回転する
この場所に案内してくれたガイドさんは「三回転で願いが叶う」と言っていたので、いろいろな説があるのだと思います。
かかとを固定しやすいように、牡牛の絵柄の部分には少しくぼみができていました。ジンクスで有名なこのモザイクですが、デザインもどこかイタリアらしくて好きです。
このジンクスは結構有名で、モザイクの上ではいつもジンクスを試す人たちが楽しそうにくるくるしていました。
早速試してみましたが、一度もつまることなくスムーズに3回転するのは至難の業でした!でもいいんです、とっても楽しかったから!
牡牛のモザイクは1日に何千人もの人に踏みつけられています。少し気の毒な気もしてきますね…。
▼再びミラノを訪れることができる説
このジンクスは少しアバウトなもので、どんな願いが叶うのかガイドさんに聞いてみると「願いが叶う」というのは、再びミラノを訪れることができるという一説もあるそうです。
やった人がミラノという街を気に入って、少しでもまた訪れたいと願っていれば「願いが叶う」の部類に含まれるのではないかと思いました。
やはりジンクスは言い伝えの要素が強いので、人によって微妙な認識のずれがあるのですね。
観光客がこぞって試していくこのジンクスですが、生粋のミラノっ子のガイドさんは「特に珍しくも感じないので、興味がわかない」と試したことがないそうです。
少し意外なことに、あくまでミラノを訪れた観光客が試していくもので、地元の人は特に意識していないそうです。
イタリアの観光地には旅が楽しくなるジンクスがたくさん!
どれもやってみるだけで旅が楽しくなるジンクスばかりでとてもいい思い出になりました様々なジンクスの言い伝えを聞いて、試すのも、信じるのもその人次第だと感じる旅でした。