パリがビーチに変身する!パリ・プラージュ
今回は、知る人ぞ知る、セーヌ河がビーチに変わり、パリジェンヌ気分を味わいながら河畔散策できる「パリ・プラージュ」を紹介します。
案外、日本人の間ではあまり知られていない、ここ、セーヌ河沿いで開催される「パリ・プラージュ」は、個性豊かなフランス人らしい発想から生まれた企画。毎年7月~9月に人工ビーチに変身したセーヌ河沿いでヴァカンス気分を味わえる、地元の人や観光客に人気のイベントです。
2017年から車両通行は完全にシャットアウトし、パリ・プラージュ開催期間中はセーヌ河沿いが歩行者天国として生まれ変わります。車よりも人を優先する、パリ市の独創的な勇気ある意気込みを感じます。
貯水池をロープで横断するジップラインなど、アクティブに楽しめる「ラ・ヴィレット」、緑豊かな「セーヌ右岸」、2017年からの新エリア「セーヌ左岸」と、3エリアで開催されるプラージュの中から、今回は右岸の「パリ・プラージュ・パーク・セーヌ河沿いのコース」(Paris Plages Rives de Seine)を一緒に散策しましょう。
ヌフ橋からスタート
「ポン・ヌフ(Pont Neuf)」とは「新しい橋」という意味ですが、名前とは裏腹にパリで最も古い橋です。この橋の右岸の石畳の階段を下りて、セーヌ河沿いに降りましょう。
すると、まず目につくのが、ギリシャ神話のアポロンを思わせるの白の銅像。「ル・ルーブル・アン・ムーヴモン」(Le Louvre en mouvement)と書かれています。これは、この夏のルーブル博物館の企画の一部で、テーマ「動く身体」をもとに設置されたスタンドです。
ダンサーや陸上競技者やアクロバット師などが、ルーブル博物館の作品と同じ動きを実際に見せてくれる、面白いデモンストレーションがあります。ルーブル博物館のチケットがあれば無料で参加できます。
シャンジュ橋では太極拳している人と遭遇!
ゆっくりそのままシャンジュ橋(Pont au Change) 、日本語で「両替橋(りょうがえばし)」へ向かって歩いて行きましょう。シテ島と右岸を結ぶこの橋は、かつて、両替商や彫金師がこのエリアに密集していたため、このように呼ばれています。
両替橋のすぐたもとで太極拳を楽しんでいる人たちがいました。他にもジョギングやサイクリング、スケートボード、犬の散歩など、人々は多種多様の楽しみ方で自由気ままに過ごしています。
また、途中にデッキチェアが幾つも備えられた所があり、ビーチっぽい雰囲気を醸し出しています。思わずテンションが上がり、私も座ってみました!セーヌ河の向こう側に、マリー・アントワネットで有名な牢獄、「コンシェルジュリー」(Conciergerie)が見えます。写真に収めたいのなら、ここは理想的な撮影ポイントです。
ノートルダム橋へ向かう途中はカフェで一休み
両替橋とノートル・ダム橋 (Pont Nôtre-Dame)の間は、ほとんど距離がありません。その間に簡単なランチや長椅子で一休みできる、おしゃれな川沿いのカフェ「ラ・テーブル・デュ・カナ・アン・セーヌ」(La Table de Cana en Seine) があります。朝10時開店で夜は22時まで営業しています。
ちょうどカフェの前を2人の騎馬警察官が通り過ぎていきます。パリの安全対策の一環で、常時このように警察官が街を巡回しています。静かなセーヌ河を背景にしたコントラストが興味深い一瞬でした。(写真下)
チラッと大聖堂が見えるダルコール橋
ダルコール橋 (Pont d’Arcole)のすぐ下から、まるでかくれんぼしているように見えるノートルダム寺院。このアングルから撮るノートルダム寺院は珍しいんじゃないでしょうか。
この橋の辺りは、まさにパリ・プラージュの真ん中に当たる地点です。散歩中に気分よく過ごせるベンチや休憩場所がたくさんあります。ここで、友人と語り合ったり、お弁当を食べたり、本を読んだり、とにかく街の喧騒を忘れて頭の中を空っぽにするには絶好のスポット。都会の中心にいるとは思えないほど癒されます。
水上のバトバスに乗る
ダコール橋と次のルイ・フィリップ橋の途中に、水上バスの「バトバス (Batobus)」 乗り場があります。セーヌ河を巡るバスのコースには乗り場が全部で9ヶ所あり、どの乗り場もパリ市内の主要観光スポットから近い絶好の場所です。
水上から眺めるパリは、地上で目にするパリとは一味違った美しさがあります。有効期間中の乗船チケットなら乗り降りはフリー!何度でも利用できます。ぜひ、お試しください。
バトバス利用料
1日券:大人/17ユーロ/子供(3~15歳)/8ユーロ
2日券:大人/19ユーロ/子供(3~15歳)/10ユーロ
3歳以下は無料
リュイ・フィリップ橋ではペタンクで勝負!
フランス最後の国王リュイ・フィリップ(Luis-Philippe)。その名の橋の近くには、カフェを兼ねた軽スポーツ休憩所「ブーロドローム(Boulodrome)」があります。
ここでは、人々はペタンク(Pétanque)を楽しむことができます。ペタンクとは、世界選手権もあるほどのフランスが誇る代表的なスポーツで、ビュットというメインの球(ビュイット)に、ビリヤード玉ほどの大きさの金属製の球をいかに近づけるかを競う球技。2人以上からできる簡単なスポーツなので、家族や友達グループで楽しむことができます。
船のレストランがあるマリー橋
さあ、次は、マリー橋 (Pont Marie)の方へゆっくりと歩いて行きましょう。「マリー」という女性の名前がついていますが、実は、この橋を建設したクリストフ・マリーという16世紀の技術建築家の名前から名づけられた橋です。
そのまま歩いて行くと、「ヴデット・ドュ・パリ、カップ・ポン・マリー ( Vedettes de Paris / Cap Pont Marie)」に辿り着きます。
ここは、ペニシュ(Péniche) と呼ばれるセーヌ河特有の「船のバー・レストラン」で、11時開店、夜24時まで営業しています。夏の間は、ジャズ演奏があります。サマータイムでいつまでも日の暮れないパリの夕刻に、 このペニシュ・レストランでワイングラスを傾けながらジャズを楽しむなど、とてもロマンティックなパリの夜を過ごすには最高の場所ですよ。
最後はシャワーカーテンが涼しいスリー橋
さて、いよいよパリ・プラージュ散策も最後の橋となるスリー橋(Pont de Sully)へ向かいます。パリ4区ヘンリー4世大通り (右岸) とパリ5区サン・ジェルマン大通り (左岸) を結ぶこの橋は、サン・リュイ島の東先端に架かっています。
名の由来は、橋のすぐ近くにあるスリー通りからきていますが、スリー (Sully)とはヘンリー4世の大臣を務めたスリー公爵のことです。
マリー橋を通り過ぎて、スリー橋に向けて歩くとまず目に留まるのがシャワーカーテンです。夏の暑い日など、散歩者はここで避暑をかねて通り過ぎていきます。
しばらく行くと、「リュドモビール (Ludomobile)」と名付けられた子供むけの遊び場があります。大人でも楽しめる様々なゲームが揃っています。
毎年7月中旬から9月初めにかけて、パリ市の子供向け活動員が率先して活動する、教育施設が目的の野外活動場です。参加料は無料。
さて、いよいよ散策のフィナーレ、「パリ・プラージュ・セーヌ河沿い」典型的な風景をご覧ください。(写真上下)
無料で利用できるマット付きデッキチェアの群れ。但し、午前の早い時間に行かないとほとんど占領済み…。なかなか席取り合戦に勝利するのは厳しいのですが、パリのど真ん中でお昼寝できる素敵な体験をするために、いつか私も最高のポジションをとりに行きたいです。
パリにはもうひとつ、パリ19区にあるセーヌ河の運河のほとり「パリ・プラージュ、バッサン・ドュ・ラ・ヴィレット (Paris plages Bassin de la Villette)があります。こちらでも様々な野外施設やレストラン、何よりもBassin( プール )とある通り、野外プールを満喫できますよ。
どうせならパリ・プラージュ開催中に行きたい
今回はパリ・プラージュ・セーヌ河沿いの散策ポイントを紹介しました。フランスパリの中心を流れるセーヌ河を巡りながら、定番の観光スポットとは一味違うパリの楽しみ方ができるので、夏にパリを訪れる予定がある方は楽しんでくださいね。
最後に「おまけ情報」です。セーヌ河沿いを上がると、パリならではの雰囲気を満喫できる露天商「ブキニスト」(Bouquinistes)が開店準備をはじめているところでした。古本やポスターの掘り出し物を探したり、パリ・プラージュの思い出になるお土産を買ったりするのに最適のスポットなので立ち寄ってみることをオススメします。