自然と芸術を満喫できるパリ花公園
パリでは様々なイベントが企画されますが、毎年6月から9月中旬頃にかけてパリ花公園では週末に野外コンサートが開催されます。
今回は緑豊かなパリ花公園の散策と、8月最後の週末に行われた「青葉のクラシックコンサート(Classique au vert)」を鑑賞するためにパリに行ってきました。この日は運よく、ここのところの悪天候が嘘だったように見事な快晴!
6~7月はジャズ・フェスティバル、8~9月はクラシック音楽のコンサートが開催されます。フランス北部へ引越してから野外コンサートに来るのは数年ぶり!少しテンションが高くなって、喜々としてコンサート会場に向かいました。
パリ花公園はヴァンセンヌ城の隣にある
パリを東西に一直線に横切るメトロ1番線に乗り、東の最終駅「シャトー・ドュ・ヴァンセンヌ」(Château de Vincennes) で下車。メトロから地上へ出ると、すぐ真ん前に雄大なヴァンセンヌ城が見えます。
徒歩でサン・リュイ広場 (Esplanade St-Louis)を目指すと、 目前に野外コンサート会場の「パリ花公園(パーク・フローラル・ド・パリ)」の入口が見えてきます。キオスクのような形をした緑の屋根の受付に向かって多くの人が歩いていくので、すぐに分ります。
公園のメイン通りをゆっくり歩いて行くと、遠くに鉄骨枠の広大な白いテント張りが目につきました。(写真上)ここが野外会場です。
パーク・フーロラル・ド・パリ
入園料:5ユーロ(7歳以下は無料)
開園時間:9:30~20:00 (3/29-9/30) / 9:30~18:30 (10/1-10/29) / 9:30~17:00 (10/30-2/28) / 9:30~18:30 (3/1-3/28)
住所:Bois de Vincennes Av de la Pyramide 75021 Paris
Parc floral de Paris / Espace Delta
野外コンサートはパーク・フローラル・ド・パリ(Parc floral de Paris)の入園料を支払えば鑑賞できます。
自由席なので早い者勝ち!
コンサートは午後4時からなのに、すでに開催30分前にはたくさんの観客が席に着いていました。事前予約制ではないので空いた席に自由に座れます。ラッキーにも、私はステージが中央に見える録音ボックスのすぐ前に空いた席を見つけました。
突然、拍手がわき起こったかと思うと、黒い衣装に身をまとった5人組の女性演奏者が舞台に現れました。さあ、コンサートが始まります。
楽器は向かって左からフルート、オーボエ、ファゴット、ホルン、そして最後にクラリネットという組み合わせの5重奏団「クインテット・アキロン」(Quintette Aquilon)です。
歓迎拍手の後の緊張した静寂さの中、クロード・アリウ、モーリス・ラヴェル、ジャック・イベール、ジュリオ・メダグリアなど、前世紀初期から中期にかけての著名な作曲家たちの音楽が次々と素晴らしい演奏で繰り広げられていきます。
最後は、モーツアルトのセレナーデNo.12 でコンサートは締めくくられました。大きな拍手喝采に続くアンコールに応えて演奏されたのは、何とアルジェンティン・タンゴ。しまいには演奏者の1人が、タップダンスを踊りだすというとてもユニークで独創的なフィナーレ!
カジュアルな雰囲気のコンサートでした
野外という解放感のせいか、突然、バナナを取り出して食べる人がいるかと思うと、子供が泣き出したり、会場のすぐ近くにある池のガチョウの鳴き声が聞こえてきたりと、とてもオーソドックスなクラシック音楽のコンサートでは考えられない突飛なことも起きます。
でも、演奏者も観客も大らかなに和やかに見守ってくれたのが印象的でした。いかにも夏のヴァカンス・シーズンらしい、肩肘を張らないパリ独特の空気感に「ああそうだった!パリってこうだった!」とあらためて感動しました。
イベント終に緑溢れるパリ花公園を散歩
野外コンサートが終わってから閉園時間まで余裕があり、せっかくなので公園内をブラブラ散歩してみます。
パリで暮らしているときに花公園を訪れたのは、環境保護とオーガニック食品の屋内エキスポがあった数年前の冬なので夏のパークは初めてです。思っていたよりも広大で、様々な野外活動施設があるなんて全く知りませんでした。
広さ35ヘクタールにのぼるこの公園は、もともと軍隊の訓練場だったヴァンセンヌの森を、1860年にナポレオン三世がパリの西側に広がるブローニュの森の公園と均整をとるため、パリの東、ヴァンセンヌの森にも公園を造設するようパリ市へ譲渡したものでした。
また、この公園の特徴は、何と1964年の東京オリンピックの際の代々木オリンピックスタジアムや庭園に至っては京都の桂離宮からかなりの影響を受けているのこと。どうりで盆栽を展示したパビリオンがあったり、竹林の散歩道があったり、日本庭園風の庭園があったりと、日本を彷彿させる場所がたくさんあります。
また、この日は「世界ダリア・コンクール」と題した催しがありました。種類の違う多種多様多色なダリアの花々が展示されていて、その中から訪問者は自分の気に入ったダリアの花を選んで投票するという企画です。ダリアの花にこんなにたくさんの種類があったなんて驚きです!
パリ花公園には子供のための野外施設もある
何よりもびっくりしたのは、子供連れ家族のための野外施設の豊富さと多様性でした。貸ペダロ自転車「ロザリー(Rosalie)」(2~4人乗り)、卓球、フランスが誇る国民スポーツのペタンク 、アクロバティック遊園地、巨大なジャングルジム、ミニゴルフ等々、数えあげたら切りがありません。
のどかな風景を眺められるカフェもある
パリ花公園内には、散策中に食事や休憩がとれるカフェ ・レストランがあります。蒸し暑い日だったので、アイスクリーム屋が大繁盛!
私は、ペリエを注文して一休み。座ったテラスの横を放し飼いの野鴨や鳩、孔雀(クジャク)が通り過ぎていきます。至る所にピックニック用のテーブルがあって、家族連れやら学生風グループやらがサンドウィッチを頬ばっているのが見えます。芝生の上で寝転がって本を読んでいる人もいれば、寝そべって語り合っているカップルもいます。
こんな風にのんびりとしたパリの日曜日を過ごすには、この公園は本当に理想的です。
花公園はトイレが充実しています
何でもないようで、パリで外出中に非常に重要なポイントが「トイレの場所」です。パリはトイレを見つけるのが難しい街です。しかし、パリ花公園には「そろそろ…」と感じるタイミングで到着する場所に、ちゃんとトイレがあるんです。これって、なかなかフランスの公営設備にしては珍しいことなのです。
パリ花公園で思い出を増やして!
パリの花公園「パーク・フローラル・ド・パリ」の満喫ポイントと、人気の野外クラシックコンサートの様子をお届けしました。6月~9月の間にパリを訪れることがあるなら、ぜひ思い出に残る野外イベントに参加してみて下さい。
音楽コンサートの他にも、野外シネマ、野外演劇、野外カルチャー・歴史散策(ガイド付)等々、山ほどパリを楽しむ選択肢がありますよ!