大満足!初めてのサンセバスチャン観光
スペイン北部にある、パイス・バスコという自治州。ここは、産業が発達しているためスペインの中でも物価が高く、スペイン語とは別にバスク語を話す地域でもあり、非常に独立意識が高いことで有名です。
パイス・バスコにある「サン・セバスチャン」は、フランスとの国境まで僅か20キロメートル。美食の街として日本でも雑誌などで取り上げられることがあります。
「フラメンコやアルハンブラ宮殿が有名な南部のアンダルシアも良いが、ぜひ北部を訪れてくれ!緑が多くて素晴らしいんだ!」と、スペイン人に勧められたのがきっかけで、大学時代から何度もスペインを訪れて来たにもかかわらず、一度も足を踏み入れたことのないパイス・バスコ「サン・セバスティアン」に行くことを決意。
では、サン・セバスチャンの観光レポートをお届けいたします。
「ブラ・ブラ・カー」で「サン・セバスチャン」を目指した
ヨーロッパでは有名な「bla bla car(ブラ・ブラ・カー)」を使って、サン・セバスチャンまで行きました。これ、何かというと…、一般人が「○日の△時に、A地点からB地点まで行きます。同乗者募集」と広告を出し、お互いの条件(出発地~行き先)が合えば契約成立。
当日待ち合わせ場所まで行って、目的地まで連れていってもらうシステムの移動手段なのです。もちろんお金は払いますが、基本的に公共交通機関と比べると割安です。
友人は結構、ブラ・ブラ・カーのサービスを使っていたのですが、私は何か起きた時の安全面を考えると怖くて使ったことはありませんでしたが、今回、ブラ・ブラ・カーを利用した理由は、ずばり、バレンシアから直行バスも電車もなかったから止むを得ず…、という事情があったからなのです。
ドライバーはフランス人の青年(23歳)。スポーツについて大学で勉強しているという彼はステキな好青年でした。そして、私の以外の同乗者がもう一人いて、目の前に表れたのは何と「超イケメンのイタリア人男性」。(これからの人生で、あんなイケメン2人と一緒に車に乗る経験はもうないと思う…)
彼が住んでいる街「サラゴサ」で高速道路を降りて美しいイタリア男性とは、お別れしましたが、車を降りてから信号待ちをしている姿も様になっていました。
その後、一旦、お昼休憩を挟んでから、旅の目的地「サン・セバスチャン」まで一直線です。
サン・セバスチャンに近づくにつれて、風景も変化していきます。スペインの風景というと…、乾燥した大地にオリーブが植えられていたり、ずっと遠くまで見渡せる平地が延々と続いているのが一般的なのですが、北部は緑の濃い山々ばかり。何か懐かしささえ感じ、まるで日本の中央道か関越道を走っているかのような感覚に…。
サン・セバスチャン観光/初日は曇り空
バレンシアを出て6時間後、ようやくサン・セバスチャンに到着。ホステルの場所を調べていなかった私は駅で降ろしてもらい、大きなリュックとキャリーケースを引きながら歩きはじめ「ウルメア川」に辿り着きました。ちょっとだけパリ風の風景にテンションがあがります。(ちょっとだけね)
どんよりした天気で有名なサン・セバスチャンらしく、次の「ウルメア川」の画像でも分るように、この日も空は厚い雲に覆われていました。
観光案内所まで足を運んで場所を教えてもらいホステルを目指したのですが、1時間ほど道に迷ってようやく到着。
雨はシトシト降り始めるし、寒いし、初のサン・セバスチャン観光は出鼻をくじかれた感が拭えませんでしたが、無事にホステル到着。快活なフロントのお姉さんにアルゼンチン訛りのスペイン語で対応してもらい、沈んでいた気持ちも一気に吹っ飛びました。
アルゼンチン人のスペイン語は「響きがセクシーだ」と、スペイン人に人気なんです。ちょうど関東の人が、京都の訛りにドキドキするような感覚です。
サン・セバスチャンが美食の街と言われる理由がわかった
「地球の歩き方」など、海外旅行の定番ガイドブック類を何も持っていない私の情報源は、フロントのお姉さんしかいません(笑)地図に書き込みをしながら、あれもコレもとサン・セバスチャン旅行のおすすめスポットを教えてくれる優しいお姉さんの存在はとても心強かったです。
どうやらサン・セバスティアンは「世界で一番ミシュラン星付きレストランの密度が高い街」だというのです!美食の街と言われるゆえんは、こういうことだったのか…。
お姉さんに促されて街へ繰り出したのだけど、雨が引き続き降っていて寒い…。次の画像は有名な「コンチャ海岸」です。スペイン王室が夏の離宮として過ごしていたこの街は夜も風情があります。
バルを見つけるまで苦労したけど大満足だった
月曜日だったからか雨が降って寒かったからか、家路を急いでいるかのように足早に通り過ぎる人が多かったです。
お腹が空いてきましたが、結構な確立で、お店が閉まっているので「どこでもいいから入っちゃえ!」ということも出来ない…。「どういうことだ?ミシュランの星が付いていそうなバルなんて何処にもありそうにないぞ?」と、なかなか夕食を食べられる場所が見つからず不安が募ります。
雨が降る中、うっかり傘を忘れて20分以上も歩き回って絶望感でいっぱいになったとき、やっと「バル」を見つけました!
お店の名前は「Masón Mart ín(メソン・マルティン)」入り口付近は「バル」で奥がレストランになっています。さっそくカウンターを陣取り、目の前に置いてあるピンチョスを選びます。
私は大好物のナスのピンチョを食べることにしました。スペインでは、米ナスに近い種類の大きさのナスが主流。煮崩れもしないため、食べ応え抜群なんです。そして、ナスの上に乗っている、白い四角いものは何とフォアグラ!
「おおおおお!何となく入ったバルで、何となく頼んだタパス(小皿料理の総称)にフォアグラが乗っかってくるとは…。やはり、美食の街サン・セバスチャンは他のスペインの街とは何かが違うぞ」と、美味しい匂いプンプンしてきました。
次に「サン・セバスティアンっぽいものはどれか?」とカウンターの女性スタッフに聞いてみたところイカとエビが有名だと言うので、海老とイカが生ハムという名のお布団の上で寝ている豪華なピンチョを選んでみました。
サン・セバスチャンは海に面している街だけあって、新鮮で美味しい海の幸を食べられるのも観光客には嬉しいことです。イカと海老のピンチョは、お店の人気メニューとのことですが納得できます。お会計はタパス2皿とビール1杯で合計約7ユーロでした。
多分、日本では、ほぼ目にすることがない光景だと思うのですが、女性スタッフがカウンターの中から出ちゃって、来店した友達らしき人と一杯やっていました。ゆるい…、ゆるいんだよ…、でも、そこが好きで堪らないんです。
店を出ると雨がやむどころか激しく降っていて、仕方なくフードを被って急いで帰りました。サン・セバスチャン旅行初日は、イケメンとの出会い(天国)、迷子(地獄)、ホステルの素敵なスタッフとの出会い(天国)、寒空の中、お店を探して彷徨って空腹に耐えたこと(地獄)、美味すぎるタパスを食べた(天国)、ドシャ降りの帰り道(地獄)と…、交互にやってくる天国と地獄に翻弄された一日でした(笑)
今回訪れたお店の詳細
【Masón Martín】
住所:ELKANO 7, DONOSTIA – SAN 80
+34 943 422 866
サン・セバスチャン観光/2日目は街を散策
さて、翌日は天気も少し回復していて、気分良く、街の散策開始です。やっぱり青空がのぞくと街歩きも5倍楽しくなります。次の写真は、昨日、到着したときとは全然違って見える「ウルメア川」沿いの景色です。
ここ、バスク地方はスペインでも平均収入が高いからか、人々の教育水準も高いのか?街を歩いていると本屋さんを多く見かけました。
緑色の扉が本屋さんです。「ドノスティ」とは、この街(サン・セバスチャン)の「バスク語」の呼び名。サン・セバスチャンは「カステジャーノ語」の呼び名です。
ここでも本屋さんを発見。ショーウィンドウがあって、可愛らしい雰囲気でした。看板はバスク語。どういう意味なんでしょうか…?
コンチャ海岸や絶景スポットに行ってきた
昼間のコンチャ海岸はガランとしていましたが、夏場は砂浜が海水浴をする人でいっぱいになるそうです。秋冬は静かにお散歩したい人にとっては穴場的な絶好のスポットです。
コンチャ海岸を少し散歩したあと「ウルグル山」に登ってみることにしました。「山」といっても、自然公園にあるチョッとした丘みたいな感じなんですが、住んでいるバレンシア市内にはこんなに緑溢れる山のような場所がないので、久々に嗅いだ草花や木々の香りにテンションがあがりました。
少し登っただけでコンチャ湾が見えてきました。
展望台までいくとコンチャ湾が一望できます。
平日だったので、こんなに天気が良いのに全然人がいなくて絶景を独り占めできました。写真では切れていますが…、左側にコンチャ海岸があります。海にぽっかり浮かんでいる小さな島が「サンタ・クララ島」。この島が大西洋の激しい波をさえぎってくれるので、コンチャ海岸は穏やかな砂浜なんだそうです。
バルは旧市街にあることを知ってランチを食べに行った
ぶらぶら街歩きをした後のお昼ゴハンは、昨日行けなかったバルが密集しているスポットの旧市街へ行くことにしました。
どうやら、昨夜の私は場所を間違えていたようで、旧市街より手前の場所をウロウロしていたみたい。どうりでバルが全然なかったわけだ…。
サン・セバスチャン観光2日目のランチは「Casa Alcalde(カサ・アルカルデ)」というバルで食べることにしました。お店に入ると店員さんがすぐに「コンニチハ」と話かけてくれました。
スペインの他の街では、日本人だと言うと「え?中国人だと思っていたよ」という展開が当たり前だったのですが、サン・セバスティアンでは不思議と中国人と間違われることが少なかったです。
さあ、美食の街「サン・セバスチャン」でのランチ開始です。このお店でも店員さんにオススメメニューを聞いてからピンチョスを選びました。
右は「サーモンといわしのピンチョ」で、左のカップに入っているのは「きのこのスクランブルエッグ」で、真ん中に塔のよう立っているのはカリカリのパン。意外とスペインの卵料理ってスペイン風オムレツ(トルティージャ・デ・パタタス)くらいしかないので、久しぶりにスクランブルエッグを食べました。
そして、カリカリのパンには味がついていて、スクランブルエッグとの相性が抜群!お会計はピンチョス2つで6ユーロほどでした。
帰り際に、「マタキテネ」と、店内にいた全ての従業員さんたちが言ってくれました。私はスペイン語を話せるのですが、こうやって頑張って日本語で接客してくれる気持ちが嬉しいです。しかし、その際、こちらも日本語で対応するのですが、なぜか片言の日本語になっちゃうのが不思議でたまりません(笑)
今回訪れたお店の詳細
【Casa Alcalde】
住所:Mayor kalea, 19, 20003 Donostia, Guipuzcoa
+34 943 42 62 16
カフェテリアで食べた濃厚チョコケーキに感動
さて、お次はカフェタイム。サン・セバスチャンの街には今風のお洒落なカフェもたくさんあるのですが、昔ながらっぽい雰囲気のカフェが好きなので、「Argitan(アルヒタン)」という、パン屋さん兼ケーキ屋さん兼カフェテリアに入りました。
店内の様子です。2階もあります。
高級ブランドのチョコレートも良いですが、街の一角にあるお菓子屋さんのチョコも美味しかったりするので、お土産やホテルで食べるおやつにどうぞ。
カフェコンレチェ(カフェオレ)とチョコレートケーキを注文したのですが、なんと、チョコレートソースを温めてケーキに掛けてくれるんです。大らかで豪快なところが長所の他のスペインの街とは違って、このお店のサービスはとても細やかでした。フランスに近いから、その影響も受けているのかも知れませんね。
ケーキはスポンジではなくてチョコ生クリームをちょっと硬くした感じのベースの上に板チョコが乗っかっていて「チョコレートづくし」という表現がピッタリなのですが、ちょうど良い甘さでパクパク食べちゃいました。もう一度食べたいグルメリストに入るほど、本当においしかったです。
今回訪れたお店の詳細
【Pastelería Argitan】
住所:Reina Regente 7, San Sebastian
ギリギリ美しい夕日を観ることができた
昼間に登った「ウルグル山」の周りはグルっと歩けるようになっていて、そこがサンセットスポットだと地図に書いてあったので、お次は夕日を見に行きます。
大西洋は波が荒いのでサーフィンスポットでもあるそうで、まだ寒くてたまらない季節なのにサーフィンの板を持ってウェットスーツ姿で街を歩いている人をちらほら見かけました。
テトラポットにバシャバシャと波が打ちつけられています。
日没(19時頃だった)に合わせているのか、地元の人がたくさん散歩をしていました。
釣をしているお父さんたちも多いのです。
日が沈むころにになって、また天気が悪くなってしまったので…、夕陽の写真撮影はこれが限界…。
やっと来ました!ミシュラン星を獲得した店で2回目の夕食
最後の食事は、ホステルのお姉さんおすすめの「atari(アタリ)」というバルへ行くことにしました。ついに、ミシュラン星付きのバルに辿り着いたのです。お昼にランチを食べた「Casa Alcalde(カサ・アルカルデ)」のほぼ向かいにあります。
スペインでは夜7時とっても夕飯をとるにしてはまだ早い時間帯なので、まさかバルが混雑しているとは思いもよらなかったのですが、やっぱり「ミシュランの力」なのでしょうか、既にたくさんのお客で賑わっていました。
見た目からして美味しそうなピンチョスがカウンターにたくさん並んでいて、セルフで好きなピンチョスを好きなだけ取って、先にお会計を済ませるシステムです。
バルのカウンターでは、60歳くらいのオジ様と愛想の良い好青年スタッフが働いていました。青年は日本語を勉強中ということで、一生懸命、習った日本語で話かけてくれたんです。サン・セバスティアンで出会う方々は、本当に日本に優しいと感じました。
夜7時に到着した時点で店内のテーブル席には空きがなかったので、外のテラス席を確保しました。お店の中で立ち飲みしても良かったんですが、やっぱり女一人で立ち飲みするのが寂しく思えて止めました…。
こちらが、カウンターの好青年スタッフがオススメしてくれたピンチョス。
お皿の左奥の赤いピンチョがパプリカ。右奥は、ツナをとろ~りチーズで覆ったピンチョ。手前にあるのが、確か…、カニサラダ的なものをパンに載せたピンチョだったような…(笑)「とにかく美味しかった」という感想に尽きます。
そして、飲み物はビールとレモン味の炭酸で割った「カニャコンリモン」(クララとも言います)。スペインではどこに行っても通じるビールの割り方なので、スペイン旅行をされる際はぜひ試してみて下さい。
ビールが苦手でカクテルもアルコールが強いので苦手だという方でも、半分はジュースなのでさっぱりとした味で飲みやすくオススメです。
予算はタパス3つとビールで11ユーロくらいでした。
旧市街は、これでもか、というくらいにバルやレストランが軒を連ねています。街自体は小さいので1日で観光するスポットは尽きてしまうかも知れませんが「この食事をするためだけに何度でも来たい」と思えますよ。
今回訪れたお店の詳細
【Atari】
住所:Calle Mayor 18, 20003 San Sebastian – Donostia
+34 943 44 07 92
サン・セバスチャンでは景色とグルメを満喫
夜、また急に雨が降り出してきました。天候は安定しなかったけれど、日中は晴れ間も覗いて綺麗な景色を観ることもできたし、美味しいものを食べられて満足です。
スペインというと、フラメンコ、パエリヤ、青空と太陽というイメージが強いんですが(スペイン自体もそれを売りにしている)、北部にある「サン・セバスチャン」は、しっとりとした風景が広がっていて落ち着いているなと思いました。本当に雰囲気が違っていて、それら一般的なスペインのイメージが覆されると思います。
また、バルで働いている人たちはみんな親切で人懐っこい、そして何より、なぜか日本語の単語を一生懸命使って話そうとしてくれる「おもてなし精神」に触れることが多かったので、とても印象的で好感を抱きました。
サン・セバスチャンに訪れたのは3月だったのですが、観光客が少なめだった旧市街も夏場は旅行者でごった返すそうです。次回は、夏にコンチャ海岸のビーチで優雅に日焼けでもしてみたいな…。美味しいグルメに目がない方は是非、美食の街「スペイン サン・セバスチャン」を訪れてみてください。