美味しいカレーの作り方
切って炒めて煮込んでルウを入れるだけで完成するカレーは、本場インド人も認める日本の味。具材に何を入れても大概は受け入れてくれる失敗が少ない初心者向けの料理のはずが、ルーが溶けずにダマになったり、ジャガイモやお肉にべったりと張り付いて溶けなかったりして失敗したことはありませんか?
カレールウが溶けずにダマになるのは「温度」に原因があるのです。それでは美味しいカレーを作る方法を紹介します。
ルウは沸騰している鍋に「入れない」
カレールーには「とろみ」をつけるために小麦粉が入っています。この小麦粉に含まれるデンプンに熱が加わると「のり状」になり、カレーにトロミが生まれます。のり状になる温度が約90℃。
しかし、沸騰しているお鍋にルウを入れるとルウの表面だけが溶け、デンプンの膜がルウを覆ってしまいます。そうなると、いくら煮込んでも「のり」のバリアに包まれたルウは溶けずにダマとなって残ります。
溶けずにダマになってしまったルウは、口に入れた時の、ざらっとした口当たりの悪さの原因になります。
適温「90℃」は「泡」で見分ける
しかし、90℃と言われても温度計でもなければ、どのタイミングでカレーを入れて良いのか分かりません。そんな時、見分けるポイントになるのが、沸騰したときに出る「泡の大きさと量」です。
沸騰した鍋でボコボコとお湯が大きく泡立っているときの温度は「約100℃」。火を止めると、次第に泡が少なく、小さくなっていきます。
小さな泡もなくなった時が約90℃の合図でルウを入れるベストなタイミングなのです。
このポイントさえ押さえておけば、ルウを早く溶かすために包丁で細かく切ったり、お玉に乗せて菜箸で少しずつ溶かしたりするなど手間をかける必要もありません。
ルウを溶かしたら再加熱は10分間
食材が煮えてルウも溶けたら美味しいカレーが完成しているとは限りません。このままではルウは溶けても、小麦粉がのり状に変化していなくてトロミが足りずに口当たりも悪いままでカレー作りが失敗する可能性があります。
カレールウを溶かした後に火を着けて、ゆっくりかき混ぜながら弱火で10分煮込んでください。この工程は、全体にほどよい「とろみ」をつけて、カレーの風味をなじませる大切なひと手間なのです。美味しいカレーを作る方法の重要なポイントを忘れないでくださいね。
とろみが消える味見の仕方
どんなプロの料理人でも必ず行うのが味見。しかし、味見の仕方にも「とろみ」がなくなる原因があるので要チェック!それは、スプーンに口をつけて直接、味見をして、更に、そのスプーンをカレーに浸してしまう行為です。何気なくやってしまっている人は多いのではないでしょうか?
▼唾液はデンプンを分解する
唾液には「アミラーゼ」という酵素が含まれています。このアミラーゼにはデンプンを分解する作用があり、あんかけ料理の「餡」が、食べているうちにシャバシャバになるのも「アミラーゼ」によるものなんですよ。
スプーンで鍋から直接カレーの味見を繰り返すと、スプーンについた唾液のアミラーゼが鍋に移り、カレーについた『とろみ』をなくしてしまいます。この現象を防ぐために、味見は小皿に取り分けてから行うようにしましょう。
この方法はシチューにも応用できる
カレーとシチューの作り方はよく似ており、失敗するポイントも一緒。つまり温度に気を付けて美味しいカレーが作れるようになれば、同時に美味しいシチューを作るのも簡単。これだけで得意料理のレパートリーが2つも増えるという訳です。